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桔梗家と鬼神家
第29話 発現
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雅様についていき、森の中を歩く。
周りに立ち並ぶ木の隙間から、月光が降り注ぐ。それのお陰で、足元が照らされ転ぶ心配はない。
ですが、明るいとも言い難い森は、少し怖い。風も冷たく、体が冷えてしまう。
雅様が近くにいるとわかっていても、怖いものは、怖い。
不安に思っていると、雅様が振り向いた。
「怖いか?」
「い、いえ」
「もう少しだ。あと少しで、怖いなどという感情はなくなる。楽しみにしていろ」
ケラケラ笑いながら歩みを進める雅様は、なぜか楽しそう。
――――そういえば雅様、最近よく笑うようになった気がする。
雅様の笑みで、先ほどまで抱いていた恐怖心が無くなった。
今は、ドキドキと胸がうるさくて、それどころではない。
足元に気を付けながら歩いていると、やっと森が開けてきた。
森を抜けると、満点の星空が広がる光景に、思わず言葉を失った。
「綺麗……」
「心を休めるには、自然に触れるのが一番だ。ここは空気が澄んでおり、星が綺麗に見える。とっておきの場所だ」
私の肩に手を回し、引き寄せる。
見上げると、雅様が柔和な笑みを浮かべ星空を見上げていた。
――――幸せだ。
こんな幸せが今後も続く、続かせたい。
雅様を失うなんて、私、絶対に耐えられないっ!
「それにしても、ここは――どうした?」
「――――え?」
雅様が微かに目を開き、私の目元に手を伸ばす。
頬を撫で、いつの間に流れていた雫を親指で拭いてくれた。
雫、涙?
私、泣いているの? なんで?
「…………美月、話してもらえんか? 何が貴様を、そこまで苦しめているのか」
細められた漆黒の瞳は、涙を流す私を映し出す。
どうしよう。夢の話を伝えていいのだろうか。あんな、気分の悪くなる夢を……。
雅様に、雅様が殺されてしまう夢を伝えていいのか、分からない。
いや、伝えない方がいい。何も言わない方がいい。
分かってる。けれど、もう、一人では抱えきれない。
「美月、俺様を信じろ」
真っ直ぐで、強い視線。優しく添えてくれている手。
口が、勝手に動いてしまう。
優しい雅様に、縋ってしまう。
「――――夢を、見るんです」
「夢?」
雅様に、今まで見てきた夢を何も隠すことなく話した。
最初はただ、雅様が殺されてしまう場面が映るのみだったと。
徐々に背景がわかり、屋敷の裏であることがわかり、誰かに殺されてしまうこと。
それが、私の姉である美晴姉様だったと言う事も話し、私は口を閉ざした。
「――――なるほど。俺様が、貴様の姉に殺される……か」
「絶対にありえません。絶対に、そんなこと……。でも、怖くて……」
体が震える。声も、震える。
怖い、現実で起こるはずなんてないのに。なんで、こんなにも怖いの。
自分の身体を包み込むが、震えは止まらない。
寒気までしてきて、歯がガチガチと音を鳴らす。
「美月よ、それは貴様の力が発現したという事ではないか?」
「え、力?」
「あぁ。今、考えられるのは、予知夢。それか、未来視。今回見た夢は、今後、起こりうる一つの可能性なのかもしれん」
「そ、そんな…………」
なら、私は雅様を失ってしまうのですか?
美晴姉様が殺してしまうって、こと?
美晴姉様が雅様を殺す。それは、私が雅様に嫁いでしまったから。
つまり、私が、雅様を殺してっ――……
「ありがとう、美月」
「――――っ、え」
雅様は、微笑みを浮かべ、私の頭を撫でる。
なぜ、ありがとうと言うのだろうか。
なぜ、そんな清々しい表情を浮かべるのだろうか。
「もし、それが予知夢なのだとしたら、今後の対策がしやすい。それに、桔梗家が裏で手を引いているのも確信に変わった」
まだ、雅様はブツブツと呟いている。
しかも、イキイキと。
「ふむ。美月に深い傷を与えた桔梗家を苦しめる算段が出来たぞ。今後どうなるか。俺様を怒らせた罪を、思い知らせてやる」
――――あっ……。
雅様、なんか、あの、これは本でしか見た事がないので何とも言えないのですか、あの、閻魔様のような顔を浮かべていますよ。
私もさすがに、少し、怖いです。
「では、美月よ。風をひいても困る、早く屋敷に戻ろうぞ」
「あ、あの、雅様。その、楽しそう、ですね?」
私の手を繋ぎ歩き始めた雅様は、なんだか、楽しそうです。
私の話を聞いてから、やる気が満々のように感じます。
「あぁ、そうだな。俺様は基本、平和に事を終らせることを一番に考えているが、今のように策略を練り、相手を追い込めるのも楽しくてたまらんのだ」
「…………え?」
「つまり、俺様は本来、平和主義者ではない。我慢はできるがな」
閻魔様が、目の前に降臨しました。
でも、楽しそうにブツブツと作戦を考えている雅様は、今まで見ていたどんな雅様より子供のように無邪気で、なんだか可愛いです。
……………………考えていることは物騒だけど…………。
周りに立ち並ぶ木の隙間から、月光が降り注ぐ。それのお陰で、足元が照らされ転ぶ心配はない。
ですが、明るいとも言い難い森は、少し怖い。風も冷たく、体が冷えてしまう。
雅様が近くにいるとわかっていても、怖いものは、怖い。
不安に思っていると、雅様が振り向いた。
「怖いか?」
「い、いえ」
「もう少しだ。あと少しで、怖いなどという感情はなくなる。楽しみにしていろ」
ケラケラ笑いながら歩みを進める雅様は、なぜか楽しそう。
――――そういえば雅様、最近よく笑うようになった気がする。
雅様の笑みで、先ほどまで抱いていた恐怖心が無くなった。
今は、ドキドキと胸がうるさくて、それどころではない。
足元に気を付けながら歩いていると、やっと森が開けてきた。
森を抜けると、満点の星空が広がる光景に、思わず言葉を失った。
「綺麗……」
「心を休めるには、自然に触れるのが一番だ。ここは空気が澄んでおり、星が綺麗に見える。とっておきの場所だ」
私の肩に手を回し、引き寄せる。
見上げると、雅様が柔和な笑みを浮かべ星空を見上げていた。
――――幸せだ。
こんな幸せが今後も続く、続かせたい。
雅様を失うなんて、私、絶対に耐えられないっ!
「それにしても、ここは――どうした?」
「――――え?」
雅様が微かに目を開き、私の目元に手を伸ばす。
頬を撫で、いつの間に流れていた雫を親指で拭いてくれた。
雫、涙?
私、泣いているの? なんで?
「…………美月、話してもらえんか? 何が貴様を、そこまで苦しめているのか」
細められた漆黒の瞳は、涙を流す私を映し出す。
どうしよう。夢の話を伝えていいのだろうか。あんな、気分の悪くなる夢を……。
雅様に、雅様が殺されてしまう夢を伝えていいのか、分からない。
いや、伝えない方がいい。何も言わない方がいい。
分かってる。けれど、もう、一人では抱えきれない。
「美月、俺様を信じろ」
真っ直ぐで、強い視線。優しく添えてくれている手。
口が、勝手に動いてしまう。
優しい雅様に、縋ってしまう。
「――――夢を、見るんです」
「夢?」
雅様に、今まで見てきた夢を何も隠すことなく話した。
最初はただ、雅様が殺されてしまう場面が映るのみだったと。
徐々に背景がわかり、屋敷の裏であることがわかり、誰かに殺されてしまうこと。
それが、私の姉である美晴姉様だったと言う事も話し、私は口を閉ざした。
「――――なるほど。俺様が、貴様の姉に殺される……か」
「絶対にありえません。絶対に、そんなこと……。でも、怖くて……」
体が震える。声も、震える。
怖い、現実で起こるはずなんてないのに。なんで、こんなにも怖いの。
自分の身体を包み込むが、震えは止まらない。
寒気までしてきて、歯がガチガチと音を鳴らす。
「美月よ、それは貴様の力が発現したという事ではないか?」
「え、力?」
「あぁ。今、考えられるのは、予知夢。それか、未来視。今回見た夢は、今後、起こりうる一つの可能性なのかもしれん」
「そ、そんな…………」
なら、私は雅様を失ってしまうのですか?
美晴姉様が殺してしまうって、こと?
美晴姉様が雅様を殺す。それは、私が雅様に嫁いでしまったから。
つまり、私が、雅様を殺してっ――……
「ありがとう、美月」
「――――っ、え」
雅様は、微笑みを浮かべ、私の頭を撫でる。
なぜ、ありがとうと言うのだろうか。
なぜ、そんな清々しい表情を浮かべるのだろうか。
「もし、それが予知夢なのだとしたら、今後の対策がしやすい。それに、桔梗家が裏で手を引いているのも確信に変わった」
まだ、雅様はブツブツと呟いている。
しかも、イキイキと。
「ふむ。美月に深い傷を与えた桔梗家を苦しめる算段が出来たぞ。今後どうなるか。俺様を怒らせた罪を、思い知らせてやる」
――――あっ……。
雅様、なんか、あの、これは本でしか見た事がないので何とも言えないのですか、あの、閻魔様のような顔を浮かべていますよ。
私もさすがに、少し、怖いです。
「では、美月よ。風をひいても困る、早く屋敷に戻ろうぞ」
「あ、あの、雅様。その、楽しそう、ですね?」
私の手を繋ぎ歩き始めた雅様は、なんだか、楽しそうです。
私の話を聞いてから、やる気が満々のように感じます。
「あぁ、そうだな。俺様は基本、平和に事を終らせることを一番に考えているが、今のように策略を練り、相手を追い込めるのも楽しくてたまらんのだ」
「…………え?」
「つまり、俺様は本来、平和主義者ではない。我慢はできるがな」
閻魔様が、目の前に降臨しました。
でも、楽しそうにブツブツと作戦を考えている雅様は、今まで見ていたどんな雅様より子供のように無邪気で、なんだか可愛いです。
……………………考えていることは物騒だけど…………。
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