15 / 25
魔王様の事情
5
しおりを挟む
「……使命があってもなくても、マリーテレーズさんを助けないと」
「まあ、そうだな」
アーベルが言い切った。真剣な眼差しに、俺も思わず頷いたが・・・・・
ゼムクが冷めた声を差し挟んだ。
「本気ですか? 中で“お嬢様”が制御しているダンジョンですよ?」
「いや、それはしょうがないだろ?」
ゼムクは表情を変えぬまま、もう一度繰り返した。
「中で、“お嬢様”が、制御しているダンジョンですよ?」
「いや、二度言わんでいい」
俺が思わず突っ込む。
アーベルは苦笑いしつつも、拳を握りしめた。
「何が起こるか想像もつかないけど……マリーテレーズさんをこのままには出来ないよ」
「そちらとしてはそうでしょうね。お嬢様の所有物になると言うことは、帝国のものになると言うことですからーー」
「それもそうだけど、ダンジョンの制御権なんてすごい魔力だろう?長時間はめていたらーー」
ゼムクの銀の瞳が細められる。
「ええ、最悪精神が飲み込まれてしまう可能性があります。その場合はーー」
言い淀んだゼムクにアーベルが畳み掛ける。
「準備を整えよう。ゼムクさん、ダンジョンの中に食料はあるの?」
「いえ、ありませんね。しばらく空けていましたから」
「なら、余計に急がないと」
ゼムクは小さく頷き、袖の奥から幾つかの封印札や水晶を取り出す。
「入口はいくつかスペアキーを作っておいてあります。この水晶をかざせば開くかと」
「枢機卿のメモも持っていかないとな。……多少は役に立つはずだ」
埃を払った羊皮紙を抱えながら、胸がざわつくのを抑えきれない。特にこのベッドの配置…どこかで見たような…
アーベルは腰の剣を確かめ、真っ直ぐに立った。
「よし。行こう」
窓の外、夜の王都に月がかかっていた。
不気味に輝く光の下で、俺たちは“全てを統べるものの迷宮”へ足を踏み入れる準備を整えた。
「まあ、そうだな」
アーベルが言い切った。真剣な眼差しに、俺も思わず頷いたが・・・・・
ゼムクが冷めた声を差し挟んだ。
「本気ですか? 中で“お嬢様”が制御しているダンジョンですよ?」
「いや、それはしょうがないだろ?」
ゼムクは表情を変えぬまま、もう一度繰り返した。
「中で、“お嬢様”が、制御しているダンジョンですよ?」
「いや、二度言わんでいい」
俺が思わず突っ込む。
アーベルは苦笑いしつつも、拳を握りしめた。
「何が起こるか想像もつかないけど……マリーテレーズさんをこのままには出来ないよ」
「そちらとしてはそうでしょうね。お嬢様の所有物になると言うことは、帝国のものになると言うことですからーー」
「それもそうだけど、ダンジョンの制御権なんてすごい魔力だろう?長時間はめていたらーー」
ゼムクの銀の瞳が細められる。
「ええ、最悪精神が飲み込まれてしまう可能性があります。その場合はーー」
言い淀んだゼムクにアーベルが畳み掛ける。
「準備を整えよう。ゼムクさん、ダンジョンの中に食料はあるの?」
「いえ、ありませんね。しばらく空けていましたから」
「なら、余計に急がないと」
ゼムクは小さく頷き、袖の奥から幾つかの封印札や水晶を取り出す。
「入口はいくつかスペアキーを作っておいてあります。この水晶をかざせば開くかと」
「枢機卿のメモも持っていかないとな。……多少は役に立つはずだ」
埃を払った羊皮紙を抱えながら、胸がざわつくのを抑えきれない。特にこのベッドの配置…どこかで見たような…
アーベルは腰の剣を確かめ、真っ直ぐに立った。
「よし。行こう」
窓の外、夜の王都に月がかかっていた。
不気味に輝く光の下で、俺たちは“全てを統べるものの迷宮”へ足を踏み入れる準備を整えた。
49
あなたにおすすめの小説
最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??
雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。
いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!?
可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?
悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る
桜城 寧
BL
処刑された記憶とともに、BLゲームに登場する悪役会計に転生したことに気付く。処刑されないために、チャラ男としての仮面を被り、生徒会長に媚び売ったり、どうにか能力を駆使したりして生きてたら、色々な人に構われる話。
悲報、転生したらギャルゲーの主人公だったのに、悪友も一緒に転生してきたせいで開幕即終了のお知らせ
椿谷あずる
BL
平凡な高校生だった俺は、ある日事故で命を落としギャルゲーの世界に主人公としてに転生した――はずだった。薔薇色のハーレムライフを望んだ俺の前に、なぜか一緒に事故に巻き込まれた悪友・野里レンまで転生してきて!?「お前だけハーレムなんて、絶対ズルいだろ?」っておい、俺のハーレム計画はどうなるんだ?ヒロインじゃなく、男とばかりフラグが立ってしまうギャルゲー世界。俺のハーレム計画、開幕十分で即終了のお知らせ……!
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したので闇の『魅了』スキルで攻略対象の男たちをカップリングしていきます
カタリベかたる
BL
乙女ゲーム『没落貴族の令嬢ですが、婚約破棄した第7王子と氷の貴公子と呼ばれる次期公爵がなぜか溺愛してきますっっっTHE GAME』に登場する悪役令嬢に転生して、闇の魔法の一つである『魅了』スキルを手に入れた私。ある日、ゲームのシナリオに沿って、攻略対象の王子を闇の魔法で魅了しようとしたんだけど、どういうわけか王子は私の兄に魅了されてしまって・・・でもこれはアリだわ!
転生した世界で、さらに新たな世界に目覚めてしまった悪役令嬢と、彼女をめぐる(めぐらない)攻略対象たちが勝手に繰り広げる、主人公不在ラブストーリー。
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
動物アレルギーのSS級治療師は、竜神と恋をする
葉空
BL
SS級治療師、ルカ。それが今世の俺だ。
前世では、野犬に噛まれたことで狂犬病に感染し、死んでしまった。次に目が覚めると、異世界に転生していた。しかも、森に住んでるのは獣人で人間は俺1人?!しかも、俺は動物アレルギー持ち…
でも、彼らの怪我を治療出来る力を持つのは治癒魔法が使える自分だけ…
優しい彼が、唯一触れられる竜神に溺愛されて生活するお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる