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迷宮の中で
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森を抜けると、闇の中に沈んだダンジョンーー屋敷が現れた。
黒鉄色の石壁に絡みつく蔦。窓は半ば崩れ、今は赤黒い光を吐き出す穴となっている。
けれど、よく目を凝らせば――その玄関はアーチを描き、両脇には石造りの植木鉢が対になって置かれていた。
かつて花を飾り、客を迎え入れるための装いだったのだろう。
今は蔦に覆われ、鉢の中には土くれすら残っていない。
「……ここ、本当に屋敷だったのかよ」
俺が低く呟くと、
「随分と変わり果てているね」
アーベルが静かに言葉を継ぎ、剣の柄にそっと手を掛ける。
扉は朽ち果て、玄関らしき痕跡は、すでに怪物の鱗のような黒々とした蔦に呑み込まれていた。抜いたロングソードで蔦を切り裂きながら進む。
アーベルは切り裂いた蔦の奥をじっと見つめ、剣を構え直した。
「……気を引き締めていこう」
「気を引き締めても…相手はあのお嬢さんだからなあ」
正直何が起こるか全くわからなかった。
アーベルは小さく息を吐き、横目で俺を見て微笑んだ。
「きっと大丈夫だよ……君も居るし」
「簡単にそういうこと言うなよ。……プレッシャーになるだろ」
舌打ち混じりに返しながらも、心臓が妙に跳ねる。
苦々しく吐き捨てて、俺も短剣を握り直した。
扉の隙間から吹き出す冷気が、肌を刺す。
二人で顔を見合わせ、無言のままうなずき合った。
重く軋む音を立てて、扉がゆっくりと開いた。
冷気が一気に吹き出し、頬を刺す。
足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。
鉄と血と、古い木材の匂いが入り混じっている。
「……ここが、第一層か」
思わず声が低くなる。
広がっていたのは石造りの回廊――だが、どこかで見覚えのある造りだった。
壁の一部には、つたの模様を刻んだ木のパネルがまだ残っている。床は磨き上げられた大理石の名残を見せていたが、ところどころ黒ずみ、光を吸い込んでいるようだ。
かつて客を迎えたであろう玄関ホールの名残。
天井からはシャンデリアの枠だけがぶら下がり、今は淡い青白い光を吐く結晶が埋め込まれている。
アーベルが剣を構え直しながらつぶやいた。
「……もともとおしゃれな建物だったんだろうに」
「エルフは結構文明進んでるからなあ」
黒鉄色の石壁に絡みつく蔦。窓は半ば崩れ、今は赤黒い光を吐き出す穴となっている。
けれど、よく目を凝らせば――その玄関はアーチを描き、両脇には石造りの植木鉢が対になって置かれていた。
かつて花を飾り、客を迎え入れるための装いだったのだろう。
今は蔦に覆われ、鉢の中には土くれすら残っていない。
「……ここ、本当に屋敷だったのかよ」
俺が低く呟くと、
「随分と変わり果てているね」
アーベルが静かに言葉を継ぎ、剣の柄にそっと手を掛ける。
扉は朽ち果て、玄関らしき痕跡は、すでに怪物の鱗のような黒々とした蔦に呑み込まれていた。抜いたロングソードで蔦を切り裂きながら進む。
アーベルは切り裂いた蔦の奥をじっと見つめ、剣を構え直した。
「……気を引き締めていこう」
「気を引き締めても…相手はあのお嬢さんだからなあ」
正直何が起こるか全くわからなかった。
アーベルは小さく息を吐き、横目で俺を見て微笑んだ。
「きっと大丈夫だよ……君も居るし」
「簡単にそういうこと言うなよ。……プレッシャーになるだろ」
舌打ち混じりに返しながらも、心臓が妙に跳ねる。
苦々しく吐き捨てて、俺も短剣を握り直した。
扉の隙間から吹き出す冷気が、肌を刺す。
二人で顔を見合わせ、無言のままうなずき合った。
重く軋む音を立てて、扉がゆっくりと開いた。
冷気が一気に吹き出し、頬を刺す。
足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。
鉄と血と、古い木材の匂いが入り混じっている。
「……ここが、第一層か」
思わず声が低くなる。
広がっていたのは石造りの回廊――だが、どこかで見覚えのある造りだった。
壁の一部には、つたの模様を刻んだ木のパネルがまだ残っている。床は磨き上げられた大理石の名残を見せていたが、ところどころ黒ずみ、光を吸い込んでいるようだ。
かつて客を迎えたであろう玄関ホールの名残。
天井からはシャンデリアの枠だけがぶら下がり、今は淡い青白い光を吐く結晶が埋め込まれている。
アーベルが剣を構え直しながらつぶやいた。
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「エルフは結構文明進んでるからなあ」
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