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後
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何が悪いのかわからなかった。
俺の従兄弟は、昔から憎悪を浮かべてこちらを見る。
ただ従兄弟の役に立ちたいという気持ちで勉学に励めば「私を傀儡にするつもりか」と罵られ、ならばと彼の盾になる為に剣の腕を磨こうとすれば「私を切るつもりか」と言われる。
歩み寄ろうとすればするだけ、警戒され、軽蔑され、嘲笑された。
ならば、素知らぬ振りをするしかなかった。
目立たず、反応せず。
反抗せず、視界に入らず。
両親が死んだ時、俺は自分では気付かないうちに、随分と精神的に参っていたらしい。
住む土地を移しても、いつかまたあの憎悪の目で見られながら、それでも従兄弟に仕える身なのだと考えると、自分の存在価値がわからなくなっていた。
考える事から逃げたくて、そんな未来から逃げたくて、俺は自分の手首にナイフを当てた……らしい。
らしいというのは、当時の記憶がなく曖昧だからだ。
幼なじみ同然に育った、辺境伯の令嬢サマリナが何らかの雑談時にポロリと口を滑らせ、その頃の自分を後から知る事が出来た。
辺境地での生活は、肉体的には地獄、精神的には天国だったと思う。
特に、俺の生活と思考の大部分を占めていたのはサマリナである。
初めて会った時は、辺境伯の「四男」だとしか思っていなかった。
俺を連れ出し、俺を構い倒し、俺と勝負した。
サマリナと過ごす時間は、刺激的で、最高に楽しかった。
サマリナも、「兄様達にはいつもボロ負けするからな、同い年の奴が来て嬉しい!!」と取っ組み合いの喧嘩まで楽しそうにしていた。
サマリナと毎日つるむ様になって、一年後位にやっとサマリナが女だと言う事を知った。
「ここはいつ隣国に攻められるかわからない土地だからな。女だからと言って着飾り、自分の身も守れない様では領民を守る立場として格好がつかないだろう?……と、母様がおっしゃっていた」
とからから笑うサマリナは、容姿端麗な従兄弟よりもよっぽど、俺の眼にはキラキラ輝いて見えた。
俺もサマリナもそれなりに思春期を迎え、少しは落ち着くかと思えばサマリナは何ら全く変わらない。
だから、完全に危機感がなかった。油断していた。
そろそろ正式にサマリナに求婚しないと誰かに横取りされるかも、という考えすらわかずに、毎日忙しい辺境伯とタイミングさえ合えばその時にでも許可を得ようと、ダラダラしていたのだ。
そんな頃、たまたま王都への大事な用事を言いつかり、王都へきたからには挨拶しなければまずいだろうと、会うつもりなどなかったのだが、従兄弟に従者をやって、挨拶を入れた。
結論から言うと、久しぶりに会いたいからと言われて俺はノコノコと会いに行ってしまった。
久しぶりに会った従兄弟は、俺が傍にいない間にそれなりに成長したらしく、あの憎悪の目で俺を見る事なく、「父の容態が思わしくなくて、私の行く末を心配している。特に婚約者を用意していないのが、心配の要因であるらしい」「お前も誰か、良い相手は見つかったのか」と話し掛けてきた。
その時、馬鹿正直に「お世話になってる辺境伯の娘に結婚を申し込みたいと思っている」と言ってしまった自分を、今でも殴りたくなる程後悔している。
従兄弟は変わってなどいなかった。
その後に見せた、従兄弟のゾッとする様な笑顔を忘れられない。
俺の生涯の相手……になる筈だったサマリナは、従兄弟に奪われた。
因みに、従兄弟のサマリナへの結婚の許可を求める文書が届いた日には、辺境伯ならびにサマリナの三人の兄達に呼び出され、「何をやってんだ」「何馬鹿な事言ったんだ」「お前阿呆か」と散々責められた。
王命で、恐らく従兄弟にとっては嫌がらせのつもりでサマリナの守護騎士に選ばれた時は、ホッとした。
サマリナを見守る事が出来るから。
従兄弟とサマリナの初夜も、扉の前で待たされるのは苦痛を伴ったが、幸いにも二人の情事が聞こえてくる事は一切なかった。
たった一時間ばかりで部屋を出てきた従兄弟は「愛しているよ、我が妃」と甘ったるい声で告げたが、そのすぐ後部屋に残るサマリナから「おい、グロース」と呼ばれたのは驚いた。
そこには、情事後とは思えない、ぴんぴんしたサマリナが男らしくバサッと夜着を羽織って仁王立ちしながら色々吐露したからだ。
「くそ、股が気持ち悪いな……女中がわりにして申し訳ないが、バスタオルを取ってきてくれないか?そうそうついでに、避妊薬あったらこっそりくれ」
何て事はない。
サマリナにとって、この国の王との行為は蜂に刺されたレベルだった。
「痛い、面倒、気持ち悪い」
毎回そう言って、実際行為後でも元気に剣武に励むのだから、閨の間の扱われ方は想像に難くなかった。
サマリナが大事に扱われていたら、我慢していたかもしれない。
だが、俺への当て付けに結婚した従兄弟は、当然サマリナを大事にしなかった。
しばらく我慢すればサマリナを解放してくれるかと思ったが、そんな様子もない。
そろそろ堪忍袋の緒が切れそうだ──そんな時、後宮に顔を出したサマリナの長兄と次兄が、色々教えてくれた。
世間的には病弱な為に療養していた、という事になっている強欲で金使いの荒いアバズレ女が、いよいよ夜会に出るらしい。
その女は確かに美しいから、きっと王も気に入る。
お前は、その女に惚れたフリをしろ。
何の事はない、その女だけを見ろ。その女の情報を集めろ。サマリナから距離を取れ。王が勘違いするまで……いや、鈍感なサマリナですらもそうだと勘違いする程に、一目惚れを演出しろ。
二人のアドバイスに従って動けば、そのアバズレ女はまんまと正妃におさまってくれた。
サマリナが矢に刺されたのは予定外で、もし毒矢だったらと思い出すだけでも身体が震えるが、そのお陰で気付けばサマリナは「子供が出来ていない」事が確認された後、本人曰く、めでたく王と離縁にこぎ着けたのだった。
※※※
無事に王と離縁し、懐かしの辺境へと戻ってきたサマリナは、さて少しゆっくり休もう……とする間もなくグロースと結婚させられた。
どうやら、マリアンヌ嬢への失恋で弱っている間に、辺境伯である父親や兄達に言いくるめられてしまったらしい。
家族には可愛がられている自覚はあったが、サマリナはグロースが不憫すぎてならなかった。
世話になった父親への恩なら気にしなくて良いと言っても、グロースは首を縦に振らずに「荒れた王都と国を何とかしたら、迎えに来る」と言ってしばらく音信不通となった。
時は一年程流れ。
辺境の地にも、国でクーデターがおこり、国王が変わったと言うニュースが広がった。
そして、そのニュースと共に、新国王となったグロースがサマリナを迎えにきた。
「嫌だ。あそこには戻りたくないー!」というサマリナを、遠慮なくズルズルと引きずりながら「お前、前国王の命令には従ったくせに!」と新国王が拗ねた話はしばらくその地で噂されたという。
***
「サマリナ妃、そろそろ陛下がおいでですよ」
「……ああ……」
グロース新国王の、サマリナ正妃への寵愛は有名である。
グロース新国王は、どんな場にでもサマリナ妃を列席させた。
外交でも、司政会議でも、三度の食事でも、戦場でも。
お陰で、国の女性進出の傾向は一気に広まり、今まで男しか雇い入れていなかった業種も新しく生まれ変わり、国全体が活気づいている。
国民から好き勝手に税を搾りとっていた腐った貴族も切り捨てられ、正しく国がまわりはじめた。
二人は毎日忙しく国中を自らの足で駆け回り、目まぐるしい。
昔はサマリナがグロースの手を引いていたが、今ではグロースがサマリナの手を引いているという違いはあるが。
そして、四六時中一緒にいる二人の寝室は一緒だった。
王城でも、出先でも。
サマリナは、毎日毎日グロースに啼かされ、喘がされる。
痛いだけだと思っていた性交は、本来全く違うものだったとグロースから初日に教えられ、それまでの性交は何だったのかと思わずにいられなかった。
「サマリナ、今日もお疲れ」
「ああ、グロースも」
椅子に腰かけ、本を読んでいたサマリナの傍にきたグロースは、「今日は何を読んでた?」と聞きながら、その額にキスを落とす。
「世界の……」答えを返そうとしたサマリナの口を、今度はふさいだ。
「ん……っ」
サマリナは、大人しく受け入れる。
初めてグロースの舌が口の中に侵入した時には、びっくりしてグロースの胸を突き放したのも懐かしい。
くちゅ、くちゃ……
サマリナの愛を確かめるかの様に、わざとたっぷりの唾液をサマリナの口に流し込むグロースは、頬を赤らめながらもこくん、こくん、とそれが嚥下されゆくのを見て、下半身を熱くする。
サマリナは、一年以上も人妻であったのが嘘ではないかと思う程に、開発されていなかった。
舌を絡める口付けも、相手に全身や大事なところを舐められるのも、胸を揉まれるのも、指で膣を解されるのも、達するのも。
グロースが優しい愛撫をする度に、驚きに目を見張り、可愛く啼き、瞳を潤ませ、身体を痙攣させる。
そして、そんな自分の反応に、理解が追い付かないまま頂点まで持ち上げられ、行為が終わった後は、鍛錬よりもぐったりとベッドに四肢を投げ出していた。
そんなサマリナの身体をグロースが清めようとすれば、それもまた初めての経験で。
グロースの触れ方で、サマリナは自分に向けられる確かな愛を感じとる事が出来た。そして、それを少しでも懸命に返そうとする。
勝手に口を使われるのではなく、自ら気持ち良くしてあげたくて、舌を伸ばすのも。
希望を言われれば、恥ずかしい下着を身に纏ったり、恥ずかしいポーズをとるのも。
ベッドへと移動したグロースが、サマリナの蜜を直接舐めながら聞く。
「今日は、どうして欲しい?」
「ん……ふ、普通に……」
「本当に?サマリナは、めちゃくちゃに後ろから突き上げられるのが好きなのに?」
「……それ、も」
「わかった。じゃあはじめは正常位で優しくしてから、後ろから激しくするか」
サマリナは顔を赤くしながらも、コクンと頷いた。
「……足、自分で開いて」
「……ん……」
普段は活発なサマリナだが、夜になると自分にだけは大人しく、そして従順になる様は想像していたよりもグロースを興奮させた。
グロースが足の間を舐め回すと、サマリナはいつも「汚い、よ……っっ」と言うのだが、グロースが「でもここは期待してるみたいだ」と返せば、「うん、そう、だけど……」と何処までも正直で可愛らしい。
グロースに可愛がられ様と一生懸命赤く尖り、プルプル震える愛らしい肉豆を丹念になぶり、期待にこぽこぽと湧き出る淫水をすすりあげれば、サマリナは腰を揺らして「も、きて……」とねだる様にまで変わった。
サマリナの膣壁の様子を探る様に、グロースはゆっくりゆっくり腰を進めていく。
結合部が見やすい様にとサマリナの恥部は陰毛が剃られており、グロースの男根が根元までずっぷしと埋まっているのを確認させる。
「どうだ?きちんと入ったか?」
根元まで突き入れた状態で、亀頭が最奥を抉る様にぐりぐりと上下に揺すられると、サマリナは直ぐに達してしまうのを知りながら、それをしながら問う。
「う、ん……あ、そこ、ダメぇ……」
涙目のサマリナが、息を荒くしながら必死で結合部を見ようとする。
グロースは、サマリナがイく寸前で、蜜を纏わせた肉棒を一度棹の途中まで引き抜いた。
「あぁっ……!!」
「ダメだったんだろ?」
「……ぁ……ちが、良くって……」
「そうか」
そんなやり取りを楽しみながら、グロースはサマリナの身も心も高めていく。
「サマリナ、愛してる」
「私、も……!!」
何度も愛を囁き、二人は同時に快感を解き放った。
「サマリナ、今日の手合わせはどうする?」
「悪いグロース、今日も休ませてくれ……」
寵妃のそんな返事に、今日も王はニンマリするのだった。
俺の従兄弟は、昔から憎悪を浮かべてこちらを見る。
ただ従兄弟の役に立ちたいという気持ちで勉学に励めば「私を傀儡にするつもりか」と罵られ、ならばと彼の盾になる為に剣の腕を磨こうとすれば「私を切るつもりか」と言われる。
歩み寄ろうとすればするだけ、警戒され、軽蔑され、嘲笑された。
ならば、素知らぬ振りをするしかなかった。
目立たず、反応せず。
反抗せず、視界に入らず。
両親が死んだ時、俺は自分では気付かないうちに、随分と精神的に参っていたらしい。
住む土地を移しても、いつかまたあの憎悪の目で見られながら、それでも従兄弟に仕える身なのだと考えると、自分の存在価値がわからなくなっていた。
考える事から逃げたくて、そんな未来から逃げたくて、俺は自分の手首にナイフを当てた……らしい。
らしいというのは、当時の記憶がなく曖昧だからだ。
幼なじみ同然に育った、辺境伯の令嬢サマリナが何らかの雑談時にポロリと口を滑らせ、その頃の自分を後から知る事が出来た。
辺境地での生活は、肉体的には地獄、精神的には天国だったと思う。
特に、俺の生活と思考の大部分を占めていたのはサマリナである。
初めて会った時は、辺境伯の「四男」だとしか思っていなかった。
俺を連れ出し、俺を構い倒し、俺と勝負した。
サマリナと過ごす時間は、刺激的で、最高に楽しかった。
サマリナも、「兄様達にはいつもボロ負けするからな、同い年の奴が来て嬉しい!!」と取っ組み合いの喧嘩まで楽しそうにしていた。
サマリナと毎日つるむ様になって、一年後位にやっとサマリナが女だと言う事を知った。
「ここはいつ隣国に攻められるかわからない土地だからな。女だからと言って着飾り、自分の身も守れない様では領民を守る立場として格好がつかないだろう?……と、母様がおっしゃっていた」
とからから笑うサマリナは、容姿端麗な従兄弟よりもよっぽど、俺の眼にはキラキラ輝いて見えた。
俺もサマリナもそれなりに思春期を迎え、少しは落ち着くかと思えばサマリナは何ら全く変わらない。
だから、完全に危機感がなかった。油断していた。
そろそろ正式にサマリナに求婚しないと誰かに横取りされるかも、という考えすらわかずに、毎日忙しい辺境伯とタイミングさえ合えばその時にでも許可を得ようと、ダラダラしていたのだ。
そんな頃、たまたま王都への大事な用事を言いつかり、王都へきたからには挨拶しなければまずいだろうと、会うつもりなどなかったのだが、従兄弟に従者をやって、挨拶を入れた。
結論から言うと、久しぶりに会いたいからと言われて俺はノコノコと会いに行ってしまった。
久しぶりに会った従兄弟は、俺が傍にいない間にそれなりに成長したらしく、あの憎悪の目で俺を見る事なく、「父の容態が思わしくなくて、私の行く末を心配している。特に婚約者を用意していないのが、心配の要因であるらしい」「お前も誰か、良い相手は見つかったのか」と話し掛けてきた。
その時、馬鹿正直に「お世話になってる辺境伯の娘に結婚を申し込みたいと思っている」と言ってしまった自分を、今でも殴りたくなる程後悔している。
従兄弟は変わってなどいなかった。
その後に見せた、従兄弟のゾッとする様な笑顔を忘れられない。
俺の生涯の相手……になる筈だったサマリナは、従兄弟に奪われた。
因みに、従兄弟のサマリナへの結婚の許可を求める文書が届いた日には、辺境伯ならびにサマリナの三人の兄達に呼び出され、「何をやってんだ」「何馬鹿な事言ったんだ」「お前阿呆か」と散々責められた。
王命で、恐らく従兄弟にとっては嫌がらせのつもりでサマリナの守護騎士に選ばれた時は、ホッとした。
サマリナを見守る事が出来るから。
従兄弟とサマリナの初夜も、扉の前で待たされるのは苦痛を伴ったが、幸いにも二人の情事が聞こえてくる事は一切なかった。
たった一時間ばかりで部屋を出てきた従兄弟は「愛しているよ、我が妃」と甘ったるい声で告げたが、そのすぐ後部屋に残るサマリナから「おい、グロース」と呼ばれたのは驚いた。
そこには、情事後とは思えない、ぴんぴんしたサマリナが男らしくバサッと夜着を羽織って仁王立ちしながら色々吐露したからだ。
「くそ、股が気持ち悪いな……女中がわりにして申し訳ないが、バスタオルを取ってきてくれないか?そうそうついでに、避妊薬あったらこっそりくれ」
何て事はない。
サマリナにとって、この国の王との行為は蜂に刺されたレベルだった。
「痛い、面倒、気持ち悪い」
毎回そう言って、実際行為後でも元気に剣武に励むのだから、閨の間の扱われ方は想像に難くなかった。
サマリナが大事に扱われていたら、我慢していたかもしれない。
だが、俺への当て付けに結婚した従兄弟は、当然サマリナを大事にしなかった。
しばらく我慢すればサマリナを解放してくれるかと思ったが、そんな様子もない。
そろそろ堪忍袋の緒が切れそうだ──そんな時、後宮に顔を出したサマリナの長兄と次兄が、色々教えてくれた。
世間的には病弱な為に療養していた、という事になっている強欲で金使いの荒いアバズレ女が、いよいよ夜会に出るらしい。
その女は確かに美しいから、きっと王も気に入る。
お前は、その女に惚れたフリをしろ。
何の事はない、その女だけを見ろ。その女の情報を集めろ。サマリナから距離を取れ。王が勘違いするまで……いや、鈍感なサマリナですらもそうだと勘違いする程に、一目惚れを演出しろ。
二人のアドバイスに従って動けば、そのアバズレ女はまんまと正妃におさまってくれた。
サマリナが矢に刺されたのは予定外で、もし毒矢だったらと思い出すだけでも身体が震えるが、そのお陰で気付けばサマリナは「子供が出来ていない」事が確認された後、本人曰く、めでたく王と離縁にこぎ着けたのだった。
※※※
無事に王と離縁し、懐かしの辺境へと戻ってきたサマリナは、さて少しゆっくり休もう……とする間もなくグロースと結婚させられた。
どうやら、マリアンヌ嬢への失恋で弱っている間に、辺境伯である父親や兄達に言いくるめられてしまったらしい。
家族には可愛がられている自覚はあったが、サマリナはグロースが不憫すぎてならなかった。
世話になった父親への恩なら気にしなくて良いと言っても、グロースは首を縦に振らずに「荒れた王都と国を何とかしたら、迎えに来る」と言ってしばらく音信不通となった。
時は一年程流れ。
辺境の地にも、国でクーデターがおこり、国王が変わったと言うニュースが広がった。
そして、そのニュースと共に、新国王となったグロースがサマリナを迎えにきた。
「嫌だ。あそこには戻りたくないー!」というサマリナを、遠慮なくズルズルと引きずりながら「お前、前国王の命令には従ったくせに!」と新国王が拗ねた話はしばらくその地で噂されたという。
***
「サマリナ妃、そろそろ陛下がおいでですよ」
「……ああ……」
グロース新国王の、サマリナ正妃への寵愛は有名である。
グロース新国王は、どんな場にでもサマリナ妃を列席させた。
外交でも、司政会議でも、三度の食事でも、戦場でも。
お陰で、国の女性進出の傾向は一気に広まり、今まで男しか雇い入れていなかった業種も新しく生まれ変わり、国全体が活気づいている。
国民から好き勝手に税を搾りとっていた腐った貴族も切り捨てられ、正しく国がまわりはじめた。
二人は毎日忙しく国中を自らの足で駆け回り、目まぐるしい。
昔はサマリナがグロースの手を引いていたが、今ではグロースがサマリナの手を引いているという違いはあるが。
そして、四六時中一緒にいる二人の寝室は一緒だった。
王城でも、出先でも。
サマリナは、毎日毎日グロースに啼かされ、喘がされる。
痛いだけだと思っていた性交は、本来全く違うものだったとグロースから初日に教えられ、それまでの性交は何だったのかと思わずにいられなかった。
「サマリナ、今日もお疲れ」
「ああ、グロースも」
椅子に腰かけ、本を読んでいたサマリナの傍にきたグロースは、「今日は何を読んでた?」と聞きながら、その額にキスを落とす。
「世界の……」答えを返そうとしたサマリナの口を、今度はふさいだ。
「ん……っ」
サマリナは、大人しく受け入れる。
初めてグロースの舌が口の中に侵入した時には、びっくりしてグロースの胸を突き放したのも懐かしい。
くちゅ、くちゃ……
サマリナの愛を確かめるかの様に、わざとたっぷりの唾液をサマリナの口に流し込むグロースは、頬を赤らめながらもこくん、こくん、とそれが嚥下されゆくのを見て、下半身を熱くする。
サマリナは、一年以上も人妻であったのが嘘ではないかと思う程に、開発されていなかった。
舌を絡める口付けも、相手に全身や大事なところを舐められるのも、胸を揉まれるのも、指で膣を解されるのも、達するのも。
グロースが優しい愛撫をする度に、驚きに目を見張り、可愛く啼き、瞳を潤ませ、身体を痙攣させる。
そして、そんな自分の反応に、理解が追い付かないまま頂点まで持ち上げられ、行為が終わった後は、鍛錬よりもぐったりとベッドに四肢を投げ出していた。
そんなサマリナの身体をグロースが清めようとすれば、それもまた初めての経験で。
グロースの触れ方で、サマリナは自分に向けられる確かな愛を感じとる事が出来た。そして、それを少しでも懸命に返そうとする。
勝手に口を使われるのではなく、自ら気持ち良くしてあげたくて、舌を伸ばすのも。
希望を言われれば、恥ずかしい下着を身に纏ったり、恥ずかしいポーズをとるのも。
ベッドへと移動したグロースが、サマリナの蜜を直接舐めながら聞く。
「今日は、どうして欲しい?」
「ん……ふ、普通に……」
「本当に?サマリナは、めちゃくちゃに後ろから突き上げられるのが好きなのに?」
「……それ、も」
「わかった。じゃあはじめは正常位で優しくしてから、後ろから激しくするか」
サマリナは顔を赤くしながらも、コクンと頷いた。
「……足、自分で開いて」
「……ん……」
普段は活発なサマリナだが、夜になると自分にだけは大人しく、そして従順になる様は想像していたよりもグロースを興奮させた。
グロースが足の間を舐め回すと、サマリナはいつも「汚い、よ……っっ」と言うのだが、グロースが「でもここは期待してるみたいだ」と返せば、「うん、そう、だけど……」と何処までも正直で可愛らしい。
グロースに可愛がられ様と一生懸命赤く尖り、プルプル震える愛らしい肉豆を丹念になぶり、期待にこぽこぽと湧き出る淫水をすすりあげれば、サマリナは腰を揺らして「も、きて……」とねだる様にまで変わった。
サマリナの膣壁の様子を探る様に、グロースはゆっくりゆっくり腰を進めていく。
結合部が見やすい様にとサマリナの恥部は陰毛が剃られており、グロースの男根が根元までずっぷしと埋まっているのを確認させる。
「どうだ?きちんと入ったか?」
根元まで突き入れた状態で、亀頭が最奥を抉る様にぐりぐりと上下に揺すられると、サマリナは直ぐに達してしまうのを知りながら、それをしながら問う。
「う、ん……あ、そこ、ダメぇ……」
涙目のサマリナが、息を荒くしながら必死で結合部を見ようとする。
グロースは、サマリナがイく寸前で、蜜を纏わせた肉棒を一度棹の途中まで引き抜いた。
「あぁっ……!!」
「ダメだったんだろ?」
「……ぁ……ちが、良くって……」
「そうか」
そんなやり取りを楽しみながら、グロースはサマリナの身も心も高めていく。
「サマリナ、愛してる」
「私、も……!!」
何度も愛を囁き、二人は同時に快感を解き放った。
「サマリナ、今日の手合わせはどうする?」
「悪いグロース、今日も休ませてくれ……」
寵妃のそんな返事に、今日も王はニンマリするのだった。
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後始末を任されたサマリナの辺境伯(と3人の兄)あたりが
結構とんでもないお仕置きしていると思います。ハイ。(笑)
もしこちらの短編を長編に改稿する機会がございましたら、ざまぁ要望のご感想を二件頂きましたこと、心に留めておきたいと思いますー!
数ある沢山の作品の中からお読み頂きまして、ありがとうございました☺️
面白かったです。辺境伯のお兄様がちらっとでなのにいい感じです、
お読み頂き、ご感想までありがとうございました♪
まさかのお兄様推し(笑)
楽しんで頂けたなら幸いです。