94 / 196
#94 癇癪玉の気づき
しおりを挟む彼は癇癪玉を持っていた。小さなガラスの球体に、色とりどりの砂が詰まっている。彼が怒ると、玉の中の砂が渦を巻いて、彼の感情を映し出す。彼は玉を大事にしていた。玉があれば、自分の気持ちを誰かに伝えることができると思っていた。
彼はある日、玉を失くした。どこに置いたのか思い出せない。彼は焦って、家中を探した。でも、玉は見つからない。悲しくて、怒りに震えた。玉がなければ、自分の気持ちを誰にも分かってもらえないと思った。
外に出た。玉を探すために、街を歩いた。
でも、玉はどこにもない。彼は人混みの中で、孤独に感じた。玉がなければ、自分の存在を誰にも認めてもらえないと思った。
彼は公園に着いた。ベンチに座って、空を見上げた。空には、白い雲が浮かんでいる。ふと、玉のことを思い出した。玉の中の砂は、雲のように形を変える。彼は玉が恋しくて、涙がこぼれた。
すると隣に、小さな女の子がやってきた。女の子は、彼の手に、玉を差し出した。
「これ、あなたの?」
女の子は笑顔で言った。
「私、公園の入り口で見つけたの。きれいだね。」
驚いて、玉を受け取った。本当に、自分の玉だった。彼は嬉しくて、感謝の言葉を言おうとした。でも、言葉が出なかった。玉を見ると、中の砂は静かに沈んでいる。彼は気づいた。玉は、自分の感情を映し出すのではなく、自分の感情を吸い取っていたのだ。
彼は玉を女の子に返した。
「ありがとう。でも、これはもういらない。」
笑顔で言った。
「僕には、もっと大切なものがある。」
彼は女の子の手を握った。女の子は照れくさそうに、頷いた。
二人は手をつないで、公園を出た。
空には、色とりどりの雲が浮かんでいる。彼は幸せに感じた。玉がなくても、自分の気持ちを誰かに伝えることができると思った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる