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111 内なる嘘
しおりを挟むある小さな村に、いつも真実を語ると評判の老人がいました。村人たちは彼の言葉を疑うことなく、彼の知恵に頼っていました。
ある日、隣村から盗賊がやってくるという噂が流れました。村人たちは恐れ、老人に助けを求めました。
老人は村人たちを集めて言いました。
「心配無用だ。盗賊たちは我々の村を襲うことはない。」
村人たちは安堵し、普段通りの生活に戻りました。しかし、その夜、盗賊たちは本当に村を襲い、貴重な物を奪っていきました。
翌朝、激怒した村人たちは老人の家に押しかけました。
「お前の言ったことは嘘だったのか!」
老人は静かに答えました。
「私の言葉は嘘ではない。盗賊たちは我々の村を襲うことはなかった。なぜなら、彼らはすでに我々の中にいたのだから。」
村人たちは困惑しました。老人は続けました。
「盗賊たちは、我々の欲望、我々の怠慢、我々の争いの中にいた。外敵を恐れる前に、我々は自らの内なる盗賊と向き合わなければならない。」
村人たちは沈黙し、自分たちの心に目を向けました。そして、それぞれが内なる盗賊と対峙する決意を固めたのでした。
しかしそうこうしているうちに、再度盗賊に襲われました・・・。
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