→📚️賛否分かれる面白いショートストーリー(1分以内で読了限定)

ノアキ光

文字の大きさ
157 / 196

#157 未来からの手紙

しおりを挟む

宇宙の彼方に浮かぶ小惑星基地。そこでは、かつて地球が抱えていた環境問題や資源枯渇を解決するための実験が行われていた。

主人公のタカオは、そこに勤める若き科学者だ。彼の研究テーマは「時間通信装置」。過去や未来の人々と通信することで、地球の歴史の過ちを未然に防ぎ、より良い未来を築くことを目指していた。

装置がようやく完成し、彼はテストメッセージを送ることにした。送り先は50年後の未来。メッセージ内容は簡潔にこうだ。

「地球の未来を守るため、どんな情報でも教えてください。」

装置を作動させると、画面に砂嵐のようなノイズが走り、やがて未来からの返信が現れた。

「こちら未来。重大な警告を伝える。君の発明は決して公開してはいけない。」

タカオは驚いた。なぜ自分の発明が危険だというのか。詳細を尋ねると、返ってきたのは不気味な沈黙だった。

彼は無視することに決め、装置の技術を公開した。科学界では喝采が上がり、時間通信装置は世界中で使われるようになった。

ところが数年後、予期せぬ事態が起きた。各国政府や企業が過去に介入し始め、歴史は次々と改変され、何が本来の時間線だったのか誰にもわからなくなった。戦争、飢饉、環境破壊――すべてが混沌の中で繰り返される。

タカオは絶望し、最後の手段として再び装置を起動した。今度は50年前、つまり過去の自分にメッセージを送る。

「こちら未来のタカオだ。この発明を決して公開してはいけない。」

送信を終えた瞬間、彼の視界は暗転した。気づけば、実験室の机に座っている。目の前には未完成の装置がある。

彼はしばらく考え込んだ末、装置を廃棄することに決めた。

しかし、廃棄作業を終えたその夜、タカオの元に一通の手紙が届いた。差出人は「未来のタカオ」となっている。

封を開けると、そこにはこう書かれていた。

「お前の決断が正しかった。だが、お前が装置を発明しなければ、この警告を送ることはできなかったのだ。」  

タカオは手紙を握り締め、ただ静かに窓の外を見つめた。星空はどこまでも広がっていたが、その輝きの中に彼の胸を締めつけるような矛盾が漂っていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

ナースコール

wawabubu
大衆娯楽
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

処理中です...