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世間知らずでクソニートの俺に社会復帰は許されない
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しおりを挟む年上の彼氏、しかも高スペックで高給取りの彼氏と付き合って3年。
出会ったのが大学4年の頃で、付き合ってすぐ同棲が始まり、そこからだらだらと3年間を過ごした。
3年だぞ。
家賃も生活費も全部出してくれるし、就活めんどいしなあとか考えていたらいつの間にか3年経ってた。やばすぎる。
二言目には、お前は何もしなくていい、と言われ、彼の住むタワマンで彼の帰りを待つ日々。
欲しいものは全部与えてもらえるから、外に出なくても何も不自由はない。
最初は手料理とか頑張ってたけど、週に何回かハウスキーパーさんが来て作ってくれるし、なんなら彼氏の手料理の方が美味しすぎるから諦めた。
今は完全にヒモ状態ってこと。
実家も基本放任主義だし、特に何も困ったことがないからずるずるとこの生活を続けていたけど、このままだと俺は常識のまるでない社会不適合者になってしまう。
ただでさえ平凡で能力も資格もなくて、趣味はソシャゲかショート動画を見ながらポテチを食べることの俺が社会不適合者になんかなってしまったら、確実に良い人生が送れるはずがない。
別に人生の目標とかがあるわけでもないし、やりたいことも特にない。
でも彼氏だっていつどうなるかわからないし。
こんな平凡なんで付き合ってたんだろうって目が覚める時が来るかもしれないし。
このままクソニート状態で放り出されでもしたら確実に人としてやばいことはわかる。
ということで就職…はいきなりすぎるか、俺の心の準備的にな、と思い、まずは久しぶりにアルバイトでも始めようとした俺だけど、ここで人生最大の壁が俺の行く手を阻むだろうことは簡単に予想ができた。
ちょっと、いや、かなりわがままで自己中で独占欲の強い彼氏。
それが、俺が仕事を始めるにあたって一番の懸念であり、エベレストのように俺の前に立ちはだかるに違いないんだ。
「は?アルバイト?」
ほら見ろ。
目の前にいる俺の彼氏は眉間に皺を寄せ、不機嫌なのを隠しもしない。それどころか舌打ちもしたよこいつ。
いつものように帰ってきて早々上機嫌で俺に抱きついた彼氏に、猫撫で声でアルバイトしたいなー!って言っただけなのに。
ドラマで見る借金取りとかヤクザがやるようにじりじりと壁際まで追い詰められ、壁ドンされる。
いつもだったら心も下半身もときめくところなんだけど、圧力が怖すぎて今は全くときめけない。むしろ逃げたい。
「なんか欲しいものでもあんのかよ。」
「え?あ、いや、そういうんじゃなくて、」
「新しいスマホ?ゲーム?いつも通り俺のカード使えばいいだろ。今更なに遠慮してんだよ。好きなもの好きなだけ買えっていつも言ってるだろ。」
「だから、その、欲しいものがあるからとかじゃなくて、」
ちなみにこいつの言ってるカードとはブラックカードのこと。
そんなすごいカードで俺のくだらないゲームやら何やらなんて買えないよ!と思ってたっけ。2年前までは。
今ではソシャゲの課金で呼吸するように使いまくる始末。
お陰様でどのゲームでもSSRをゲットできます、ありがとうございます。
「……じゃあ、なんだよ。」
煮え切らない俺の態度に、一層不機嫌になった彼氏に肩を掴まれた。
俺の両肩を掴み、力をこめていく彼氏。
だんだん険しくなっていく顔はやっぱりかっこいい。
この顔に見つめられたら大抵のことはどうでも良くなるし、いつも流されちゃうんだけど。
今回の俺の覚悟は違う。俺の人生がかかってるんだからな。
ビビるな、落ち着け、はっきり言うんだ。
「し、社会、勉強!みたい、な……?」
「俺から逃げる気か。」
「何でだよ!」
くっ、駄目か。
やはり時期尚早だったんだ。もう少し時間を置くべきだったかもしれない。
この前俺の浮気疑惑があったばかりなのに。
「じゃあまた浮気するつもりなのかよ!」
「だからあれは浮気じゃねぇっつったじゃん!」
「あれはどっからどう見ても浮気だろうが!」
彼氏の言っている浮気とは、俺が宅配便のお兄さんから荷物を受け取り、ありがとうございますって言ったこと。
いつもは置き配にしろって言われてるんだけど、その日は楽しみにしてた漫画の発売日で1ヶ月前から予約してたから、一刻も早く読みたくて受け取っちゃって。
まだあいつ帰ってきてないしいっか!なんて軽い気持ちで受け取ったら、たまたまいつもより早く帰ってきた彼氏と鉢合わせ。浮気だ!と喚き散らかし、玄関で押し倒されてお仕置きえっち。
結局、楽しみにしていた漫画は翌日ベッドの中で腰を労りながら読みましたとさ。
この前は仕方なく、そう、仕方なく!
お仕置きえっちだって(常識なんだと丸め込まれて)我慢したけれども。
でもこれだってきっと社会に出たら異常に違いない。
そもそもほぼ毎日えっちしてるのも、週5以上の夜の営みはカップルの常識と言われ続けてきたからなんだけど。
俺は知ってしまった。
世の中には毎日セックスをする夫婦やカップルの方が少ないということを!ありがとうインターネット!人類の叡智!
きっとこの独占欲なんかも世間一般ではおかしいに違いない…まぁ、嬉しいけども!
そもそも俺1ヶ月は外出てないし(買い物は全部ネットで済ませる)、彼氏以外の人と話したのもこの前の宅配のお兄さんくらいだ。
親とも頻繁に連絡取ってるわけじゃないし、友達もほぼいない俺…このままだと本格的に社会から取り残される!!
社会復帰?のためにも、やはり働くことは必要だ。
人との関わりが人間社会では大事ですからね、うんうん。
かくなる上は彼氏に内緒でアルバイトを探して始めるしかない!
「まさかとは思うが、俺に内緒で始めるわけないよなぁ?」
さっきとは打って変わってにっこりと笑う彼氏に思わず後ずさる。
やばい、この顔はやばい。
この前のお仕置きえっちのときとおんなじ顔だ。
これはどんな怒っている時の顔よりも危険な顔だ。
そしてお前はエスパーか。
だがここで折れるわけにはいかない。
このまま社会から取り残された非常識な人間にならないためにも、
「なぁ?するわけないよなぁ?」
俺は、俺は…!
「一週間有給取ってお仕置きえっち。楽しみだなぁ?」
………まぁ、ね、
「ア、アルバイト、しません……」
「まじで?いいこ。」
社会不適合者になったとしてもさ、彼氏に養ってもらえばいいよね、うん。
もし捨てられてもさ、その時に考えればいいし今無理に考えなくてもね、うんうん。
彼氏の腕の中で乾いた笑い声をあげながら、俺は早くも常識的で普通の人生を送ることを諦めた。
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