どうやら私はバッドエンドに辿りつくようです。

夏目

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第三章 嫌われた王子様と呪われた乞食

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「誰だよ、ニコラって!」

 二日後。またもや私の寝室に忍び込んできたユリウスは叫んだ。いくら防音の術をしているからって、声を張り上げ過ぎだろう。白い目で見ると、苛々と睨み返された。

「ユリウス、はなおとめの前でうるさくするな」
「僕が結構いけるかなって自慢げに発表しようとしていた仮説が音を立てて崩れ去ったんだが!? 誰だよ、大神って! 頭痛が痛いなんだけど!? 重複表現をしちゃうほど、頭痛がする! 知らない神様がやってきてこれは全て僕のせいだからねって笑いながら去っていく幻想が見えた!」
「それはユリウスの幻想だから」

 一拍おいて、ユリウスについてきたヴィクターが目元を下げた。私を見てはにかむ。

「それにしても本当に無事でよかった。『聖塔』で起こった事件に巻き込まれたと聞いたときは気が遠くなりましたが」
「え、ええ。私もああなるとは思わなかったわ。幸い、クロードもリストも無事だし、サガルも安定したときいた」

 その知らせを受けたのは昨日の夜のことだった。電話……? とかいう機械で清族が知らせてくれたらしい。

「君、絶対に呪われてる。きっとイーストンが適当な仕事をしてるんだ。あいつらすぐに身贔屓で手を抜くから」
「それは偏見。イーストン家は十二分に役割を果たしている」

 ……? どうしてそこでイーストンの名前が出てくるのだろう。奇妙に思いながらも、不敬なユリウスに言葉を返す。

「呪われてないわよ」
「本当に? じゃあどうして、こう面倒なことが次から次へと起こるんだよ。僕が思うに君は女神に呪われてる。今からでも遅くないから死に神様を信仰した方がいい」

 ヴィクターが肩を竦めて首を振る。

「はなおとめが信仰するべきなのは、天帝様だ。ユリウスは分かってない」
「改宗するつもりはないわよ。というか、呪われてはいないわ。ただ大神に執着されているだけ……」
「いやいや、もう一度言うけど、大神って誰だよ。帰って文献を読み漁らないと。何を司る神様なの?」

 はてと黙り込んでしまう。
 二人にはニコラの言ったことを一切合切話してしまっていた。この間は神や妖精の話をして混乱させてしまうのではないかと思って言わなかったが、こうなってしまえば全部話した方がいいと思った。
 そもそも、こんなこと、一人で抱えきれなかった。二人とも混乱している様子だが、思ったよりは懐疑的ではなかった。
 話した内容が突飛由もなさすぎてまだ上手く受け止められていないということもあるだろうが、二人は明確に神の存在を信じて、疑っていないから、すんなり神様が出てくる話は受け入れてくれたようだった。
 大神ってどんな神様なのだろう。男神の生みの親といっていいのか。マグ・メルとニコラと会ったとき、そんな話をきいた。

「よくは知らないわ。そもそも、このもう世界の神様じゃあないみたいなのよね」
「はあ!?」
「ええっと、この世界にはもう関われないところにいるみたいなことを言っていたような……」
「? さっきと言っていること矛盾してるけど。その大神が今回のカルディア姫入れ替わり事件の犯人って言ってたよね」

 本当のことだけどすごい名前の事件名だな……。いや、ユリウスの言う通り、矛盾しているのだけど。

「それがなぜか私に執着して、普通なら干渉してこないのに、干渉してくるらしいのよ」
「干渉出来る構図自体に問題があるよね、それって! だいたい、なんだ、その背の皮! 不良品じゃないか。虫に食われるのに世界のこれからの行方の命運握ってるって!? がばがば過ぎないかな? 僕だったら、もっと安全なものに取り換えるし、一日中誰かに見張らせるけど!? というか、自分で書き換えるな!」

 はあはあぜえぜえと肩で息をして一息で言い切ったユリウスは、ぎょろりと視線を彷徨わせる。

「他にもある。そもそも、なんで背の皮の記述を書き換えるだなんて面倒な干渉の仕方をするんだよ。書き換えるより、自分で迎えに来て囲ってしまえばいいだろ。カルディア姫はただの人間で、抵抗もされないだろうし」
「この世界にいないというのが鍵なのかもしれない。あるいは、条件を満たさないと神が人に手を出せないのでは? 天帝様も、ご降臨されるには、依り代が必要だ」
「そうなの? それは初耳だ。死に神様は基本的にご降臨されないからな……。というか、天帝様降りてこられるのか」
「とても昔、ご降臨されたときのことが書かれた書物があって。依り代が合わなくてすぐにおかえりになったらしいけれど」
「今後、その本が読みたいんだけど」
「その話はあとで二人の時にやってくれると嬉しいのだけど……。ヴィクターの指摘があっていると思うわ。介入出来ないのだと思う。そもそも今回のことが例外だって、ニコラは何度も言っていたし」

 ヴィクターは露骨に顔を顰めた。なんだか、不快なものを見聞きしたと言いたげだった。

「ヴィクター?」
「……ああ、いえ、申し訳ありません。ただ、正直良い気分ではないなと思って」
「分かる。分かるよ。何が大神だ、ニコラだ。勝手に出てきて僕らの頭を踏みつけて歩かれたような感じだよ! 憎たらしくて憤死してしまいそうだ」
「ユリウスのその怒りは矜持を傷付けられたというよりははなおとめの力になれないことへの憤りだろう」

 え? と尋ね返そうとしたとき、ユリウスが顔を真っ赤に染めた。ばっと顔を隠してしまう。

「そんなわけないだろう!?」
「いや、ユリウスは案外そんな健気なところがあるから」
「ない! 僕は悪虐非道。謀略を重ねて生き残ってきた筆頭王宮魔術師だよ!? お花畑の住人のように、そんな能天気なこと考えるわけない!」

 だが言葉を重ねれば重ねるほど耳まで赤らんでいっている。なんだか見てはならないものを見てしまっているような気分だ。

「でも、困った。ニコラの話したことが本当ならばできることは限られる」
「……まずは裏付けを取るべきだと思うけど」
「裏付け?」
「ザルゴ公爵の墓を掘り返して、背中を確認する。背中の皮がなくなっていれば予言書が生きている可能性があるだろう」

 それはそうだ。確認は大切だ。

「……土葬されているのね」

 ライドル王国では水葬が一般的だ。水の中に、死の世界が広がっていると言われている。天国に行くのか、地獄に行くのかそこで決めるのだと。だから、土葬というのはとても屈辱的なものだ。天国や地獄にいく権利さえ剥奪されているようなものだからだ。

「まあ、あれほど貴族を殺せば大四公爵家の一人でも罪人扱いされるよ」
「詳しく、聞いてもいい? どうしてザルゴ公爵は会議中に発砲を?」

 何とも言い難いような困った顔を二人は浮かべた。

「それが分かっていたら苦労はしないよ」
「はなおとめ、ザルゴ公爵に悩みらしい悩みなどなかったのです。ただ、突然気鬱にかかり発狂したのだと見られています」
「あのザルゴ公爵だからね。皆、どうしてと思いながらも納得していた。芸術家であり、文筆家であり、軍人だった彼のことを誰もよくは知らなかったんだよ。だからこそ、何をしてもおかしくはないと、まあそう思われていたわけ」
「……サンジェルマンは何か言っていなかった?」

 髪を弄りながら尋ねると怪訝な顔をされた。

「サンジェルマン様?」
「ええ。私の世界ではあいつと親しいようだったわ」
「……親しいって話は聞いたことがないけど。まあ、今度会ったときに聞いてみるよ。丁度、明後日会う予定があるし」
「ユリウスにサンジェルマン様のことは任せるとして。はなおとめはどうされたいですか」
「どう?」

 はいと朴訥とした響きとともにヴィクターが頷いた。

「帰ることを前提にするか、それともここに馴染むことを優先するか、ということです」

 元の世界に戻る希望を捨てきれないのか、それとも諦めているのか。そうヴィクターは問いかけているようだった。

「元の世界に帰りたいと思っている気持ちに変わりはないわ」
「……そのニコラと言う者の言葉が事実であるとするならば、この世界ははなおとめにとって、並行世界でも、別の世界でもないということになります」

 ヴィクターは探るような静かな瞳で私を見つめている。

「はなおとめ、この世界の何が気に入らないのですか。クロード様と結ばれていることですか。婚約者のギスラン・ロイスタ―様が亡くなられているから? サガル様に殺されたかけたことが衝撃でしたか」
「何をききたいの」

 ヴィクターの質問は何が目的なのか判然としない。

「この世界ではだめなのかと思いまして」
「ヴィクター」

 たしなめるように、ユリウスが低い声でヴィクターを呼ぶ。

「ぼくは、この世界にいたはなおとめ――カルディア姫をよく知りません。これから前のカルディア姫を知ろうとも思わない。ぼくにとって、貴女こそがはなおとめだ。この世界を選んでくださいませんか」

 冗談で行っていないことは、表情を見ていれば分かる。だが、だからこそ困惑した。

「そんなこと、許されないわ」
「神さえ好き勝手にしているのに、一体誰に許しを? 元の世界に戻って、すぐ死ぬかもしれないのではないのですか。大神という神は貴女を助けたい。そして、ぼくも、はなおとめが死ぬなんて耐えられない」
「人は――死ぬものでしょう。死なない人間なんていない」
「それはそうですね。ですが、酷い拷問を受けるかもしれません」

 ヴィクターは言葉を淡々と重ねた。

「あるいは、土に埋められ、死後の約束が夢想のものとなるかもしれません。指を折っても、声を枯らしても出られない牢獄に入れられるかも。地下深い穴に落とされ、松明が上から降ってきたら? 熱した鉄の靴の上に乗って一生踊らなければならないという拷問があるのをご存知ですか。手足を斬られ、歯も奪わた娼婦がいることは? 性奴隷のなかには、どんな場所も使えるように穴を広げた者がいると聞きます。はなおとめ、想像とは、罪なもの。どうして、その神が書き換えたのかは分かりません考えを推し量ることもできません。けれど、きっと神の目から見てもはなおとめが辿る死は無慈悲なものなのではないでしょうか」

 それとも、そんな可能性に目を瞑っているのですか。
 ヴィクターの紫色の瞳は挑むように真っすぐ私を見つめている。私は彼と同じような力の強さで見つめ返す。

「この世界では貴女は満たされない?」

 この世界は、私がいた世界とはまるで違う。死んでいるはずの人間が生き、生きていたはずの人間が死んでいる。
 引き算と足し算のように、人が引かれ、増えている。
 言葉にするのは迷った。この世界は別に悪いところではない。おかしいと思う部分はいっぱいあるけれど、クロードの優しい労りも、リストとの子供のような喧嘩も、悪いものではない。サガルだって、きちんと目が二つついていた。私のせいで目をくり抜いた彼はここにはいなかった。
 ――けれど。

「ギスラン・ロイスタ―がこの世界にはいない」
「……はなおとめの元婚約者の」
「あいつは今でも私の婚約者よ。私、あいつと結婚するつもりなの。あちらの世界で」

 ヴィクターは口をしっかりと閉じた。まるで、私の言葉を遮らないようにしているみたいだった。

「私はあいつの寿命が伸びるように調べていたの。清族は短命で、ギスランの死期は近かった。結婚した次の日には未亡人になるなんて笑えないわ」

 唸るような声が出て、自分でもびっくりしてしまう。

「私はあの世界に帰って、童話のようにいつまでも幸せに暮らすのが目標なの」

 ……なんだ、それ。
 言葉に出して、うわあと蹲りたくなる。私は、そんなことを考えていたのか。
 童話の常套句。最期の締めの言葉。いつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。そんな風に、あの世界でギスランと生きたいのか。
 自分の口から出た言葉に驚いて口をもごつかせる。

「たとえ、はなおとめ自身が惨たらしい死に方をするとしても?」
「そうなったとき、私はここにいた自分を呪うかもしれないわね。元の世界に戻ってくるなんて馬鹿な事をするべきじゃない。大人しく、そこにいるべきだと」

 けれど、そんなこと、死ぬ前の私にそう言わせていればいいことだ。

「ヴィクター、お前が私のことを気遣ってくれるのは嬉しい。けれど、私はやっぱり元の世界に戻りたいと思うわ」
「そう、ですか」

 ヴィクターは心臓が飛び出してくるのをおさえるように胸に手をあてた。

「よく、分かりました。このヴィクター。はなおとめの望む通りに」
「……き、訊いておきたいことがあるの」

 ヴィクターが顔を上げた。

「どうしてお前は私の味方をするの? はなおとめ、だから?」
「ええ、そうです」
「はなおとめって、何なの。天帝の花のこと? でも、私とは何の関係もないでしょう?」
「……それを知ってどうするのですか」
「あちらの世界のお前にも言葉を濁されているの。どうして優しくしてくれるのか、分からなくて怖い」
「……天帝様が、はなおとめと呼ばれているのです」

 意味がわからない。そう言おうとしたのに、遮られた。

「天帝様が恋焦がれていらっしゃる方をお助けするのは我々の責務です。あの方の涙に濡れた声が、はなおとめの周りではしなくなる。いと高きところに在します神は、寿いでいらっしゃるのです」
「……お前達は私がどうしてはなおとめと呼ばれるのか、知らないの?」
「いいえ、知っております。ですが、きっとはなおとめに話してもお分かりならない」
「また、それだわ! あちらの世界のヴィクターも言っていた」

 頬を膨らませて怒りを滲ませるが、ヴィクターは決して説明する気はないようだった。頬の裏の肉を噛んで、むしゃくしゃする気持ちを紛らわせる。

「何も話していないのに、勝手にそう言われて、決め付けるられるのは気分が悪いわ」
「――申し訳ございません」
「謝って欲しいわけじゃ……」

 苛々とした気持ちをぶつけている。そう思って口を閉ざす。こんなことをしたいわけじゃない。詰りたいわけじゃ、ない。

「もう、いい。尋ねないことにする。――でも、はなおとめと呼ばれるのは妙な気分よ。私に全然あっていないように思う」
「そんなことはありませんよ」

 ヴィクターは少しだけ顔を綻ばせて笑った。

「ぼくははなおとめと呼ぶのが、好きですよ」



 しばらくするとヴィクターは用事があると言って先に帰ってしまった。ザルゴ公爵の件は任せてほしいと言葉を残して。
 ユリウスはヴィクターを見届けてしまったという顔をした。完全に帰る機会を見失ってしまったらしい。
 こちらに視線が向いた。バレていないよなと伺うような視線だった。バレているから、そんなおどおどしないで欲しい。
 こほんとまるで空気を変えるように、ユリウスは咳払いをする。

「この世界が、書き換わったか」
「どうか、したの?」

 ユリウスは苦笑を浮かべた。さっきまでの挙動不審さを隠すような動きだった。

「いや、ただ、君の生きていた世界の僕はどんなものだったのかと思って」
「どんな?」
「そう。僕に角が生えていなかったのはこの間の台詞で察したけどさ、どんな奴だったの」
「……私はお前と直接会っていないの。会ったのは、死んでから」

 言っていいものかと思ったが隠しても意味がないと思い口にする。
 ユリウスは半ば察していたのだろう。瞬き一つで、続きを促す。

「戦争で死んだのだと思うわ。ヨハンに殺されたみたいだった。詳しくは私も知らない」
「ヨハン? ヨハン・ハウスベル様?」
「ええ。こちらでも彼は」
「騎士の中の騎士だよ。僕と手柄を争っていた」

 そうか、ヨハン様かあ、とユリウスは眩しそうに一度目を閉じて、ゆっくりと苦笑しながら瞼を上げた。

「あんな化物と戦って一回死んだだけで済むなんて僕ってば幸運すぎるな。やっぱり、死に神様の手厚い加護を受けているのかも」
「……あの、あと一つ。これは夢の話だから、あまり重く受け止めないで欲しいのだけど」

 ごくりと唾をのみこんで、冗談を言うように軽い声を出す。

「お前がアストロ帝国に居続けてライドル王国を滅ぼした夢を、見たことがあるの。お前には角がなかった。でも、死に神を信仰しているのは同じだわ」
「ライドル王国を滅ぼした? 僕が?」
「……奇妙な夢だったの。アストロ帝国がまだあって、お前は肥沃な土地を求めて侵攻してきたと言っていた。ライドルは、こっちもまた奇妙なことになっていたの。清族と王族が対立していて、女神ではなく天帝を讃えていた。清族の頭はヴィクターになっていて、私が『聖塔』のなかにいて……」
「天帝を讃えていた? ラサンドル派が主権を握った世界ってこと?」

 首を捻ってよく分からないと答える。私も、ユリウスから聞いただけだし、喋れなかったので、詳しく質問もできなかった。

「私とお前は敵対していたの。私がライドルに残る最後の王族だと言っていた。私が死ねば、帝国に凱旋できると言っていた」
「そして、僕は君を殺した?」
「ええ、でもどうしてか世界が滅んでしまったの。大雨が降って、帝国で殺し合いが起こって」
「おかしな夢だね」
「夢、よね?」
「夢以外、何だって言うの。僕が本当に姫を殺したって? アストロ帝国のために? 馬鹿らしいな。あの帝国は、本当に最悪な国だったんだよ。あんな国のために戦をするならば、僕は喜んで死んでやる」

 唾を吐きつけるように、ユリウスが言い捨てる。春色の瞳が火にくべられた松明のようにけぶっていく。

「僕があの国の為にやることなんて何一つとしてないよ。君の夢だ」
「そう、よね」
「そうだよ」

 けぶっていた濁った眼が見えなくなる。ユリウスはぎこちなく笑った。

「さっきのことだけど、ヴィクターをあまり詰るべきじゃなかったと思うよ。あれでまだ三十年も生きていないのだし。……君が語ったことはかなり受け入れ難いものだし、ね」
「……そうよね」
「それに、君が見た夢が確かならば僕達は君の意識が元の世界に帰ってしまえば消える砂で出来た城だよね。並行世界がないだなんてとんでもないことを言ってくれるよ、そのニコラも、君も」

 顔から血の気が一瞬でひいた。

「君を帰さないようにとするヴィクターの気持ち、わかる気がする。……じゃあ、僕も帰るよ」

 霧に紛れるように、ヴィクターの姿が消えていく。
 私は唖然と部屋の中を見つめた。

 ――打ち明けたのは、失敗だった?

 ぐるぐると頭の中で言葉が回る。でも、失敗だったのかなんて私には分からなかった。
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