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番外編~ジョセフ②
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ミレーヌが出産したのは、雪が降る寒い朝だった。その半月前には義父に当たるシャリエ元伯爵が亡くなった。寝たきりで動けなくなっていたが、食事も殆ど取らず生きることを拒んでいたからこうなることは想定内だった。ミレーヌに子が出来たと知らせることも考えたが、エドモン君が反対したので最後まで知ることはなかった。葬儀にはエドモン君とラシェル夫人、先輩とジゼル夫人が参列したがミレーヌは欠席。身重だったのもあるが彼女が父を拒んだからだ。
二人目の子が出来てからミレーヌは考え込む日が増えた。ロイとの関係は冷え込んだままで、侍女たちに尋ねても殆ど会話もないという。二人目が生まれた後は好きにしていいと言ってあるが、二人がそのことで相談しているとも聞かない。二人の関係は完全に壊れていた。元々身分差があり、考え方の根本が違うのだ。理解し合うのは簡単ではない。しかもミレーヌはちやほやされて育ったから考え方が普通じゃない。ロイでは理解出来なかったのだろう。
生まれた子供は男児だった。二人とも金の髪と青い瞳というシャリエ家特有の色が出てくれたのは幸いだった。俺も同じ色だからロイの色が強く出た場合は俺の子としてここで育てられないからだ。面倒だと思うが貴族は体面を気にする。レオンのためにもミレーヌの不貞を疑われるようなことは出来なかった。
生まれた子には先輩がアランという名を付けてくれた。気高いとか立派という意味だ。レオンと似た感じなのも呼びやすいところもいい。大きな声で泣き、しっかり乳も飲むから大丈夫だろう。ミレーヌの役目が終わった。
「まぁ、可愛いわねぇ。レオンは小さかったけれど、アランは大きいわねぇ」
「二人目は大きく生まれると言うしね」
「そうなんですよ。母体への負担を減らすためだとか」
「そうなのね」
まだ生まれたばかりのアランをぎこちない手つきで抱くのはジゼル夫人だった。もちろん先輩が側から離れずにいる。相変わらず過保護というか何というか……俺がジゼル夫人に手を出すはずがないのにと信用されていないのを少し寂しく思う。まぁ、エドモン君相手でも同じだと言うから、男というだけで警戒してしまうのかもしれない。さすがにレオンやアランには嫉妬しないだろう。そう思いたい。
「先輩、お子はまだなんですか?」
ジゼル夫人がレオンとアランの相手をしている間、少し離れたソファで共に茶を飲んだ時に尋ねてみた。子どもが好きそうだし、先輩も三十を越えている。後継者は一日も早い方がいいだろうに。
「だが、そうなるとジゼルを子どもに取られてしまわないか? やっと結婚して二人きりの時間を楽しめているのに……」
まさか直球の惚気が返って来るとは思わなかった。しかも先輩の目は婦人に向けられたままだ。これがあの先輩なのかと目を疑う。目の前で人が死んでも顔色一つ変えなかった人なのに……
「でも、ジゼル夫人が石女ではないかと周りが騒ぎませんか? そうなると離婚を勧めてくる親族が出てくるかもしれませんが……」
「……そんなことは私が許さないよ。ジゼルと離婚などと……そんな不吉な言葉は言わないでくれ」
向けられた目が座り、地を這うような声が怖い。いやいや、俺が言ったんじゃないですよ?
「夫人は……どう仰っているんです?」
「ジゼルは……今すぐにでも子が欲しいと言っているんだ。年齢を気にしてね。だが、私は子供がいなくてもジゼルさえいてくれたら……」
うわ、本気で言っているのか? 先輩、中身は黒いと思っていたけれど思った以上かもしれない。あのジゼル嬢に……俺、婚約者だったけれどよく無事でいられたな。もし手を出す素振りを見せていたら消されていた……なんてことはない、よな?
「先輩、本当にジゼル嬢に夢中なんですね」
「当然だろう。ジゼルほど清らかで健気で優しい女性はいないぞ。君だって婚約者の時に彼女の心遣いに感謝していただろう?」
「え? あ、はい。そうでしたね……」
目が、目が怖いですよ、先輩……俺は義弟ですから! ジゼル夫人の妹の夫ですから! 形だけだけど、義理ですけど姉弟ですから!
「せ、先輩。心配なら早く子を作られてはどうですか?」
「だが、ジゼルの関心が子供に行ってしまう……」
「ですが、子供が出来れば簡単には離婚出来ませんよ。夫人も子供好きですから先輩から離れようなんて事は……」
最後まで言い終える前に先輩が俺の前から消えた。向かう先は……夫人のところだ。夫人の膝の上にはレオンが頭を乗せておもちゃを手にしているし、アランは抱っこされてご満悦だ。彼女と結婚していたらこんな景色が見られたのかと思うと……って先輩、何でこっち見るんですか? もしかして……心読まれている?
「ジゼル、子どもと楽しそうだね」
「ええ、レニエ様。可愛いですわ。ずっと遊んでいられそうです」
「そうか……それは焼けてしまうな」
「まぁ、レニエ様ったら」
「だって、ずっと遊んでいられるんだろう?」
先輩、そんなに旅愁漂わせてあざといですよ。夫人が困っているじゃないですか。
「ふふっ、レニエ様ったら」
笑顔の夫人がアランを抱きながら先輩の耳元で何かを囁いた。途端に先輩の表情が固まり、次の瞬間に僅かに赤くなった。何を言ったんだ? 気になる。気になるけど、あの二人の間に入る勇気はない。俺はまだ死ねないんだよ、幼子二人抱えているから。
「ジゼル、私たちもそろそろ子を作ろう」
おいおい、人の家で何を宣言しているんだよ! 家に帰ってやってくださいよ。そう思うんだが二人は二人の世界に入り込んで俺の存在など見えていないかのようだ。ここ、俺の家なんですけど……いや、元は婦人の家なんだけど。
「レニエ様、いいのですか?」
夫人がパッと表情を明るくした。花が咲いたような笑みに思わず見とれてしまう。こんな表情もする人だったのか……って、はいはい、見ていませんよ。減りませんって、心配しなくても……
「ああ。私もジゼル似の可愛らしい子が欲しいと思ってね」
「まぁ、私はレニエ様に似た男の子がいいですわ」
「じゃ、両方だね」
「嬉しいです!」
完全に二人の世界に入り込んでいて、居心地が悪いなんてもんじゃない。俺は何を見せつけられているんだろう。せめて子どもだけでも返してくれないだろうか。全く、誰も愛せないなんて言っていたくせに……今じゃドルレアク公爵に匹敵すると言われるほどの愛妻家で執着の鬼だなんて。
この後、ロイは役目を果たしたと着の身着のままこの屋敷を去った。一応レオンとアランの父親だからどこで何をしているのか監視は続けているけれど、王都から馬車で一日の街に移り住み、今はカフェで働いている。真面目な働きぶりとこの家にいた間に身に付けたマナーを生かしてオーナーにも可愛がられている。
ミレーヌは、相変わらずこの家の離れで暮らしている。最近は侍女に身の回りのことを習い、自分のことは自分でやるようになっていた。どういう心境の変化があったのかはわからない。ただ、続いた出産のせいなのか体調を崩すことが増えた。医師も出産は当面控えた方がいいという。暫くはここで療養させて、今後のことは体調が回復してからになるだろう。
そして、それから三か月後、先輩のところにも子供がやって来た。先輩の喜びようは大変なもので、でも夫人の悪阻が始まると夫人がキレるほどに過保護になったと聞く。先輩のところの夫婦喧嘩になんぞ恐ろしくて近づけない。何度か先輩から酒でも飲まないかと誘われたけれど、その都度子供が熱を出したとか言って断った。頼むから他人を巻き込まないでほしい。切にそう思った。
二人目の子が出来てからミレーヌは考え込む日が増えた。ロイとの関係は冷え込んだままで、侍女たちに尋ねても殆ど会話もないという。二人目が生まれた後は好きにしていいと言ってあるが、二人がそのことで相談しているとも聞かない。二人の関係は完全に壊れていた。元々身分差があり、考え方の根本が違うのだ。理解し合うのは簡単ではない。しかもミレーヌはちやほやされて育ったから考え方が普通じゃない。ロイでは理解出来なかったのだろう。
生まれた子供は男児だった。二人とも金の髪と青い瞳というシャリエ家特有の色が出てくれたのは幸いだった。俺も同じ色だからロイの色が強く出た場合は俺の子としてここで育てられないからだ。面倒だと思うが貴族は体面を気にする。レオンのためにもミレーヌの不貞を疑われるようなことは出来なかった。
生まれた子には先輩がアランという名を付けてくれた。気高いとか立派という意味だ。レオンと似た感じなのも呼びやすいところもいい。大きな声で泣き、しっかり乳も飲むから大丈夫だろう。ミレーヌの役目が終わった。
「まぁ、可愛いわねぇ。レオンは小さかったけれど、アランは大きいわねぇ」
「二人目は大きく生まれると言うしね」
「そうなんですよ。母体への負担を減らすためだとか」
「そうなのね」
まだ生まれたばかりのアランをぎこちない手つきで抱くのはジゼル夫人だった。もちろん先輩が側から離れずにいる。相変わらず過保護というか何というか……俺がジゼル夫人に手を出すはずがないのにと信用されていないのを少し寂しく思う。まぁ、エドモン君相手でも同じだと言うから、男というだけで警戒してしまうのかもしれない。さすがにレオンやアランには嫉妬しないだろう。そう思いたい。
「先輩、お子はまだなんですか?」
ジゼル夫人がレオンとアランの相手をしている間、少し離れたソファで共に茶を飲んだ時に尋ねてみた。子どもが好きそうだし、先輩も三十を越えている。後継者は一日も早い方がいいだろうに。
「だが、そうなるとジゼルを子どもに取られてしまわないか? やっと結婚して二人きりの時間を楽しめているのに……」
まさか直球の惚気が返って来るとは思わなかった。しかも先輩の目は婦人に向けられたままだ。これがあの先輩なのかと目を疑う。目の前で人が死んでも顔色一つ変えなかった人なのに……
「でも、ジゼル夫人が石女ではないかと周りが騒ぎませんか? そうなると離婚を勧めてくる親族が出てくるかもしれませんが……」
「……そんなことは私が許さないよ。ジゼルと離婚などと……そんな不吉な言葉は言わないでくれ」
向けられた目が座り、地を這うような声が怖い。いやいや、俺が言ったんじゃないですよ?
「夫人は……どう仰っているんです?」
「ジゼルは……今すぐにでも子が欲しいと言っているんだ。年齢を気にしてね。だが、私は子供がいなくてもジゼルさえいてくれたら……」
うわ、本気で言っているのか? 先輩、中身は黒いと思っていたけれど思った以上かもしれない。あのジゼル嬢に……俺、婚約者だったけれどよく無事でいられたな。もし手を出す素振りを見せていたら消されていた……なんてことはない、よな?
「先輩、本当にジゼル嬢に夢中なんですね」
「当然だろう。ジゼルほど清らかで健気で優しい女性はいないぞ。君だって婚約者の時に彼女の心遣いに感謝していただろう?」
「え? あ、はい。そうでしたね……」
目が、目が怖いですよ、先輩……俺は義弟ですから! ジゼル夫人の妹の夫ですから! 形だけだけど、義理ですけど姉弟ですから!
「せ、先輩。心配なら早く子を作られてはどうですか?」
「だが、ジゼルの関心が子供に行ってしまう……」
「ですが、子供が出来れば簡単には離婚出来ませんよ。夫人も子供好きですから先輩から離れようなんて事は……」
最後まで言い終える前に先輩が俺の前から消えた。向かう先は……夫人のところだ。夫人の膝の上にはレオンが頭を乗せておもちゃを手にしているし、アランは抱っこされてご満悦だ。彼女と結婚していたらこんな景色が見られたのかと思うと……って先輩、何でこっち見るんですか? もしかして……心読まれている?
「ジゼル、子どもと楽しそうだね」
「ええ、レニエ様。可愛いですわ。ずっと遊んでいられそうです」
「そうか……それは焼けてしまうな」
「まぁ、レニエ様ったら」
「だって、ずっと遊んでいられるんだろう?」
先輩、そんなに旅愁漂わせてあざといですよ。夫人が困っているじゃないですか。
「ふふっ、レニエ様ったら」
笑顔の夫人がアランを抱きながら先輩の耳元で何かを囁いた。途端に先輩の表情が固まり、次の瞬間に僅かに赤くなった。何を言ったんだ? 気になる。気になるけど、あの二人の間に入る勇気はない。俺はまだ死ねないんだよ、幼子二人抱えているから。
「ジゼル、私たちもそろそろ子を作ろう」
おいおい、人の家で何を宣言しているんだよ! 家に帰ってやってくださいよ。そう思うんだが二人は二人の世界に入り込んで俺の存在など見えていないかのようだ。ここ、俺の家なんですけど……いや、元は婦人の家なんだけど。
「レニエ様、いいのですか?」
夫人がパッと表情を明るくした。花が咲いたような笑みに思わず見とれてしまう。こんな表情もする人だったのか……って、はいはい、見ていませんよ。減りませんって、心配しなくても……
「ああ。私もジゼル似の可愛らしい子が欲しいと思ってね」
「まぁ、私はレニエ様に似た男の子がいいですわ」
「じゃ、両方だね」
「嬉しいです!」
完全に二人の世界に入り込んでいて、居心地が悪いなんてもんじゃない。俺は何を見せつけられているんだろう。せめて子どもだけでも返してくれないだろうか。全く、誰も愛せないなんて言っていたくせに……今じゃドルレアク公爵に匹敵すると言われるほどの愛妻家で執着の鬼だなんて。
この後、ロイは役目を果たしたと着の身着のままこの屋敷を去った。一応レオンとアランの父親だからどこで何をしているのか監視は続けているけれど、王都から馬車で一日の街に移り住み、今はカフェで働いている。真面目な働きぶりとこの家にいた間に身に付けたマナーを生かしてオーナーにも可愛がられている。
ミレーヌは、相変わらずこの家の離れで暮らしている。最近は侍女に身の回りのことを習い、自分のことは自分でやるようになっていた。どういう心境の変化があったのかはわからない。ただ、続いた出産のせいなのか体調を崩すことが増えた。医師も出産は当面控えた方がいいという。暫くはここで療養させて、今後のことは体調が回復してからになるだろう。
そして、それから三か月後、先輩のところにも子供がやって来た。先輩の喜びようは大変なもので、でも夫人の悪阻が始まると夫人がキレるほどに過保護になったと聞く。先輩のところの夫婦喧嘩になんぞ恐ろしくて近づけない。何度か先輩から酒でも飲まないかと誘われたけれど、その都度子供が熱を出したとか言って断った。頼むから他人を巻き込まないでほしい。切にそう思った。
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