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1 姫ポジ幼馴染
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俺には小中高と、ずっと一緒だった幼馴染がいる。
俺たちは中学受験組で、都会ではそこまで珍しくはないのだろうが、俺たちの学校ではクラスにひとりいるかいないくらいかの割合だった。
同じ学区からは俺たち二人だけが男子校であるその私立学校に入学し、クラスが一緒だったり離れたりを繰り返しながら、六年間同じ空手部で仲良く青春時代を過ごした。
俺の幼馴染……柳清流は出会った時から、まるで人形のような可愛らしい男の子だった。
名前の音が女の子っぽいのもあいまって、性別を間違われることは日常茶飯事であり、小学時代はその可愛らしさを揶揄う同級生もいたが、好きな子にちょっかいを出したくなるという小学生あるあるの延長にしかすぎなかった。
清流は同じ空手道場に通い家の方向も同じ俺と一緒に行動することが多かったが、昔から変な大人に絡まれたりつきまとわれたりすることもあり、子供ながら「一緒にいて何かあったら守ってあげなければ」と使命感に燃えていた記憶はある。
実際、清流が無理矢理車に乗せられようとする現場を見かけて防犯ブザーを鳴らしつつ手にしていた木の棒でその相手を叩いたり、公園で話し掛けて来て暗がりに連れ込もうとした男の写メをわかりやすく撮ったり、電車に乗って遊びに行く最中に清流の下半身を触ろうとしていた痴女を捕まえたり、清流関係の事件にはとにかく色々巻き込まれたものだ。
そんな清流だから、想像通りというかなんというか、学ランを着ていても男装女子と間違えられた。
そして、入学式の次の日には噂を聞きつけた他学年の学生たちが清流を一目でも見ようと廊下に群がった。
清流の中学入学当時の身長は百五十センチ、色素も体形も体毛も色々薄かった幼馴染は即、当然の如く学校内で姫ポジ認定されたのである。
姫ポジとは男子校あるあるの一学年に数人は存在する愛され枠で、背が低く童顔、もしくは中性的という特徴があれば、大抵はこの枠に仲間入りするのだ。
そうした対象を求めてしまうのも、男ばかりの環境では仕方がないのかもしれない。
しかし、清流は毎日ブチ切れていた。
清流が男子生徒に呼び出されて告られるのは常であったし、中にはストーカーまがいのことをするような奴も、更には自分の精液を下駄箱にぶちまけるような変態まで現れた。
精液事件の時には、俺が先生に相談しようと清流を説得して、最終的に警察も巻き込んでの大騒動になった。
因みに変態の姿は防犯カメラにばっちり映っていたので三日間の停学からの自主退学となったのだが、俺たちにとってショックだったのは、その犯人が同じクラスメイトでそこそこ仲良く話す奴だったということだ。
「元弥以外、もう誰も信用できねぇ……」
そう言って不登校気味になった清流に、きっと人間、割合の問題で十人いれば悪いことをする奴はひとりくらいいるだろうし、三十人のクラスなら三人いてもおかしくはない……そう説明して、再び学校へ行かせたのもまた俺だった。
素直な清流はなるほどと言って、納得したようだった。
清流は基本的に高嶺の花の扱いであったが、やはりというべきかなんというべきか、それらの事件以外にも、学校内外問わず貞操の危機に陥ることも何度かあった。
何かと厄介事に巻き込まれる、そんな体質の幼馴染を持つ当時の俺はといえば、中学入学当時身長百七十センチで、背が高いほうだ。
だから柔道部員三人で清流が抑え込まれていた時には助けに割って入っていったし、清流が勝手に姫ポジ認定され、物凄く嫌そうに、また心底迷惑そうにしているのを見て、俺だけは良き理解者であろう、そしてこいつの貞操を守ってやろう、という使命感を胸に刻んで毎日一緒に登下校をしたものだ。
そして毎回ヒーローのごとく清流を助けていた俺がやたら懐かれたのも、当然といえば当然なのだろう。
俺だけは清流を姫扱いをしなかったことがまた、良かったのかもしれない。
因みに清流は元々、俺よりよっぽど男らしい性格である。
しかし残念ながら中学時代の彼には、圧倒的な姫感があったようだ。
ストーカー気質な清流ファンの生徒達から何回か嫌がらせを受けたが、俺は全く気にすることなく清流との友情を大事にした。
学校でも部活でも、そしてバイト先ですら一緒の俺たちは、気づけば二人でワンセットと扱われるようになっていたのである。
俺たちは中学受験組で、都会ではそこまで珍しくはないのだろうが、俺たちの学校ではクラスにひとりいるかいないくらいかの割合だった。
同じ学区からは俺たち二人だけが男子校であるその私立学校に入学し、クラスが一緒だったり離れたりを繰り返しながら、六年間同じ空手部で仲良く青春時代を過ごした。
俺の幼馴染……柳清流は出会った時から、まるで人形のような可愛らしい男の子だった。
名前の音が女の子っぽいのもあいまって、性別を間違われることは日常茶飯事であり、小学時代はその可愛らしさを揶揄う同級生もいたが、好きな子にちょっかいを出したくなるという小学生あるあるの延長にしかすぎなかった。
清流は同じ空手道場に通い家の方向も同じ俺と一緒に行動することが多かったが、昔から変な大人に絡まれたりつきまとわれたりすることもあり、子供ながら「一緒にいて何かあったら守ってあげなければ」と使命感に燃えていた記憶はある。
実際、清流が無理矢理車に乗せられようとする現場を見かけて防犯ブザーを鳴らしつつ手にしていた木の棒でその相手を叩いたり、公園で話し掛けて来て暗がりに連れ込もうとした男の写メをわかりやすく撮ったり、電車に乗って遊びに行く最中に清流の下半身を触ろうとしていた痴女を捕まえたり、清流関係の事件にはとにかく色々巻き込まれたものだ。
そんな清流だから、想像通りというかなんというか、学ランを着ていても男装女子と間違えられた。
そして、入学式の次の日には噂を聞きつけた他学年の学生たちが清流を一目でも見ようと廊下に群がった。
清流の中学入学当時の身長は百五十センチ、色素も体形も体毛も色々薄かった幼馴染は即、当然の如く学校内で姫ポジ認定されたのである。
姫ポジとは男子校あるあるの一学年に数人は存在する愛され枠で、背が低く童顔、もしくは中性的という特徴があれば、大抵はこの枠に仲間入りするのだ。
そうした対象を求めてしまうのも、男ばかりの環境では仕方がないのかもしれない。
しかし、清流は毎日ブチ切れていた。
清流が男子生徒に呼び出されて告られるのは常であったし、中にはストーカーまがいのことをするような奴も、更には自分の精液を下駄箱にぶちまけるような変態まで現れた。
精液事件の時には、俺が先生に相談しようと清流を説得して、最終的に警察も巻き込んでの大騒動になった。
因みに変態の姿は防犯カメラにばっちり映っていたので三日間の停学からの自主退学となったのだが、俺たちにとってショックだったのは、その犯人が同じクラスメイトでそこそこ仲良く話す奴だったということだ。
「元弥以外、もう誰も信用できねぇ……」
そう言って不登校気味になった清流に、きっと人間、割合の問題で十人いれば悪いことをする奴はひとりくらいいるだろうし、三十人のクラスなら三人いてもおかしくはない……そう説明して、再び学校へ行かせたのもまた俺だった。
素直な清流はなるほどと言って、納得したようだった。
清流は基本的に高嶺の花の扱いであったが、やはりというべきかなんというべきか、それらの事件以外にも、学校内外問わず貞操の危機に陥ることも何度かあった。
何かと厄介事に巻き込まれる、そんな体質の幼馴染を持つ当時の俺はといえば、中学入学当時身長百七十センチで、背が高いほうだ。
だから柔道部員三人で清流が抑え込まれていた時には助けに割って入っていったし、清流が勝手に姫ポジ認定され、物凄く嫌そうに、また心底迷惑そうにしているのを見て、俺だけは良き理解者であろう、そしてこいつの貞操を守ってやろう、という使命感を胸に刻んで毎日一緒に登下校をしたものだ。
そして毎回ヒーローのごとく清流を助けていた俺がやたら懐かれたのも、当然といえば当然なのだろう。
俺だけは清流を姫扱いをしなかったことがまた、良かったのかもしれない。
因みに清流は元々、俺よりよっぽど男らしい性格である。
しかし残念ながら中学時代の彼には、圧倒的な姫感があったようだ。
ストーカー気質な清流ファンの生徒達から何回か嫌がらせを受けたが、俺は全く気にすることなく清流との友情を大事にした。
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