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第三章 嫌われた王子様と呪われた乞食
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クロードを連れて帰ろう。
私達の屋敷に。だってこいつは、あの屋敷が似合う。
こんな場所、似合わない。
人が殺すとか殺されるとか、そういうのが嫌いな奴だった。
クロードは私のことを嫌っていた。私も彼のことを疑っていた。ギスランを殺したのではないかと。
権力者で、ギスランのことを嫌っているようだったと聞いていた。
探るために結婚を受けた。……勿論、色々な面倒な事情もあった。
フィリップが国王となって、姉様達を連れ戻そうとした。彼女達はライドルには戻らなかったから、私は身代わりのようにこの国にとどまることを命令された。結婚するならば、王族。
サガルはああいう状態で、リストはーー。
リストは……。
「軽くしてやる」
ぱちんと指が鳴って、クロードの体が軽くなる。体のなかにあるものが全て抜き取られたような気がしてきいっと睨みつけた。
「死んだら助けようという気になったの?」
「お前を助けてる」
「クロードを助ける気はないということ?」
「死体を助けるのは流石の俺にも不可能だからな」
ああそうと言いながら、クロードを腕の下に滑り込む。腕を支えるように持ち上げる。中身がないように軽いけれど、運ぼうとすると難儀なものだった。すぐにころりと体ごと落ちそうになる。何とか体制を整えて歩き出すと、カリオストロが扉に手をかけた。どうやらエスコートしてくれる気はあるらしい。
「誰も、私が助けて欲しいと願うときにはそうしてくれない。それは、私を軽んじているからなのでしょうね」
「どうしてそう思う?」
「だって、本当に権力があるものの言葉は、どんなに不条理なものでも受け入れるでしょう」
「それは、そうだな」
鼻で笑う。では、やはり私は誰にも尊重されてはいないのだ。私を守ると言ったこいつからも。
「クロードは、軽薄な男のようだったけれど、とても私を尊重してくれた。あいつは、私がしたくないと言ったことを決してさせなかったし、一緒に眠りたいといったら叶えてくれた。あいつが眠るとき、ナイフを握っていたことをうすぼんやりとした闇のなか、見たことがある。怯えて飛び起きる朝があることを、教えてくれた。あの矜持が高い男は、私に確かな真心をくれた。お前と違って」
「へえ。そりゃあ、よかったな」
どうでもよさそうなご愛想の声だった。
カリオストロのことを利用しようと、いま決めた。
胸が軋むようだった。私を助けてくれたことを、忘れることはない。
けれど、彼はクロードに対して厳しかった。いや、こいつが尊重したいと思った奴以外にこいつは厳しかった。
見殺しにしたし、実際に直接手を下しもした。そんな彼に心を砕けるわけがない。
私の大切な人間を、助けて欲しい人間を、救って欲しいと願うのは、傲慢なことなのだろうか。慈しんで欲しいと頼むのは、そんなに難しいこと?
守るというのは私の体のことで、心の傷はどうでもいいの?
「どうして、そんなに貧民を憎むの」
「俺は殺されたんでな」
「でも、こうやって生きてる」
「そうだな。生きてる。生きて、ここにいる。だから、貧民を嫌ってる。俺が死んでたら、ここでこうやって意思表示もできなかっただろうな」
カリオストロが扉を開いた。
――そこは謁見室だった。何度も、目を閉じて開く。廊下に出るはずだ。なのに、謁見室にどうして繋がっている?
それに……あの、犬は?
ねえ、と声をかけようとしてぞわりと怖気が走った。
王座がどこにもない。いつも王座があった場所には鼠達が形作る立体的な凹凸がそこにはあるだけだ。足元にひしめく鼠を蹴飛ばしながら、悪寒の原因に近付く。
背中にあるクロードの体が歩くたびに揺れた。
鼠達が小山をつくっているそこに辿り着く。王座の形というよりは、座った人の石像のような形をしていた。
――いや、まさか!
鼠をかき分ける。皮膚を噛まれた。その瞬間、炎をあげて爆ぜていく。カリオストロが焼いているらしい。ありがとうという言葉が出かかって、息をつめた。あの男にありがとうなんていう気には今はなれなかった。
クロードの腕を首に巻きつける。片方の手で押さえているが、今にも滑り落ちそうだった。
飾りに指が触れた。軽く握っただけでちぎれる。美しい金の房だ。でも、至る所齧られている。しかも血で赤黒く部分的に汚れている。
私は手を止めた。もうこの鼠に埋もれたこの王座にいる人間を確かめようとは思わなかった。
だって、クロードが落ちてしまう。
――フィリップ国王陛下。
兄ではない人を、ここで見つけてもどうしようもない。
彼のために泣けない人間が彼を見つけてどうするんだ?
もう、この体はクロードを抱えているのに。
「そこには何があるんだ?」
カリオストロが不思議そうに尋ねた。
私は、もう一度王座がある場所に視線を向ける。ここに何があるか?
ここには。
指輪を首輪のように嵌めている鼠を見つけた。ちょこまかと動き回るそれは、鼠の群れのなかに消えていく。もうどこにも、見えない。かきわけて、追い掛けたが、どこかにいってしまった。どこにもいない。
「純金の指輪……」
クロードの体が体から落ちそうになる。慌てて抱えなおす。
「おい、カルディア?」
「……何もないわ。ただ」
ちゅうちゅうと鼠が鳴く。美味しい、美味しいと言っているように聞こえた。
「――ただ」
本当に、このままにしていていいのだろうか。
ここに見捨てて、構わない?
カリオストロに頼めば、運んでくれることだけはしてくれるかもしれない。いや、そうじゃなくても、亡骸を燃やしてくれるかもしれない。土には埋められないが、国王陛下を少しは弔えるのではないだろうか。
――最も、苦痛のある死?
――王都でぇ引き摺り回されぇ、石を投げられてぇ、死にたいとぉ。死んだ後ぉ、皮を剥がされて鞄にでもされたいとぉ。肉を細かく刻まれてぇ、魚のえさにぃ、されたいとぉ。骨はぁ、清族の杖の素材にぃされたいとぉ。人としてではなくぅ、畜生として死にたいとぉ。おっしゃられましたぁ。
オクタヴィスの声を思い出した。たしか……さっき聞いたことだ。
頭が痛い。さっき聞いたはずなのに、記憶がぼんやりとしている。けれど、確かにオクタヴィスが死ぬ前に、私に言ったのだ。
「鼠に食われて死ぬのは、痛いのかしら」
「そりゃあ痛いだろ。俺はあんな野蛮な奴らに食われるなんて御免だな」
「そう……」
ここに座っていたのが、本当に国王陛下なのかは分からない。けれど、もし、国王陛下だったとしたら、酷く苦痛を伴う死であれと呪った。
呪われた王女様。婚約者の次は、肉親を。その次は夫を呪い殺す? ああ、恐ろしい。悍ましい女。
いつか言われた言葉が頭の中をかける。ああ、その通りだ。みんな死ぬ。みんな死んでしまう。私が呪ったから、死んだのか?
きっと、そうだ。
クロードと声をかける。死人に、声は届かないのに。
クロードは天国に行くだろうか? 行かなくてはと思った。だって、天国には暗殺や毒殺や謀殺の心配はきっとない。クロードはぐっすり眠れて、朝、悲鳴を上げることなく目が覚める。たくさん、好きなものが食べれて、好きなものが飲める。
クロードは死ぬべきじゃなかった。けれど、死んでしまった。ならば、ここよりも良い場所に行かなくてはだめだ。
復讐。ごくりと唾液を嚥下する。
クロードは自分で自分を殺したと言っていた。けれど、明らかに殺された。私は犯人を知っている。分かってしまっている。
カリオストロは扉に手をかけた。王座だった鼠の塊を振り返る。爪先に誰かの甲冑らしきものがあたった。カチャンと音を立てるそれがどこか虚しい。
私達の屋敷に。だってこいつは、あの屋敷が似合う。
こんな場所、似合わない。
人が殺すとか殺されるとか、そういうのが嫌いな奴だった。
クロードは私のことを嫌っていた。私も彼のことを疑っていた。ギスランを殺したのではないかと。
権力者で、ギスランのことを嫌っているようだったと聞いていた。
探るために結婚を受けた。……勿論、色々な面倒な事情もあった。
フィリップが国王となって、姉様達を連れ戻そうとした。彼女達はライドルには戻らなかったから、私は身代わりのようにこの国にとどまることを命令された。結婚するならば、王族。
サガルはああいう状態で、リストはーー。
リストは……。
「軽くしてやる」
ぱちんと指が鳴って、クロードの体が軽くなる。体のなかにあるものが全て抜き取られたような気がしてきいっと睨みつけた。
「死んだら助けようという気になったの?」
「お前を助けてる」
「クロードを助ける気はないということ?」
「死体を助けるのは流石の俺にも不可能だからな」
ああそうと言いながら、クロードを腕の下に滑り込む。腕を支えるように持ち上げる。中身がないように軽いけれど、運ぼうとすると難儀なものだった。すぐにころりと体ごと落ちそうになる。何とか体制を整えて歩き出すと、カリオストロが扉に手をかけた。どうやらエスコートしてくれる気はあるらしい。
「誰も、私が助けて欲しいと願うときにはそうしてくれない。それは、私を軽んじているからなのでしょうね」
「どうしてそう思う?」
「だって、本当に権力があるものの言葉は、どんなに不条理なものでも受け入れるでしょう」
「それは、そうだな」
鼻で笑う。では、やはり私は誰にも尊重されてはいないのだ。私を守ると言ったこいつからも。
「クロードは、軽薄な男のようだったけれど、とても私を尊重してくれた。あいつは、私がしたくないと言ったことを決してさせなかったし、一緒に眠りたいといったら叶えてくれた。あいつが眠るとき、ナイフを握っていたことをうすぼんやりとした闇のなか、見たことがある。怯えて飛び起きる朝があることを、教えてくれた。あの矜持が高い男は、私に確かな真心をくれた。お前と違って」
「へえ。そりゃあ、よかったな」
どうでもよさそうなご愛想の声だった。
カリオストロのことを利用しようと、いま決めた。
胸が軋むようだった。私を助けてくれたことを、忘れることはない。
けれど、彼はクロードに対して厳しかった。いや、こいつが尊重したいと思った奴以外にこいつは厳しかった。
見殺しにしたし、実際に直接手を下しもした。そんな彼に心を砕けるわけがない。
私の大切な人間を、助けて欲しい人間を、救って欲しいと願うのは、傲慢なことなのだろうか。慈しんで欲しいと頼むのは、そんなに難しいこと?
守るというのは私の体のことで、心の傷はどうでもいいの?
「どうして、そんなに貧民を憎むの」
「俺は殺されたんでな」
「でも、こうやって生きてる」
「そうだな。生きてる。生きて、ここにいる。だから、貧民を嫌ってる。俺が死んでたら、ここでこうやって意思表示もできなかっただろうな」
カリオストロが扉を開いた。
――そこは謁見室だった。何度も、目を閉じて開く。廊下に出るはずだ。なのに、謁見室にどうして繋がっている?
それに……あの、犬は?
ねえ、と声をかけようとしてぞわりと怖気が走った。
王座がどこにもない。いつも王座があった場所には鼠達が形作る立体的な凹凸がそこにはあるだけだ。足元にひしめく鼠を蹴飛ばしながら、悪寒の原因に近付く。
背中にあるクロードの体が歩くたびに揺れた。
鼠達が小山をつくっているそこに辿り着く。王座の形というよりは、座った人の石像のような形をしていた。
――いや、まさか!
鼠をかき分ける。皮膚を噛まれた。その瞬間、炎をあげて爆ぜていく。カリオストロが焼いているらしい。ありがとうという言葉が出かかって、息をつめた。あの男にありがとうなんていう気には今はなれなかった。
クロードの腕を首に巻きつける。片方の手で押さえているが、今にも滑り落ちそうだった。
飾りに指が触れた。軽く握っただけでちぎれる。美しい金の房だ。でも、至る所齧られている。しかも血で赤黒く部分的に汚れている。
私は手を止めた。もうこの鼠に埋もれたこの王座にいる人間を確かめようとは思わなかった。
だって、クロードが落ちてしまう。
――フィリップ国王陛下。
兄ではない人を、ここで見つけてもどうしようもない。
彼のために泣けない人間が彼を見つけてどうするんだ?
もう、この体はクロードを抱えているのに。
「そこには何があるんだ?」
カリオストロが不思議そうに尋ねた。
私は、もう一度王座がある場所に視線を向ける。ここに何があるか?
ここには。
指輪を首輪のように嵌めている鼠を見つけた。ちょこまかと動き回るそれは、鼠の群れのなかに消えていく。もうどこにも、見えない。かきわけて、追い掛けたが、どこかにいってしまった。どこにもいない。
「純金の指輪……」
クロードの体が体から落ちそうになる。慌てて抱えなおす。
「おい、カルディア?」
「……何もないわ。ただ」
ちゅうちゅうと鼠が鳴く。美味しい、美味しいと言っているように聞こえた。
「――ただ」
本当に、このままにしていていいのだろうか。
ここに見捨てて、構わない?
カリオストロに頼めば、運んでくれることだけはしてくれるかもしれない。いや、そうじゃなくても、亡骸を燃やしてくれるかもしれない。土には埋められないが、国王陛下を少しは弔えるのではないだろうか。
――最も、苦痛のある死?
――王都でぇ引き摺り回されぇ、石を投げられてぇ、死にたいとぉ。死んだ後ぉ、皮を剥がされて鞄にでもされたいとぉ。肉を細かく刻まれてぇ、魚のえさにぃ、されたいとぉ。骨はぁ、清族の杖の素材にぃされたいとぉ。人としてではなくぅ、畜生として死にたいとぉ。おっしゃられましたぁ。
オクタヴィスの声を思い出した。たしか……さっき聞いたことだ。
頭が痛い。さっき聞いたはずなのに、記憶がぼんやりとしている。けれど、確かにオクタヴィスが死ぬ前に、私に言ったのだ。
「鼠に食われて死ぬのは、痛いのかしら」
「そりゃあ痛いだろ。俺はあんな野蛮な奴らに食われるなんて御免だな」
「そう……」
ここに座っていたのが、本当に国王陛下なのかは分からない。けれど、もし、国王陛下だったとしたら、酷く苦痛を伴う死であれと呪った。
呪われた王女様。婚約者の次は、肉親を。その次は夫を呪い殺す? ああ、恐ろしい。悍ましい女。
いつか言われた言葉が頭の中をかける。ああ、その通りだ。みんな死ぬ。みんな死んでしまう。私が呪ったから、死んだのか?
きっと、そうだ。
クロードと声をかける。死人に、声は届かないのに。
クロードは天国に行くだろうか? 行かなくてはと思った。だって、天国には暗殺や毒殺や謀殺の心配はきっとない。クロードはぐっすり眠れて、朝、悲鳴を上げることなく目が覚める。たくさん、好きなものが食べれて、好きなものが飲める。
クロードは死ぬべきじゃなかった。けれど、死んでしまった。ならば、ここよりも良い場所に行かなくてはだめだ。
復讐。ごくりと唾液を嚥下する。
クロードは自分で自分を殺したと言っていた。けれど、明らかに殺された。私は犯人を知っている。分かってしまっている。
カリオストロは扉に手をかけた。王座だった鼠の塊を振り返る。爪先に誰かの甲冑らしきものがあたった。カチャンと音を立てるそれがどこか虚しい。
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