転生したら実は神の息子だった俺、無自覚のまま世界を救ってハーレム王になっていた件

fuwamofu

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第5話 村が俺を救世主扱いする理由

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翌朝。鳥の鳴き声で目を覚ました俺は、伸びをしながら天井を見上げた。  
昨夜の女神の言葉を思い出し、ため息をつく。  
「……なかなか波乱万丈、って。軽く言ってくれるよな、あの女神」  

ベッドから起き上がり、簡単に身支度を整える。  
アリアはすでに目を覚ましていた。聖職者らしく早起きで、白い法衣を整えながら朝の祈りを捧げている。  
その姿は静かで神聖だった。まるで聖画の中の人物みたいだ。  

「おはようございます、ユー様。よく眠れましたか?」  
「うん……まあ、ルナリアがうるさかったけど」  
「ルナリア?」  
危うく口を滑らせた。慌ててごまかす。  
「あーいや、寝る前に思い出した知り合いの名前というか……」  
「そうですか? 奇妙な名ですね」  
心の中で女神に「おまえのせいだぞ」と悪態をつく。  

宿屋の窓を開けると、外は快晴だった。  
王都まではあと半日の距離だという。  
旅の準備を終えると、アリアが真剣な顔をして俺を見た。  

「ユー様。……昨夜の件を、王都では内密にしておいたほうがいいかもしれません」  
「昨夜? あの森の事件のことか?」  
「はい。あれほどの力を、人前で見せたら……疑惑も集まります。神殿の上層部の中には、神の奇跡を自分たちの統制下に置こうとする者もいます」  
「なるほど……そういう権力争い、どの世界にもあるんだな」  
アリアが悲しげに笑った。  
「神の名を掲げながら、人間の欲を優先する者ほど厄介なんです」  
思わず、俺は彼女の横顔をしばらく見つめてしまった。  
清純で、けれど強い芯を持った瞳。こんな人が苦しむ世界は、やっぱり間違ってる。  

「まあ、できるだけおとなしくしておくよ。もう十分誤解されてるしな」  
「ふふ、そうしていただけると助かります。王都に着くまで、どうか穏やかな旅になりますように」  

その「穏やかな旅」が五分後に崩壊した。  

街道の先に、見慣れない煙が上がっていた。  
「……あの方向、確か村があったよな?」  
「ええ、レーヴ村です」  
アリアの表情が固まる。そう、俺が最初に暮らしていたあの村だった。  
嫌な予感が全身を駆け抜けた。  

「行くぞ! 馬を飛ばせ!」  
「了解しました!」  

馬を走らせる。森を抜け、道を折れ曲がった先には、信じられない光景が広がっていた。  
レーヴ村が燃えている。  
家屋の一部が崩れ、黒煙が空を覆っていた。  
村人たちが必死に逃げ回り、泣き叫ぶ声があちこちで上がる。  

「……何が起きてるんだ!?」  
アリアが悲鳴を飲み込む。俺は馬から飛び降りた。  
走りながら、炎の中に見覚えのある影を見つける。  
「リリアっ!」  
彼女が倒れた村人を支えながら、咳き込みつつこちらに手を伸ばした。  
「ユー様……! 魔物が……急に村に……!」  

俺は周囲を見回した。  
炎の奥から、黒い霧が渦を巻いている。  
その中心から、蛇と人が混ざったような異形の魔物が姿を現した。  
「うわ……なんだあれ、完全にボスキャラだろ……!」  
「魔毒竜ヴァルドゥス……! Aを超える、災害級……!」  
アリアの声が震える。  
そんなのに勝てるわけがない。普通なら、だ。  

女神の言葉が脳裏に響いた。  
――“封印は君の判断で外せる。ただし、やりすぎるな”  

「やりすぎるなって、どういう意味だよ……!」  
呟きながら、炎の中へ飛び込む。アリアの制止の声が聞こえた。  
「ユー様! 無理です! あんなのに人間が太刀打ちできません!」  
「俺、人間って認識されてないみたいなんだがな!」  

ヴァルドゥスが口を開き、黒紫の息を吐いた。  
毒の濃霧が一瞬で広がる。普通の人間なら近づくだけで即死のはずだが、不思議と俺の体は痛みを感じなかった。  
光が再び掌から溢れ出す。  
「っ……もう、成り行きだ……やるしかねえ!」  

俺はリリアと倒れていた村人を背に庇い、目を閉じた。  
“護りたい”と強く願う。  

神印が白く輝き、周囲の炎が吸い込まれるように消えていった。  
次の瞬間、地面から巨大神像のような光の腕がせり上がり、魔毒竜を掴み取った。  
村人たちが叫び声を上げる。  
「神の腕だ!」「救世主様が怒りを示された!」  

違う、怒ってもないし操作してるわけでもない!  
ただ、俺の願いに反応して勝手に動いてる!  

光の腕はヴァルドゥスを縛り上げると、天へと持ち上げ、爆発のような閃光を放った。  
断末魔のような咆哮が木霊する。  
村の地面が震えた。だが次の瞬間には、全ての炎が消え、煙だけが残っていた。  

誰も死んでいない。家屋も崩れず、ただ魔物だけが跡形もなく消えていた。  

「……は?」  
俺は呆然と立ち尽くした。  
一方、村人たちは歓喜の叫びを上げていた。  
「救世主様が、災厄を討たれたぞ!」  
「神の奇跡……!」「村が救われた!」  

リリアが涙ぐみながら駆け寄ってくる。  
「ユー様……! やっぱりあなたは、神の子だったのですね……!」  
「違うって! ほんとに違うんだって!」  

その光景を見ながら、アリアがそっとため息をついた。  
「これは、もう誰も否定できませんね……あの光、その浄化の力……。神殿の伝承にある“アストラの御子”そのものです」  
「……なにそれ、フラグの予感しかしない名前」  
「世界を正すため、神が遣わすという伝説の御子のことです」  
完全に物語の主人公扱いである。俺は頭を抱えた。  

その後、村人たちは俺を囲み、感謝と涙で地面に膝をついた。  
リリアの小さな手が俺の手を握る。温もりが伝わる。  
「あなたが来てから、村は変わったんです。希望が生まれた。だから、もう“普通の人”なんて言わないでください」  
その言葉には、否定の余地がなかった。  

その夜、俺たちは再び村の広場に集まった。  
魔物の残骸もなく、空は澄み渡っていた。  
月明かりの下、村人たちは静かに祈り続けている。  
その中央に俺がいる。嫌でも目立つ位置だ。  

「神の子に、祝福を――」  
アリアが儀礼の文句を唱える。その声は清らかで、まるで風のように心地よかった。  

俺は空を見上げた。  
どこかで女神ルナリアが、また面白がって俺を覗いている予感がする。  

「これが“平穏な村人生活”のはずだったんだけどな……」  
呟いて、そっと笑った。  
あの日、ただの社畜として息絶えた俺。  
だが今、村人たちの希望の象徴として立っている。  
どこか悪くない気分だ。  

そう思った瞬間、空の星が一つ、流れた。  
運命の歯車が、静かにだが確実に動き始めている――そんな気がした。  

続く
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