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2 イケメン幼馴染
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そんな俺たちも、高校三年生の卒業間近になった。
身長が入学当時から変わらずの俺の背中に伸し掛かってくる清流は、中学卒業の時には俺の身長と並び、今や身長百八五センチの大男である。
全校生徒が嘆く中、清流は高校に入ってから更に身長が伸び、同時に体格もぐっと男らしくなった。
タッパのあるイケメンに凄味を効かせながら睨まれてしまうものだから、もう最近では誰も清流の姫ポジを継続させることが出来なくなった。
相手を威圧することはあっても、襲われることはとうにない。
そんな幼馴染に伸し掛かられる俺。
清流が隣にいれば、むしろ俺がチビに見えてしまう。
「重たいよ、清流」
「でもあったかいだろ、元弥」
「どうせなら、綺麗な女の子に抱き着かれたいなぁ」
清流の顔は相変わらず中性的な甘いマスクなので、二人で並んで歩いていると、他校生の女子生徒からしょっちゅう声を掛けられるようになった。
しかし、どんなに可愛い女の子の誘いだとしても清流は決して頷くことはなかった。
自分の容姿に慣れている清流の理想像は、よっぽど高いのだと思われる。
清流は、後ろから俺の顔を覗く。
近距離でそのご尊顔を直視してしまい、ドキッと胸が小さく音を奏でる。
「ほら、綺麗だと評判の顔だよ」
「女の子じゃないだろうが」
やっぱり綺麗だなと思いながらも、女の子という肝心の部分を抜かしているぞ、と俺は動揺する心を悟られまいと、素知らぬふりしてせっせとスマホの写メの整理に勤しんだ。
元々は我が家の犬の写メで溢れていたのが、最近は可愛い姪っ子にフォルダを占領されている。
姪っ子と犬のツーショットが俺の待ち受けなのだが、それは誰にも見せられない。
いや、ひとりだけ知っているけど。
「ここは男子校だからなぁ、そこは我慢してもらわないと」
つい数年前まで姫ポジ認定されていた清流は、気分良さそうに笑った。
清流に対して女の子みたいだと言う奴ももうおらず、心は晴れ晴れとしているのだろう。
必死で牛乳飲んでいた清流の努力を知っている身としては、良かったなと心底思う。
「あと少しで、女の子解禁だな」
俺はわざとらしくそう言って、ニヘラと笑った。
少し頭の良い生徒が行くような普通の大学だが、共学か否かは大変重要である。
中高も清流のお陰で楽しい青春時代を送ったが、俺の本当の青春はこれから始まるのだ!……多分。
「元弥は女の子に期待し過ぎだよ。直ぐに騙されそう。ネックレスとか指輪とか、付き合ってもいないのにその気にさせられてホイホイ買っちゃいそう」
「流石に付き合ってるかいないかくらいはわかるわ」
そうかなぁ、と言いながら、清流は俺のスマホを覗き込む。
そして、随分大きくなったね、可愛い、と俺の姪っ子を見て言った。
清流だけは、俺が姪っ子を溺愛していることを知っている。
そうだろう。
俺の姪っ子、めちゃくちゃ可愛いだろう。
もっと褒めてくれてもいいぞ。
「明日は姪っ子ちゃんとは、会わないでいいの?」
念の為、といった様子で清流が聞いてきた。
「ああ、明日は家族でお出掛けなんだって。それに、清流と約束しただろ」
姪っ子が産まれてから土日は近所の姉夫婦の家に行くのが日課となったが、流石に友達との約束は最優先だ。
「うん。物件探し行くの、楽しみだね」
「そうだな。……ところで清流さ、本当に俺と同じところに住むつもり?」
俺と清流はまた、同じ大学へ進学が決まっていた。
実家から通うにはギリ遠い、片道二時間半。
小学校からの付き合いもあり、清流のご両親から絶大な信頼を置かれている俺。
俺が一人暮らしするための物件を見に行く話をしたら、清流も一緒に見に行くことになった。
腐れ縁も、ここまでいけば凄いと思う。
「うん、勿論。なんで? 元弥は、嫌?」
都心部は、物件の価格が高い。
安くて良い物件を探すのは難儀だから、じゃあ少し広めの部屋を探して二人で住めば、と親たちから言われたのだ。
そして、明日は清流と一緒に物件を見に行く予定なのだが。
「嫌とかじゃなくて……ほら、一緒に住んだら、彼女とかさ、呼べないじゃん」
「そういう心配なら、ラブホにでも行けばいいんじゃない?」
「まぁ、そうかも、しれないけど」
明け透けに話す清流に、俺は頬が赤くなる。
男子校に通っていたのに、どうもこの手の話題を友人とすることは苦手だった。
知ったかぶりで、いつも頷いているだけだ。
だから今回も、俺はゴニョゴニョと言葉を濁すのだった。
身長が入学当時から変わらずの俺の背中に伸し掛かってくる清流は、中学卒業の時には俺の身長と並び、今や身長百八五センチの大男である。
全校生徒が嘆く中、清流は高校に入ってから更に身長が伸び、同時に体格もぐっと男らしくなった。
タッパのあるイケメンに凄味を効かせながら睨まれてしまうものだから、もう最近では誰も清流の姫ポジを継続させることが出来なくなった。
相手を威圧することはあっても、襲われることはとうにない。
そんな幼馴染に伸し掛かられる俺。
清流が隣にいれば、むしろ俺がチビに見えてしまう。
「重たいよ、清流」
「でもあったかいだろ、元弥」
「どうせなら、綺麗な女の子に抱き着かれたいなぁ」
清流の顔は相変わらず中性的な甘いマスクなので、二人で並んで歩いていると、他校生の女子生徒からしょっちゅう声を掛けられるようになった。
しかし、どんなに可愛い女の子の誘いだとしても清流は決して頷くことはなかった。
自分の容姿に慣れている清流の理想像は、よっぽど高いのだと思われる。
清流は、後ろから俺の顔を覗く。
近距離でそのご尊顔を直視してしまい、ドキッと胸が小さく音を奏でる。
「ほら、綺麗だと評判の顔だよ」
「女の子じゃないだろうが」
やっぱり綺麗だなと思いながらも、女の子という肝心の部分を抜かしているぞ、と俺は動揺する心を悟られまいと、素知らぬふりしてせっせとスマホの写メの整理に勤しんだ。
元々は我が家の犬の写メで溢れていたのが、最近は可愛い姪っ子にフォルダを占領されている。
姪っ子と犬のツーショットが俺の待ち受けなのだが、それは誰にも見せられない。
いや、ひとりだけ知っているけど。
「ここは男子校だからなぁ、そこは我慢してもらわないと」
つい数年前まで姫ポジ認定されていた清流は、気分良さそうに笑った。
清流に対して女の子みたいだと言う奴ももうおらず、心は晴れ晴れとしているのだろう。
必死で牛乳飲んでいた清流の努力を知っている身としては、良かったなと心底思う。
「あと少しで、女の子解禁だな」
俺はわざとらしくそう言って、ニヘラと笑った。
少し頭の良い生徒が行くような普通の大学だが、共学か否かは大変重要である。
中高も清流のお陰で楽しい青春時代を送ったが、俺の本当の青春はこれから始まるのだ!……多分。
「元弥は女の子に期待し過ぎだよ。直ぐに騙されそう。ネックレスとか指輪とか、付き合ってもいないのにその気にさせられてホイホイ買っちゃいそう」
「流石に付き合ってるかいないかくらいはわかるわ」
そうかなぁ、と言いながら、清流は俺のスマホを覗き込む。
そして、随分大きくなったね、可愛い、と俺の姪っ子を見て言った。
清流だけは、俺が姪っ子を溺愛していることを知っている。
そうだろう。
俺の姪っ子、めちゃくちゃ可愛いだろう。
もっと褒めてくれてもいいぞ。
「明日は姪っ子ちゃんとは、会わないでいいの?」
念の為、といった様子で清流が聞いてきた。
「ああ、明日は家族でお出掛けなんだって。それに、清流と約束しただろ」
姪っ子が産まれてから土日は近所の姉夫婦の家に行くのが日課となったが、流石に友達との約束は最優先だ。
「うん。物件探し行くの、楽しみだね」
「そうだな。……ところで清流さ、本当に俺と同じところに住むつもり?」
俺と清流はまた、同じ大学へ進学が決まっていた。
実家から通うにはギリ遠い、片道二時間半。
小学校からの付き合いもあり、清流のご両親から絶大な信頼を置かれている俺。
俺が一人暮らしするための物件を見に行く話をしたら、清流も一緒に見に行くことになった。
腐れ縁も、ここまでいけば凄いと思う。
「うん、勿論。なんで? 元弥は、嫌?」
都心部は、物件の価格が高い。
安くて良い物件を探すのは難儀だから、じゃあ少し広めの部屋を探して二人で住めば、と親たちから言われたのだ。
そして、明日は清流と一緒に物件を見に行く予定なのだが。
「嫌とかじゃなくて……ほら、一緒に住んだら、彼女とかさ、呼べないじゃん」
「そういう心配なら、ラブホにでも行けばいいんじゃない?」
「まぁ、そうかも、しれないけど」
明け透けに話す清流に、俺は頬が赤くなる。
男子校に通っていたのに、どうもこの手の話題を友人とすることは苦手だった。
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だから今回も、俺はゴニョゴニョと言葉を濁すのだった。
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