どうやら私はバッドエンドに辿りつくようです。

夏目

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第一章 夜の女王とミミズク

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「ふざけないで!」

 腹部からどっと吐き出されたのは怒りの熱だった。大声をハルの耳に怒鳴りつけ、ぎゅっとハルの首を引っ張る。
 誰が置いていくものか。犠牲にするなど、まっぴらごめんだ。
 誰だって死ぬのは嫌だ。自分が死ぬぐらいならば、他の誰かに死んで欲しいと私だって思う。背中を押して、身代わりになれと強要するのは非情だなことだ。しかし、人間は善意の詰まった袋ではない。酸いも甘いも詰め込んだ泥箱だ。
 カンドは腕を一本なくし、なりふり構わず助かろうとした。偽善めいて罵倒する権利は私にはない。ただ一人、被害者たるサラザーヌ公爵令嬢だけが、口端に泡を浮かべて怒鳴ることを許される。
 サラザーヌ公爵令嬢へと目配せする。彼女は子鹿のように震え、逃げたいのに体が追いついていない様子だった。化物は陶酔した様子で喉と腹の間を何度も撫でている。襲いかかる様子はないが、サラザーヌ公爵令嬢に目線をぴったりと合わせて逸らそうとしない。
 公爵はなにもせず、観賞するようにその光景を眺めているだけだった。
 ここで逃げたら、サラザーヌ公爵令嬢が確実に食われる。

「ここに残って、どうするっていうんだよ。偽善を振りかざすのは構わないけど、あの化物を倒せる算段でもあるっていうの」

 切なげなハルの表情が一変し、ぎろりと私を睨みつける。ハルの敵意のこもった眼差しはまだ慣れない。ざわめく胸の音を無視して、首を振る。

「ないわ」
「馬鹿なの? ーーもう、黙ってて」
「ハル、人を助けたいという感情に理性は必要なの?」

 ハルは天を仰いだ。

「馬鹿って言葉じゃ、足りない。無駄死にって言葉、知ってる?」
「ーー助けたい」
「いい加減に」
「助けなくちゃいけないのよ」
「いい加減にしてよ」

 雷が落ちたような低い声だった。ハルは透徹な瞳で私の奥の奥まで見通すように覗き込んだ。

「俺がお貴族様を助けて、どんな得が? それとも、あんたは俺に変わりに死んで欲しいとでも?」

 死んで欲しいわけじゃない。ただ、サラザーヌ公爵令嬢達を置いてはいけない。どう言えばいいのだろう。
 ハルに憎まれるお姫様の演技を続けて言い募るべき?
 谷を転がり落ちる小石のようにいくつも思考がこぼれ落ちていく。私が今、やらなくてはいけないことはなんだ。唇を噛んだ痛みで、思考を明瞭にする。
 ハルを丸め込み、サラザーヌ公爵令嬢を助け出すことが先決だ。公爵が力を貸せばなおいいが、それは望み薄だろう。
 覚悟を決め、ハルの首筋に顔を寄せる。

「お前に得などあるはずないじゃない」
「……分かってるならば、俺に提案するのは無駄。もう、いい?」
「ハル、お前に得などない。けれど死人は救えないわ」

 顔を上げて、ハルの耳に唇を寄せる。ハルの体がたわむ。唇を舐め上げなければならないほど緊張しているようだった。

「人は死んだら、何も語れないし、叫べもしない。助けてと声を上げることもできない」
「ーーあの女がどうなろうと、俺は知らない」
「助けようとした癖に。見捨てるなんて許さないわ」
「あんたのほうが、あの女より価値がある」

 肌をなぞるような声で囁かれた。不躾なカンドの目つきを真似て全身に視線を投げられた。
 猥雑な男を演じようとしている。本当はサラザーヌ公爵令嬢のことが気になって仕方がないだろうに。
 私も、ハルも演技が拙く爪が甘い。
 ハルの核となる部分は出会った時と変わらずあるのではないか。高山のように屹然とは違うけれど、柔らかな優しさがある。少なくとも今はそう信じたい。

「ハル、助けて」
「ーーーー」
「サラザーヌ公爵令嬢を救って。そうしたら、もう何も言わないわ。大人しく、ついていく」
「……嫌だって言ったら」

 おずおずとハルが尋ねた。

「暴れ馬みたいにハルを蹴り倒すわ」

 ひびが入ったように口の端に線が入る。
 ハルはすぐに横顔を見せた。

「……暴れられたら困るから、だから」
「ええ」
「あんたは先にカンドを追って。あれだけ出血してるんだ。止血しないと死んじゃう」

 こくりと頷く。サラザーヌ公爵令嬢を助けたはいいが、変わりにカンドが死ぬのは嫌だ。どちらも助けて、その後、然るべき対処が必要だ。
 盗賊としてカンドを断罪するとき、被害者であるサラザーヌ公爵令嬢がいなければいけない。

「サラザーヌ公爵、なにもすることがないのならば、ご一緒に」

 なにを考えているか分からないサラザーヌ公爵をここに止まらせておくのは賢明ではないだろう。
 サラザーヌ公爵は私の言葉に笑いながら近付いてきた。

「喜んでお付き合いしようーーと言いたいところだが。その男はあの子共々食べられてしまうよ」
「……上手くやる」
「上手く、だと? 己の手にかかれば災厄も神の祝福と同じだとでも? 傲慢な男だ。カルディア姫。貴女が行かれた方がよろしいでしょうな。少なくとも、貴女の高貴な肌であれば、あの怪物も食らうまい」

 清く美しい童話になぞらえ、美しい娘の姿を見たら怪物だってたじろぐ、とでもいいたいのか? 
 残念だが、私は美女ではない。サラザーヌ公爵令嬢の方が顔のつくりは美しい。
 カンドの腕をまるごと引きちぎった怪物に美しさを理解する知能があれば違うだろうが。
 サラザーヌ公爵は私の思考を笑うように鼻を鳴らした。

「なあに、あの怪物の方が盲目な者共よりもよっぽど目を開き、真実を嗅ぎ分けることが出来るというだけですよ」
「私は王族だから襲われず、ハルは貧民だから襲われる、と?」

 まるで、動物を調教するように、あの怪物に階級の低いものを食べるように教え込んでいたというのか?
 くつくつと喉を鳴らし、サラザーヌ公爵は指を振る。

「そうだとも」
「あの怪物にとって私とハルで何が違うというの」
「違うでしょう」

 ナイフとフォークで取り分ける仕草をして口を小さく開く。
 ーー食事がと言いたいのか?
 確かにハルと私とでは食べることの出来る肉の種類が違う。だが、サラザーヌ公爵令嬢とサラザーヌ公爵は同じ貴族だ。食べるものは同じはずだろう。

「それで区別できると?」
「出来ないとでも?」

 ゆっくりと私の真正面に立つと、腕をとり、すんと鼻を鳴らす。ほらと強い力で、鼻の近くに手を運ばれる。

「草を食べるものと肉を食べるもので体臭が違う。ならば、肉によっても、臭気が違うのは当たり前では。どう、臭いが分かる?」
「私とハルが違っていたとしても、貴方とサラザーヌ公爵令嬢は同じ食事をしているはずよ」
「貴族の私と同じ食事を娘にさせていると本当にお思いなのか?」
「まさか、他の肉を食べさせていたとでも?」
「ええ」

 まさか、と正面から睨み返す。

「他の貴族の屋敷で食べる機会があったはずよ。風味や舌触りが違うのだから、分からないわけがない」
「羊の肉を用意できぬ貴族なのだと言い含めておいたので。おかげであの子は誰もが自分より下とみるような傲慢な子に育ってしまったのだが」

 私が思い描いていたサラザーヌ公爵令嬢は、勝気で家族に愛された娘だった。何もかもを持っていて、不足など何もない完璧な人生を歩んでいる。それなのに欲しがりで、私の大切なものを次々と奪っていく盗賊だった。
 サラザーヌ公爵は下賎な血が混じっていることがそれほどまで嫌だったのだろうか。同じ食事をさせたくないと願うほどに? 

「貧民の子だ。卑しいものを食べるべきでは?」
「それほど、サラザーヌ公爵令嬢のことを疎ましく思っていたの?」

 鼻にかかった笑いをして、サラザーヌ公爵は当たり前だと頷いた。

「自分の子でもないのに、可愛いと思うわけないだろう?」
「ーーもう、いい。こんな奴の話をきいてやる必要、ない」

 ハルが顔を背けた。

「疎ましいなら、一人で逃げればいい。邪魔だけは許さない」
「……馬鹿な貧民だ。忠告はしてやったぞ」

 ハルがサラザーヌ公爵令嬢へ手を伸ばす。藁にも縋る気持ちで、サラザーヌ公爵令嬢が指を伸ばした。恐怖が安堵の表情に変わる。ハルはサラザーヌ公爵令嬢の体を引き寄せた。
 なんとか、逃げれそうだ。
 サラザーヌ公爵へと視線を移す。彼の手をとる。サラザーヌ公爵はハルとサラザーヌ公爵令嬢を見つめていた。

「サラザーヌ公爵、行きましょう」
「あの子は、最初から貧民として生まれてくればよかったのに」

 呟かれた言葉は静かだった。目を瞬かせる。
 食事を別のものにして、差別化をはかるということは、一緒に食事をするたびにそのことが頭をよぎるのではないだろうか。血の繋がりのない娘がすくすくと成長していく姿をみて、ずうっとこの子は私の子ではないと思っていたのかもしれない。
 だから、あの怪物をけしかけ、殺そうとしたのだろうか。貴族であると虚妄を叫び続ける彼女を憐れに思って?
 サラザーヌ公爵の気持ちが理解できなかった。人は、憐れに思って殺すこともあるのだろうか。同情や憐憫が殺意に変じることがあるのだろうか?
 地面に目を落とすとカンドの血が花冠の上に点々と落ちている。胸がざわつき、たまらなくなってハル達を振り返る。同時に劈くような悲鳴が上がる。

「あぁああ! 痛い、痛い痛い痛い! 助けて、助けて!」

 サラザーヌ公爵令嬢の髪を怪物が後ろから鷲掴み引っ張っている。頭が後ろに倒れ、サラザーヌ公爵令嬢は仰ぐように怪物の顔を凝視していた。ぶちぶちと音を立てて、髪が抜けていく。まるで、残酷さを理解していない子供が虫を潰すような無邪気さで、怪物はサラザーヌ公爵令嬢の髪を口に含んだ。
 悲鳴をかき消すように鳥の鳴き声が、森の葉のざわめきが、天から降ってくる花冠の軽やかな音が、サラザーヌ公爵の呼吸音が、一気に耳のなかで大きくなる。頭のなかが音に支配され、頭が真っ白になる。不愉快な倦怠感が体を包む。逃げろと本能が叫んでいる。眼球だけ、ぎょろぎょろと動かすことができた。活動できる筋肉が、眼球にだけ集まったようだった。サラザーヌ公爵令嬢は、抜き取られた部分を抑えて痛みに泣いていた。けれど、怪物は容赦しなかった。残っている髪もひっつかんだ。

「ハル、髪をきって!」

 ハルは素早く胸元からナイフを取り出すと、すっぱりとサラザーヌ公爵令嬢の髪を切り捨てた。

「走るよ!」

 ひいひいと頬を涙で濡らしながらサラザーヌ公爵令嬢がハルに手を引かれて走ってくる。
 よし、と拳を握りしめる。これで、逃げられる。怪物はサラザーヌ公爵令嬢から切り離された髪を美味しそうに咀嚼していた。

「はなおとめ……? 天帝様?」

 おどおどとした声が一安心した心に風穴を開ける。
 馬鹿! なぜ、このタイミングで起き上がるんだ!
 ミミズクがゆらゆらと眠そうに立ち上がり、目を掻いた。落っこちた花冠を頭の上にのせて、悦に入っている。サラザーヌ公爵令嬢が振り返った。黒い影が私の横を素早く通り過ぎていった。
 ハルの焦った声が月明かりの下に鋭く響く。
 サラザーヌ公爵令嬢は、ハルを振り払い、ミミズクへ駆け出していた。
 怪物は髪を咀嚼する行動をやめて、獲物を見つけた狩人のように目をぎらぎらと輝かせる。じゅるりと唾液が花冠の上に落ちた。怪物の股が裂けてしまいそうなほど開く。一歩が広く、早かった。
 ミミズクは怪物を見つけて、体を震わせた。喉の奥から低いうなり声を出して警戒していた。
 素早く怪物がミミズクに迫った。小さな腕が掴まれた。もがいても、一向に離れない。

「ミミズク!」

 風を切る音を立てて、矢が放たれた。うるさそうに払いのけ、怪物が弓人を探しーーとらえた。ミミズクは囮だったといわんばかりに怪物はサラザーヌ公爵令嬢に向かって走った。
 逃げろ、逃げろ。声しか出せないことがもどかしかった。なんで、私には力がない? 助けようと近づいても足手まといになるだけだ。こらえろ、こらえろ、絶対に助かる。拳で太ももをたたいた。
 サラザーヌ公爵令嬢の目の前に怪物がいた。彼女を慈しむように瞳を細めた。高潮した頬が歓喜を伝えてくる。恐ろしいほど、人間にそっくりだった。不揃いな歯をみせて、にっこりと笑った。サラザーヌ公爵令嬢はもう逃げなかった。目をしっかりとつむり、くるべき時に備えていた。ハルの震える声は、怪物に対する懇願になっていた。
 血が、噴き出す。
 サラザーヌ公爵は、血のつながらない自分の娘を振り返り、口元を変にゆがめて小さく吐息をこぼす。

「ああ、どうしてこうしてしまうのか。自分の身が心底恨めしい」

 美味しそうに、怪物が公爵の体を抱きしめた。小枝が折れるような軽妙な音が聞こえる。彼は私を見て、幸せそうに破顔し、天を仰いだ。

「マリー。君の名前は花からとったの? それとも、花が君の真似を? やっと、尋ねにいける。それを、聞きたかったんだ。出会ったときから、ずっと」

 だらんと腕が力をなくし、太ももの横をたたく。怪物はきゅうとぬいぐるみを抱きしめるように顔に寄せた。そのまま、口をあけて柔らかな頬に口をつけ、嚙みちぎる。

「噓でしょう? お父様?」

 へたりこんだサラザーヌ公爵令嬢は迷子になった子供のようなか細い声で呟いた。
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