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21 昼休憩
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港の今日のお昼ご飯はコンビニのおにぎりと蒸し鶏のサラダだ。
おにぎりは焼きたらこと塩鮭、それから梅の三種類。
ちょっとだけお高いごちそう系のおにぎりにも手を伸ばしたい気持ちはあるが、あれはもう少し特別なタイミングで買うのが港のルールだ。
例えば休日前の金曜日、とか。
(コンビニは大体火曜日に新商品が出るから、その時でも良かったよな)
そんなことを考えながら食堂の給湯器からお茶をもらう。
ここのものはお湯かほうじ茶が出るタイプだ。紙コップ注がれるほうじ茶を眺めながら、ふう、と港は息を吐いた。
(いや、しかし疲れたわ……)
ここでアルバイトを始めた初日にも思ったが、これまで港は営業で外回りをしてきたため体力はあると思っていた。
しかし、それでもへとへとになってしまう。
仕事によって使う体力や気力の種類に違いがあることに気が付いて、港は実のところちょっと感動していた。
(違う職種も面白いな……)
そう思ったが、三十代も終盤の今さら新しい職種に飛び込んでも正社員は難しいかもしれない。けれども、少しだけチャレンジしてみたい気持ちも湧いてきた。
(……ん? いや、あれ? そうじゃないよな、俺)
ここで働いている時間が妙に充実しているせいで忘れていたが、そう言えば自分は人生をリタイアしようと考えていたはずだ。
初志貫徹があっと言う間に崩れている。
(俺、意思が弱ぇなぁ……)
なんてちょっと苦笑する。
まぁ、こちらに関しては弱い方が良いのかもしれないが。
(どうしようかね……)
整理解雇されて、まだ一ヶ月も経っていない。
そんなに短い間なのに、自分の気持ちに変化が出るとは思わなかった。
たくさんの人の笑顔に触れたからかもしれない。
(ま、今は昼飯だ)
そう思いながらほうじ茶をの紙コップを持って、港は適当な席に座った。
昼時の食堂ではあるが、食事をする人はまばらだった。生き物たちの世話もあるし、接客もあるからだろう。それぞれが交代で昼休憩を取っているようだ。
「何から食べようかなぁ」
まずはサラダから食べた方が血糖値云々が上がりにくいんだっけ、と思い出す。
港も三十代の終盤だ。そろそろ身体のことをちゃんと考えた方が良いな、とは思っているのだ。
健康診断ではまだ引っかかったことはないが、同年代の同僚たちが「やば」「しまったなぁ」と言っていたので、港もそろそろだと思っている。
(ま、特に最近は外食が多いしな……)
外食をするとついつい好きなものを選んでしまうし、夜もコンビニ飯で済ませることが増えてしまった。
なので身体のことを考えると、非常に良くない、気がする。
(ま、このバイトもゴールデンウィーク明けまでだろうし)
智の話ではそこが緊急で必要な様子だったし、たぶん短期バイトになるだろう。
なのでアルバイト期間が終わったら食生活を改めよう、と港は決意して、サラダのフタを開ける。
(……あ、そう言えば手紙)
忙し過ぎて忘れかけていたが、朝もらった手紙をまだ読めていないかった。
ここは昼休憩を一時間きっちりくれるので、食事が終わったら読もうと思いつつ、港は「いただきます」と手を合わせ、サラダを食べ始めたのだった。
おにぎりは焼きたらこと塩鮭、それから梅の三種類。
ちょっとだけお高いごちそう系のおにぎりにも手を伸ばしたい気持ちはあるが、あれはもう少し特別なタイミングで買うのが港のルールだ。
例えば休日前の金曜日、とか。
(コンビニは大体火曜日に新商品が出るから、その時でも良かったよな)
そんなことを考えながら食堂の給湯器からお茶をもらう。
ここのものはお湯かほうじ茶が出るタイプだ。紙コップ注がれるほうじ茶を眺めながら、ふう、と港は息を吐いた。
(いや、しかし疲れたわ……)
ここでアルバイトを始めた初日にも思ったが、これまで港は営業で外回りをしてきたため体力はあると思っていた。
しかし、それでもへとへとになってしまう。
仕事によって使う体力や気力の種類に違いがあることに気が付いて、港は実のところちょっと感動していた。
(違う職種も面白いな……)
そう思ったが、三十代も終盤の今さら新しい職種に飛び込んでも正社員は難しいかもしれない。けれども、少しだけチャレンジしてみたい気持ちも湧いてきた。
(……ん? いや、あれ? そうじゃないよな、俺)
ここで働いている時間が妙に充実しているせいで忘れていたが、そう言えば自分は人生をリタイアしようと考えていたはずだ。
初志貫徹があっと言う間に崩れている。
(俺、意思が弱ぇなぁ……)
なんてちょっと苦笑する。
まぁ、こちらに関しては弱い方が良いのかもしれないが。
(どうしようかね……)
整理解雇されて、まだ一ヶ月も経っていない。
そんなに短い間なのに、自分の気持ちに変化が出るとは思わなかった。
たくさんの人の笑顔に触れたからかもしれない。
(ま、今は昼飯だ)
そう思いながらほうじ茶をの紙コップを持って、港は適当な席に座った。
昼時の食堂ではあるが、食事をする人はまばらだった。生き物たちの世話もあるし、接客もあるからだろう。それぞれが交代で昼休憩を取っているようだ。
「何から食べようかなぁ」
まずはサラダから食べた方が血糖値云々が上がりにくいんだっけ、と思い出す。
港も三十代の終盤だ。そろそろ身体のことをちゃんと考えた方が良いな、とは思っているのだ。
健康診断ではまだ引っかかったことはないが、同年代の同僚たちが「やば」「しまったなぁ」と言っていたので、港もそろそろだと思っている。
(ま、特に最近は外食が多いしな……)
外食をするとついつい好きなものを選んでしまうし、夜もコンビニ飯で済ませることが増えてしまった。
なので身体のことを考えると、非常に良くない、気がする。
(ま、このバイトもゴールデンウィーク明けまでだろうし)
智の話ではそこが緊急で必要な様子だったし、たぶん短期バイトになるだろう。
なのでアルバイト期間が終わったら食生活を改めよう、と港は決意して、サラダのフタを開ける。
(……あ、そう言えば手紙)
忙し過ぎて忘れかけていたが、朝もらった手紙をまだ読めていないかった。
ここは昼休憩を一時間きっちりくれるので、食事が終わったら読もうと思いつつ、港は「いただきます」と手を合わせ、サラダを食べ始めたのだった。
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