252 / 320
第三章 嫌われた王子様と呪われた乞食
238
しおりを挟む
「ま、どうでもいいですけど。貴女に忘れられるのはこれで二回目ですから」
「……どういう意味?」
「そんなの、貴女が知ってるんじゃないんですか?」
つんと顔を背けられた。意味がわからない。知らないが?
この山羊頭――ルコルス・カロナールは、カリオストロと同じく私の従者らしい。しかも、幼馴染? 山羊が幼馴染になったことは一度もない。そもそも、こいつを私は知らない。
本当に、カリオストロとこの山羊の男のいう私とは一体誰なのだろう?
本当にこんな化け物どもを従者にしていたと? そっちの方が信じられない。
「意地悪を言うなよ。ルコルス、どうしてイヴァン・ランカンを殺した?」
「どうして? それ、答える必要ありますか?」
「あるだろ」
カリオストロは神経質そうな声で食いついた。
シャンデリアが揺れている。きらきらと、クリスタルが光を反射していた。
何百人と入れる会場には私達の他には山羊達しかいない。彼らは黙りこくり、伺うように私達を見ていた。声ががらんどうなな会場に響いていた。
「こいつの従者だ。カルディアの裁定を待たずに殺していいと本気で思っているのか」
「いいでしょ、別に。恋敵を殺しただけなので」
……は?
こいつ、今何と言った?
聞き間違えか? 耳がおかしくなった?
恋敵を殺したと言ったのか?
こんな、場所で? こんな異常事態で?
こいつは恋敵を殺しただけだと平気でいうのか?
「イヴァンも、あの糞鼠をこうしたかったんですよ。あぁ、すっきりした」
「アハトを見殺しにしてしたかったことがこれとは驚きだな」
「貴方も見殺しにしているでしょうが」
山羊頭は苛立ちを隠しながら吠えた。横長な瞳孔が睫毛に押しつぶされるように消えていく。
「アハトは前と同じだ。見殺しにされた。嘆かれもしない。せっかく蘇ったんですけどね? 貴女は別にアハトのことなんてどうでも良かったんでしょうが。死んでも報われない男ですよ」
「――やはり、蘇ったんだよな。これ、どうなってると思う?」
「そういうのはカリオストロ、貴方の得意分野だと思っていましたけどね。おれは詳しくない。けれど、おれたちを呼び出したのはイヴァンではなさそうでしたよ。ほら、首を切り落としても、こうやっておれ達は気ままに生きているでしょう?」
「やめて」
掲げられた長い水色の髪を垂れ流した首を見て、どうしても口を開かずにはいられなかった。まるで旗のように掲げているそれは血がぽたぽたと滴っている。目は見開かれ、唇は生々しく少しだけ開いていた。石像のようだと思う。それぐらい作り物めいて見えた。
「掲げるのを、やめて。丁寧に扱って」
「ハッ、愛人にはお優しいですね、相変わらず。股を開いた男にはやはり情が移るものなんでしょうか?」
「お、お前!」
どうして、そんなに下品な物言いをされなくてはならないんだ。処刑人とは、一度も寝たことはない。それどころか、きちんと話をしたことさえないのだ。嘲笑に怒りを表すと、何故かカリオストロまで白けたような表情を浮かべた。
「死人を陵辱する権利は誰にも与えられていないはずよ」
「罪人は別でしょう。殺人鬼が死後に遺族に石を投げられて原型をとどめていないことだってよくありましたし。人を殺した者は、その罪に見遣った罰を受ける公共的な義務を持つ。そもそも、おれは生きている状態で拷問なりなんなりをする方が人道に反すると思いますが。死んだ後の体は、痛みを感じない。人々の気も晴れて一石二鳥だと思いますが」
……ど、独特な持論を展開されてしまった。こんなことを話したかったのではなくて、単純に、処刑人の首を置いて欲しいという意図だったのだが……。だいたい、恋敵を殺したいだけだった男を遺族と同列に扱うのは間違っているだろう。
そこまでいい感情を抱いている奴ではないとしても、首だけになっている奴を見るのは忍びない。
それだけの理由なのに、突き刺さる視線の鋭さは増すばかりだ。
「その処刑人に罪があると言いたいの?」
「……どうしたんです?」
「どうって、どういう意味?」
ふむと言いながら、山羊はちろりと舌を出してうっすら視認できる唇を舐めた。
「貴女がイヴァンを処刑人と呼ぶのは珍しいでしょう。前は騎士と呼んでいたのに」
「……はあ」
大きくため息をつくと、山羊は肩を震わせた。怯えているようだった。でも、何に?
この場にいる脅威は明らかに目の前の山羊だ。大きさからいっても、私がこの山羊に勝てる要素は一つもない。では、どうして、この大山羊は私を見て微かに怯えているのだろう?
「お前も人違いをしているの」
「人違い? カルディアと呼ばれて、貴女はそれを受け入れていましたよね? それに、おれを知っているようでしたが。嘘ならばもっとましにつけと、誰も教えなかったのですか?」
「それは、……その、自分でもよく分かってはいないのだけど。お前と一度、どこかで会ったことがある気がして……」
「ハッ、いいですね。おれはルコルス・カロナール。貴女と夢の中で一度会っていると思うんですが、覚えていない? ああ、悲しいな。あんなに睦合ったのに。――おぇ。三文小説のくだらない男の役は吐き気がするんですが」
「そうではなくて!」
こいつ、私をおちょくっているのか?
「揶揄われているとしたら、業腹だ。おれはそういうからかいが一番嫌いです。それとも、また記憶喪失? お断りの定型文みたいですね。今日は具合が悪くって、いけそうにありません。いけるのを楽しみにしていたんですが、申し訳ない。記憶がないから、一から教えて。お前の名前を知らないけれど、どこかで見覚えがある気がする。だから、こんなことが聞けるのって。一度、おれは記憶喪失の貴女を見てる。二回目は冴えませんし、面白みがない」
「記憶喪失なんかじゃない」
強く否定すると、山羊はぐわっと大口を開けた。人間のように歯が何本も規則正しく並んでいた。
「私は、確かにカルディアだし、お前を知っているような気がしたけれど、本当にお前のことなんか知らないの」
「なるほど、納得しました。おれをどこまでもコケにするつもりなんですね」
がこんと、音がして、体が吹っ飛ばされた。地面に頭を叩きつけられたと分かった瞬間、ぬめりとしたものが髪の方から滴ってくる。何だろうと思って、手で探ろうとしたとき、ぱきっと腕が鳴った。えと声が漏れるか、漏れないかというところで痛みが全身を駆け巡った。息が上手く吐けない。みしみしと、骨が軋んでいる。目の前に、大きな蹄が見えた。
「不愉快ですよ」
最初は、頭だったように思う。いや、胸だったか? 蹄で何度も踏まれて、そのたびに強烈な痛みが襲った。ひゅうひゅうとこぼれるのは、本当に喉からであっているのだろうか。指先の感覚がない。
……腕はきちんと繋がっている?
本当に?
ぶちっと吐き気がしそうな音がさっきした。あれは、いったいどこの筋繊維が切れる音だったのだろう。目がきちんと開けていられるのが、不思議だった。
「クロード」
何度も名前を呼んだ。もういないのは、分かっている。けれど、さっきまで私が抱えていた彼はどうなっているのだろう。首が動かせない。体が床にめり込んだみたいだ。屋敷に、連れて帰らないといけないのに。きちんと弔ってやらないといけないのに。
指が、動かせない。耳鳴りがする。
痛みが熱さに変わっていく。汗なのか、血なのか分からないものが視界を遮ろうとしている。
「クロード」
怖い。熱い。怖い。寒い。
何も見えない。
クロード。
命の炎がゆらゆら揺らいでいる。心臓が、動きを鈍くして、頭がどんどん回らなくなっていく。
結局、何も出来なかった。復讐も、自分で死ぬことも。
なんて、無様なんだろう。
きっと私は、地獄に行く。
シャンデリアの光がきらきらしている。
どうしてだろう。
クロードと初めて踊った舞踏会のことを思い出した。
結婚して、子供が出来るまでの短い期間の出来事だ。
あいつの靴を私が踏んで、ぶつぶつとお小言をこぼされた。あのときも、シャンデリアのクリスタルが星のように瞬いていて眩しかった。
そのとき、ドレスの文句も言われた。地味で、姫というより侍女っぽいと。だから、あいつがこれからは服を選ぶと言っていた。帰って、本当にドレスを侍女と話し合って決めていたので驚いた。私に嫌悪感しか抱いていないと思っていたから。
――あぁ。
引き攣った声で名前を呼ぶ。
クロード。どうして、私はこんな服を着ているの。
子供の頃に着ていた、幼すぎる地味な色。
きちんと言ってくれればよかったのに。品がないと。
あいつは、どれだけ我慢したのだろう。やはり記憶がぼんやりとしている。どうしてこの服を着たのかは、よく分からない。けれど、クロードが自分を殺して自由にさせてくれていたのだけはよく分かった。あいつは私を思いやってくれたのだ、と何故か強烈に思った。自分の意見を押し殺し、好きにさせてくれた。自己犠牲を尊ぶような男じゃなかった。なのにあいつは死んだのだ。
寒いのに、熱い。熱いのに、心まで凍るように寒い。
血のこびりついた蹄の底が顔に覆い被さろうとしている。目を閉じた。
痛みは一瞬だった。
「……どういう意味?」
「そんなの、貴女が知ってるんじゃないんですか?」
つんと顔を背けられた。意味がわからない。知らないが?
この山羊頭――ルコルス・カロナールは、カリオストロと同じく私の従者らしい。しかも、幼馴染? 山羊が幼馴染になったことは一度もない。そもそも、こいつを私は知らない。
本当に、カリオストロとこの山羊の男のいう私とは一体誰なのだろう?
本当にこんな化け物どもを従者にしていたと? そっちの方が信じられない。
「意地悪を言うなよ。ルコルス、どうしてイヴァン・ランカンを殺した?」
「どうして? それ、答える必要ありますか?」
「あるだろ」
カリオストロは神経質そうな声で食いついた。
シャンデリアが揺れている。きらきらと、クリスタルが光を反射していた。
何百人と入れる会場には私達の他には山羊達しかいない。彼らは黙りこくり、伺うように私達を見ていた。声ががらんどうなな会場に響いていた。
「こいつの従者だ。カルディアの裁定を待たずに殺していいと本気で思っているのか」
「いいでしょ、別に。恋敵を殺しただけなので」
……は?
こいつ、今何と言った?
聞き間違えか? 耳がおかしくなった?
恋敵を殺したと言ったのか?
こんな、場所で? こんな異常事態で?
こいつは恋敵を殺しただけだと平気でいうのか?
「イヴァンも、あの糞鼠をこうしたかったんですよ。あぁ、すっきりした」
「アハトを見殺しにしてしたかったことがこれとは驚きだな」
「貴方も見殺しにしているでしょうが」
山羊頭は苛立ちを隠しながら吠えた。横長な瞳孔が睫毛に押しつぶされるように消えていく。
「アハトは前と同じだ。見殺しにされた。嘆かれもしない。せっかく蘇ったんですけどね? 貴女は別にアハトのことなんてどうでも良かったんでしょうが。死んでも報われない男ですよ」
「――やはり、蘇ったんだよな。これ、どうなってると思う?」
「そういうのはカリオストロ、貴方の得意分野だと思っていましたけどね。おれは詳しくない。けれど、おれたちを呼び出したのはイヴァンではなさそうでしたよ。ほら、首を切り落としても、こうやっておれ達は気ままに生きているでしょう?」
「やめて」
掲げられた長い水色の髪を垂れ流した首を見て、どうしても口を開かずにはいられなかった。まるで旗のように掲げているそれは血がぽたぽたと滴っている。目は見開かれ、唇は生々しく少しだけ開いていた。石像のようだと思う。それぐらい作り物めいて見えた。
「掲げるのを、やめて。丁寧に扱って」
「ハッ、愛人にはお優しいですね、相変わらず。股を開いた男にはやはり情が移るものなんでしょうか?」
「お、お前!」
どうして、そんなに下品な物言いをされなくてはならないんだ。処刑人とは、一度も寝たことはない。それどころか、きちんと話をしたことさえないのだ。嘲笑に怒りを表すと、何故かカリオストロまで白けたような表情を浮かべた。
「死人を陵辱する権利は誰にも与えられていないはずよ」
「罪人は別でしょう。殺人鬼が死後に遺族に石を投げられて原型をとどめていないことだってよくありましたし。人を殺した者は、その罪に見遣った罰を受ける公共的な義務を持つ。そもそも、おれは生きている状態で拷問なりなんなりをする方が人道に反すると思いますが。死んだ後の体は、痛みを感じない。人々の気も晴れて一石二鳥だと思いますが」
……ど、独特な持論を展開されてしまった。こんなことを話したかったのではなくて、単純に、処刑人の首を置いて欲しいという意図だったのだが……。だいたい、恋敵を殺したいだけだった男を遺族と同列に扱うのは間違っているだろう。
そこまでいい感情を抱いている奴ではないとしても、首だけになっている奴を見るのは忍びない。
それだけの理由なのに、突き刺さる視線の鋭さは増すばかりだ。
「その処刑人に罪があると言いたいの?」
「……どうしたんです?」
「どうって、どういう意味?」
ふむと言いながら、山羊はちろりと舌を出してうっすら視認できる唇を舐めた。
「貴女がイヴァンを処刑人と呼ぶのは珍しいでしょう。前は騎士と呼んでいたのに」
「……はあ」
大きくため息をつくと、山羊は肩を震わせた。怯えているようだった。でも、何に?
この場にいる脅威は明らかに目の前の山羊だ。大きさからいっても、私がこの山羊に勝てる要素は一つもない。では、どうして、この大山羊は私を見て微かに怯えているのだろう?
「お前も人違いをしているの」
「人違い? カルディアと呼ばれて、貴女はそれを受け入れていましたよね? それに、おれを知っているようでしたが。嘘ならばもっとましにつけと、誰も教えなかったのですか?」
「それは、……その、自分でもよく分かってはいないのだけど。お前と一度、どこかで会ったことがある気がして……」
「ハッ、いいですね。おれはルコルス・カロナール。貴女と夢の中で一度会っていると思うんですが、覚えていない? ああ、悲しいな。あんなに睦合ったのに。――おぇ。三文小説のくだらない男の役は吐き気がするんですが」
「そうではなくて!」
こいつ、私をおちょくっているのか?
「揶揄われているとしたら、業腹だ。おれはそういうからかいが一番嫌いです。それとも、また記憶喪失? お断りの定型文みたいですね。今日は具合が悪くって、いけそうにありません。いけるのを楽しみにしていたんですが、申し訳ない。記憶がないから、一から教えて。お前の名前を知らないけれど、どこかで見覚えがある気がする。だから、こんなことが聞けるのって。一度、おれは記憶喪失の貴女を見てる。二回目は冴えませんし、面白みがない」
「記憶喪失なんかじゃない」
強く否定すると、山羊はぐわっと大口を開けた。人間のように歯が何本も規則正しく並んでいた。
「私は、確かにカルディアだし、お前を知っているような気がしたけれど、本当にお前のことなんか知らないの」
「なるほど、納得しました。おれをどこまでもコケにするつもりなんですね」
がこんと、音がして、体が吹っ飛ばされた。地面に頭を叩きつけられたと分かった瞬間、ぬめりとしたものが髪の方から滴ってくる。何だろうと思って、手で探ろうとしたとき、ぱきっと腕が鳴った。えと声が漏れるか、漏れないかというところで痛みが全身を駆け巡った。息が上手く吐けない。みしみしと、骨が軋んでいる。目の前に、大きな蹄が見えた。
「不愉快ですよ」
最初は、頭だったように思う。いや、胸だったか? 蹄で何度も踏まれて、そのたびに強烈な痛みが襲った。ひゅうひゅうとこぼれるのは、本当に喉からであっているのだろうか。指先の感覚がない。
……腕はきちんと繋がっている?
本当に?
ぶちっと吐き気がしそうな音がさっきした。あれは、いったいどこの筋繊維が切れる音だったのだろう。目がきちんと開けていられるのが、不思議だった。
「クロード」
何度も名前を呼んだ。もういないのは、分かっている。けれど、さっきまで私が抱えていた彼はどうなっているのだろう。首が動かせない。体が床にめり込んだみたいだ。屋敷に、連れて帰らないといけないのに。きちんと弔ってやらないといけないのに。
指が、動かせない。耳鳴りがする。
痛みが熱さに変わっていく。汗なのか、血なのか分からないものが視界を遮ろうとしている。
「クロード」
怖い。熱い。怖い。寒い。
何も見えない。
クロード。
命の炎がゆらゆら揺らいでいる。心臓が、動きを鈍くして、頭がどんどん回らなくなっていく。
結局、何も出来なかった。復讐も、自分で死ぬことも。
なんて、無様なんだろう。
きっと私は、地獄に行く。
シャンデリアの光がきらきらしている。
どうしてだろう。
クロードと初めて踊った舞踏会のことを思い出した。
結婚して、子供が出来るまでの短い期間の出来事だ。
あいつの靴を私が踏んで、ぶつぶつとお小言をこぼされた。あのときも、シャンデリアのクリスタルが星のように瞬いていて眩しかった。
そのとき、ドレスの文句も言われた。地味で、姫というより侍女っぽいと。だから、あいつがこれからは服を選ぶと言っていた。帰って、本当にドレスを侍女と話し合って決めていたので驚いた。私に嫌悪感しか抱いていないと思っていたから。
――あぁ。
引き攣った声で名前を呼ぶ。
クロード。どうして、私はこんな服を着ているの。
子供の頃に着ていた、幼すぎる地味な色。
きちんと言ってくれればよかったのに。品がないと。
あいつは、どれだけ我慢したのだろう。やはり記憶がぼんやりとしている。どうしてこの服を着たのかは、よく分からない。けれど、クロードが自分を殺して自由にさせてくれていたのだけはよく分かった。あいつは私を思いやってくれたのだ、と何故か強烈に思った。自分の意見を押し殺し、好きにさせてくれた。自己犠牲を尊ぶような男じゃなかった。なのにあいつは死んだのだ。
寒いのに、熱い。熱いのに、心まで凍るように寒い。
血のこびりついた蹄の底が顔に覆い被さろうとしている。目を閉じた。
痛みは一瞬だった。
0
あなたにおすすめの小説
家出を決行した結果
棗
恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。
デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。
自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。
※なろうさんにも公開しています。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる