どうやら私はバッドエンドに辿りつくようです。

夏目

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第二章 王子殿下の悪徳

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 夜会には参加出来なかった。おかげで、挨拶もそこそこにリストは学園を去った。
 ギスランも今日の朝方、後ろ髪をひかれるような顔をして出て行った。
 昨日の夕食を思い出すだけで顔が熱くなる。この頃、食事するときはギスランによって口移しで行われていた。
 これも十分異常なことだが、昨日は特にひどかった。
 あいつ、頭に虫でもわいているのかと思うほど、ずっと唇を合わせてきたのだ。擦り切れるかと思った。
 あまりの執拗さに、腰が抜けたほどだ。ギスランは、この頃私に全く優しくない。

「ああ、もう! また迷った!」

 学校に残された私は図書館に行くはずが、順路をどこで間違えたのか、たどりつかないでいた。
 この間の近づいてはいけない清族がいた回廊に出てしまう。
 幸いあいつはいないようだが、この先は清族の領域なんだよな?
 古城の名残か、城の内部は人を迷わせる仕組みがなされている。同じような部屋も多く、方向感覚が狂う。
 次は侍女の案内を拒否しないでおこう。
 だが、いま私についている侍女はあまり好きではない。
 昔は聞き耳を立てていなければ毒殺されていたこともあった。だからか、無意識に聞き耳を立ててしまう。彼女の声が耳に届いて煩わしい。
 それが、私の主としての評定だったりするものだから、ますます聞きたくない。
 ギスランがあてがってくれていた侍女は優秀だったのだと改めてよくわかった。あの侍女は気配り上手だった。今の侍女は私の聞こえるところで私に関する噂話を吹聴する。
 やれ頭がおかしい姫だの、陰気な姫だの、人の好意を無下にする礼儀の知らない姫だの。嫌になる話題ばかりだ。
 ともかく、一回、自室に帰って案内してもらうべきか。

「カルディア姫?」

 正面からゆっくりと宝石を沢山つけたダンが歩いてくる。驚いた。忙しい身のはずだが、なぜレゾルールにいるのだろう。
 腕環は紅玉が三つついている。裾には小さなダイヤモンドが散りばめられていて、黒い布地が派手に見えた。指輪も三つはまっており、埋め込んである宝石の色が違う。

「ダン、久しぶりね。丁度良かった」
「そういえば、フォードからこちらに来られたのだったか。清族の誰かにご用だろうか?」
「違うわ。迷ってしまって。図書館の場所を知らない?」
「図書館にご用がおありとは丁度良かった。姫にお頼みしたいことがある。よろしければ御案内させていただいても?」
「頼み?」

 ダンは頷き、頬を赤らめた。

「そう、王族の方にお頼みするのは少し恥ずかしいのだが。詳細は図書館についてからでよろしいか?」
「え? ええ」

 いつのまにか引き受けることを前提で話が進んでいた。無茶難題でない限り断るつもりはないが……。その態度、どうなんだ?
 疑問を抱きながらもさっきとは比べ物にならない速さですいすい歩いていくダンに置いていかれないよう、後を追った。



 レゾルールの図書館は凄かった。
 フォードも負けてはいないと思っていたが、これは負ける。王立図書館並みの規模だ。
 建物自体は軽いドーム状になっている。見えるところだけを数えると三階建てだが、案内標識には十三階建てと書かれていた。しかも地下三階まである。
 天上から地面まで全て本棚だ。私を三人積み上げなければ、一つの本棚の上から下まで手に届かない。
 図書館にいるのは多くは清族だ。本の世界がよほど楽しいのか、恍惚そうにページをめくっては唸り、また捲るを繰り返している。
 そこに混じって平民や貴族がいる。

「およそ三千万冊ほどあるのですよ。図書館とは叡智の結晶。胸が高鳴るものだ」
「童話、どの本があるかしら。初版本が欲しいわ」
「ふふ、『女王陛下の悪徳』ならば初版本も改訂版も改訂二版もあるかと」

 改訂二版は苦手だ。子供用に書き直したせいか、女王陛下は悪事をろくに行わないし、最後に勧善懲悪モノの体裁をとり、女王が改心してしまう。
 露骨な性描写を消すのならばまだわかるものだが、物語の根幹をなす女王陛下自身が、もともとは善良な人間だったが、事件のせいで人格が変わってしまった可哀想な人扱いされてしまうのだ。
 彼女は生まれた時から善と悪の境界を認識できないからいいのだ。善と悪の二極化にすることなく、区別することなく行うからこそいい。
『女王陛下の悪徳』とは周りが判断し、そう弾劾したからこそつけられた題名だ。もともとはこの本に題名はなかったと聞く。
 女王陛下は裁かれることなく、悠々と愛人達と時を過ごすのだ。

「用があるのは地下三階。こちらだ」

 図書館を一階降りると、別の景色が顔を出した。
 埃っぽい本の山。ほとんどが本棚から出されて、平積みにされている。
 くしゃみをしそうになった。

「ライ、きちんと棚に戻すように」

 ダンは奥で蠢き何者かに言い終えると、もう一階下へと向かった。
 もう地下二階はさっきとはうって変わって清潔感にあふれていた。本が整然と並んでおり、美しい。

「ここはヴィクターが管理している禁書の階。今日はいないようだが」
「ヴィクター・フォン・ロドリゲス? あいつ、このレゾルールの生徒なの?」
「ええ。お会いしていませんか? あれはまめな方だからもう挨拶をしているかと思ったのだが」

 たしかにこの階を見る限り、几帳面そうだ。

「まあ、まだ来てまもないし」
「そうですね。では、もう一階だけ降ります」

 階段を降りると、本棚の壁がいくつも並ぶ部屋に入る。特に古書が多い場所らしく、古い紙特有の汗ばんだと言うべきか、それとも紙魚が寄ってきそうなと言うべきか、独特の紙と歴史の臭いがする。

「トーマ、どこにいる?」

 トーマ。あの白くて生意気な清族のことか。
 ずずっと地面を引き摺る音が聞こえてきた。届かない本を取るための簡易的な階段が滑ってくる。片足をかけてトーマは階段に登ったまま移動してきた。

「ダン様?」
「トーマ、よかった。それは何を読んでいたのだ?」
「ライから借りた心理実験の結果だ。なかなか興味深い。ダン様も読まれる?」
「気になるな。戦時中の兵士に関するものか。それとも麻薬中毒者の精神状態に関する報告書か」
「いいや、どれとも違う。閉鎖空間での階級の変動についての結果報告」
「ああ、やっとデータとれたのか。ならば今からでも見せてもらおうか」

 ごほんと咳払いをする。
 このままでは、忘れ去られて一日が潰れそうだ。
 ダンの背筋がぴんと伸びる。こいつ、忘れていたな。

「というのはあとにしよう。トーマ、少し話したいことがあるのだが、いい?」
「本当はすっげえ嫌だけどな。俺はそんなに暇じゃねえし。でも、ダン様の命令じゃしかたねえか」

 さっきから、トーマの視線が痛いほど突き刺さってくる。歓迎されている感じではない。

「ありがとう。こちらはカルディア姫。お前も知っているだろうが、ギスランの婚約者の方だ」
「はいはい。で、ダン様。一応ここは俺専用のフロアなんだがな。言っとくけど、この暇人姫に場所を譲り渡せって話なら貴方でも容赦はしない」
「暇人姫!?」

 聞き捨てならない台詞だ。

「うっさ。オーボエかよ。いや、オーボエに失礼か。楽器は不協和音を出したりしねえし」
「失礼なのはお前の方よ!?」

 ふいっと顔を背けられる。
 こいつ、殴りたい!

「部屋の話ではないよ。でもトーマ、お前は研究室を持ち過ぎだ。その特権が与えられているからといっても、行使し続けるのはよくないだろう」
「権力は使わないと意味がねえだろ。俺は有効活用してるだけだ」
「他の清族から恨まれすぎるのはよくないと言っているのだけどね。まあいい。姫、トーマが失礼を。どうにも権力に阿る行為が苦手な奴なのです。トーマのことはご存知ですか?」
「ギスランの従弟みたいなものなのよね? お前の甥だと聞いたわ」

 二人を見たが、あまり似ていない。
 トーマは成長期がまだなのか、私より少し身長が低い。全身白いからミミズクのようだが、顔は猫目できりりとしている。
 一方、ダンはいかにも清族でじゃらじゃらと自分を着飾っておっとりとしている。
 同じなのは目の色だろうか。濃い紫色の瞳。

「そうです。これでも優秀な研究者であり、魔術師です。なにかお困りでしたら、姫のお役に立てるかと」
「はあ? ふっざけんな。俺はこんな女の世話はごめんです」
「……本人はこう言っているけれど」

 ダンはあははと乾いた笑い声をあげた。
 ダンは私にトーマを紹介したかっただけなのか?
 そうだとしたら、わざわざ地下に足を運ばせるだろうか。

「俺に馬鹿げた雑事をやらせるつもりなら、一度帰って適任かどうか考えた方がいいですよ」
「うーん、困ったな。ねえ、トーマ、ヴィクターの研究施設がこの学校にいくつあるか知っている?」

 いきなりの話題転換にトーマは話を逸らさられたと思ったのか、目を細めて威嚇するように低い声を出す。

「さあ、十五ぐらいじゃねえの。あーでも、この間馬鹿貴族の部屋をぶっ壊して二、三増やしたって聞いたような」

 聞き間違えか?
 貴族の部屋を壊したと言ったか?

「学内のどこにあるか正確に把握している?」
「してませんけど。つーか、学会提出する大切な資料とかあるんであんま場所は教え合わないし」
「大量に死体を保管している場所があるはずなのだけど」

 死体?

「……そりゃあ、ジョージの部屋にはいっぱいありますよ。あいつ解剖大好きだし」
「ジョージではなくて、ヴィクターの研究室の一つに、だ」

 トーマがひるんだようにダンを見つめた。
 二人の間には息を呑むような緊張感があった。どちらかが、軽はずみに否定すれば何かが消えてしまうような、緊迫した空気があった。

「俺はよく知らない」
「そうか。では言い方を変えよう。わたしはヴィクターが死体を使って死者蘇生の実験をしていると耳にした。それは、女神への冒涜であり、涜神である」

 死者蘇生!?
 それはつまり、死んだ人間を蘇らせる実験をしているということか!?

「断じて許してはならないし、到底許されるものではない。たとえ、天帝の信奉者であろうとも、だ」
「……それはつまり、裁判にかけるってことか?」
「その前に証拠を集めたい。そこで、お前に頼みがあるのだが、受けてくれるだろう?」

 目を伏せてたあと、しぶしぶといった様子でトーマは頷いた。
 手を貸さなければお前も一緒に処分するつもりがあると言っているようなものだ。頷くしかないのだろう。

「よかった。出来のいい甥を持ってわたしは幸せだ。何度もわたしが学校を出入りして、警戒されるだろう。お前がここにいてくれて助かったよ」

 だが、ちょっと待てよ。
 なんで私がここにいるんだ?

「さて、お前が探すにあたって、一人でうろうろするのは流石に不審だろう。なんといってもお前は研究所かここか自室に閉じこもり、外にろくに出ないのだから」
「おい、ダン様、まさか」

 トーマの視線が私の方を向く。
 私も、その視線の意味に気が付いた。

「カルディア姫に道案内をするという名目でいろいろと歩き回ってほしい。幸い、姫はここに来たばかりで道に不慣れでいらっしゃる。学内を少しずつ見回っていると言えば大丈夫だろう」

 かっと目を開かれた。

「よろしくお願いする。トーマ」

 トーマの戦慄くような悲鳴が室内にこだました。

「俺に、この女の道案内!?」
「もちろん、ふりだが。不審に思われない程度にな」
「俺が!? 女神よ、俺がいかなる不徳を行ったのか」

 女神に訴えかけられると複雑なのだが。そこまで嫌か?!

「ダン、私にも一切話がなかったのだけど」
「事情をお話しするには人払いしている場所でなければなかったので。遅くなってしまったのは申し訳ない。お受け下さらないか?」

 トーマが口パクでやめろと言ってくる。
 めらめらと闘志がわいてきたぞ。誰がやめるか。

「いいわよ。私がなにせ暇人姫らしいから」
「――っ! 可愛くねえ」

 ぎちぎちと歯が砕けそうなほど歯ぎしりしている。その姿を見ると少しだけ胸がすく。

「ならよかった。トーマ、姫にご迷惑をおかけしないように。そして愛想をつかされないように」

 トーマはしばらく悶絶していたが、覚悟を決めたのか、階段から降りた。
 そしてつかつかと歩いて、私の前で立ち止まると、すっと手を出してきた。

「よろしく、トーマ」

 その手を握ると、すぐに手を離されて、汚いものに触ったとばかりに裾で拭かれた。
 全然よろしくする気がないな。これだけ拒絶されるといっそ清々しい。

「これでいいんだろ。ダン様」

 思ったより低い、不機嫌そうな声でトーマがダンの名前を呼ぶ。
 ダンは花が綻ぶようににこにこと笑った。

「勿論だよ、トーマ」

 とりあえず、捜索は後日にすることになった。
 ダンはライの資料だという紙をもってほくほく顔で階段を上っている。
 少しだけ気になって、振り返る。トーマは階段に寄り掛かり、天井を祈るように見上げていた。
 死者蘇生。
 死人が蘇る実験とはどんなものなのだろうか。
 本当に蘇るとしたら、私は誰を蘇らせたいだろうか。
 少しだけ考えて、不問だと頭を振ってその思考を払い落す。
 死人は蘇ったりしない。
 死に神だって言っていたではないか。

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