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#63 なんでやねん(悲劇的なラストなんでやねん)
しおりを挟む「なんでやねん!」
と叫んだのは、山田太郎という中学生だった。
彼は今日、学校で一番の美少女である佐藤花子に告白したのだが、あっさりと振られてしまったのだ。
しかも、その理由が、
「私のタイプじゃない」
というものだった。
山田は自分がどれだけ佐藤に想いを寄せていたか、どれだけ勇気を出して告白したか、佐藤には分かってもらえないのだろうか。なんでやねん、と心の中で呟いた。
山田は家に帰っても、なかなか気分が晴れなかった。
部屋にこもって、好きな音楽を聴いたり、漫画を読んだり、ゲームをしたりしたが、どれも楽しくなかった。佐藤のことが頭から離れなかったのだ。山田は悔しくて、涙が出そうになった。なんでやねん、と目をこすった。
山田は夕食の時間になっても、食欲がなかった。母親が作ってくれたカレーライスも、いつものように美味しく感じなかった。
母親は山田の様子がおかしいことに気づいて、心配そうに声をかけた。
「太郎、どうしたの? 学校で何かあったの?」
山田は母親には話せないと思って、首を横に振った。
「いや、別に。ただ、ちょっと疲れただけだよ」
母親は納得しない様子だったが、無理に聞き出そうとはしなかった。
「そう。じゃあ、早く寝なさい。明日は元気になるといいわね」
山田は母親におやすみと言って、部屋に戻った。なんでやねん、と枕に顔を埋めた。
山田は夜も眠れなかった。佐藤のことを考えると、胸が苦しくなった。
彼女は今、誰とどこで何をしているのだろうか。もしかしたら、他の男の子と付き合っているのかもしれない。そんなことを想像すると、山田は悲しくて、怒りにも似た感情が沸き上がった。なんでやねん、と枕を握りしめた。
翌日、彼は学校に行かなかった。
母親には体調が悪いと嘘をついた。母親は心配して、病院に連れて行こうとしたが、山田は断った。
山田はその夜、自殺を決意した。彼は佐藤なしでは生きていけないと思った。
彼は部屋から出て、近くの川に向かった。川に着くと、山田は水に飛び込んだ。水の中では、佐藤のことしか見えなかった。
山田は佐藤に手を伸ばしたが、届かなかった。山田は息ができなくなって、意識が遠のいた。なんでやねん、と最後に思った。
山田は死んだ。彼の死体は翌日、川岸で発見された。警察は自殺と断定した。
山田の家族や友人は悲しみに暮れた。
佐藤は山田の死を知って、驚いた。彼女は山田に告白されたことを覚えていなかった。彼女は山田のことを全く知らなかった。
彼女は山田のことを全く気にしていなかった。
なんでやねん、と周囲の誰もが思った。
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