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おまけ
閑話〜グロリエッテにて、マリーテレーズとゼムクの第二部への序章〜
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夜風が石造りの回廊を抜け、グロリエッテのランプを揺らした。
眼下には、月明かりに照らされた花壇と噴水が静かに浮かんでいる。
「……今日ね、母上から新しい縁談をいただいたの」
マリーテレーズは手すりに身を預け、涼やかな声で言う。
「左様でしたか。お嬢様も休まる暇がありませんね」
そこに付き従うゼムクが彼女の肩に薄いショールをかける
「辺境伯様ですって。いかにも武勇自慢のワイルド系。悪いけれど、私の好みじゃないわ。アーベル様たち会いにいく算段も作らなければならないし、お断りするつもりだったのよ…でも」
「でも?」
彼女の瞳がきらりと光る。
「でも――その方には、ずっとそばに付き従う幼馴染みの従者がいるのでしょう?」
ゼムクは眉を上げた。辺境伯の縁談の話は知っており、その身辺を二週間ほど間者をつけて探らせていた。報告書のメモの中に18回の外出の中で16回付き従っているマシューという長身の青年がいたはずだ。幼い頃からの付き合いで身分差にも関わらず砕けた口調で話しているという。
マシューの方が年上らしいのだが少し童顔で可愛らしい顔立ちをしていると言う情報を報告すべきか悩むがあまり暴走されても困るので言わないでおくことにした。
「流石お嬢様。我々が間者を使って数週間かけて調べるものを野性の勘ですっぱ抜いてしまうとは。」
「ふふ・・・これはあくまで私の推測ですが…」
マリーテレーズが白檀のセンスで口元を隠す。
「辺境伯と幼馴染みの従者。片や武勇の華、片や陰に寄り添う影。主従でありながら絆は誰よりも深くて――これはもう、尊い以外に言葉がないわ!」
マシューと辺境伯は、(疑問も持たなかったので調べてすらいないが)普通の友人同士だと思うがーー
「辺境伯にお会いになりますか?」
「そうねえ……」
両手を胸の前で組み、彼女は夢見るように微笑んだ。
「ふふ……お母様の顔を立てるためにも、お会いしてみようかしら。ええ、決して二人を並べて見たいとか、そのようなやましい話ではないのよ?」
ゼムクはアルカイックスマイルを浮かべながら夜風に吹かれていた。
彼女の嗅覚――いや執念は、時に現実すらねじ曲げるのかもしれない。
ーーー
お読みいただきありがとうございます!「転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい!」に続きます!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
いいね、エール、お気に入りいただけますと幸いです。
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そこに付き従うゼムクが彼女の肩に薄いショールをかける
「辺境伯様ですって。いかにも武勇自慢のワイルド系。悪いけれど、私の好みじゃないわ。アーベル様たち会いにいく算段も作らなければならないし、お断りするつもりだったのよ…でも」
「でも?」
彼女の瞳がきらりと光る。
「でも――その方には、ずっとそばに付き従う幼馴染みの従者がいるのでしょう?」
ゼムクは眉を上げた。辺境伯の縁談の話は知っており、その身辺を二週間ほど間者をつけて探らせていた。報告書のメモの中に18回の外出の中で16回付き従っているマシューという長身の青年がいたはずだ。幼い頃からの付き合いで身分差にも関わらず砕けた口調で話しているという。
マシューの方が年上らしいのだが少し童顔で可愛らしい顔立ちをしていると言う情報を報告すべきか悩むがあまり暴走されても困るので言わないでおくことにした。
「流石お嬢様。我々が間者を使って数週間かけて調べるものを野性の勘ですっぱ抜いてしまうとは。」
「ふふ・・・これはあくまで私の推測ですが…」
マリーテレーズが白檀のセンスで口元を隠す。
「辺境伯と幼馴染みの従者。片や武勇の華、片や陰に寄り添う影。主従でありながら絆は誰よりも深くて――これはもう、尊い以外に言葉がないわ!」
マシューと辺境伯は、(疑問も持たなかったので調べてすらいないが)普通の友人同士だと思うがーー
「辺境伯にお会いになりますか?」
「そうねえ……」
両手を胸の前で組み、彼女は夢見るように微笑んだ。
「ふふ……お母様の顔を立てるためにも、お会いしてみようかしら。ええ、決して二人を並べて見たいとか、そのようなやましい話ではないのよ?」
ゼムクはアルカイックスマイルを浮かべながら夜風に吹かれていた。
彼女の嗅覚――いや執念は、時に現実すらねじ曲げるのかもしれない。
ーーー
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