6 / 95
旦那様とお買い物
3ー4
しおりを挟む
戻ってきたのっぺらぼうさんは、一枚だけを手に残し、他の物はお手伝いさんの女性が持っているお盆に乗せ、私の方に顔を向けてきました。
「では、合わせますね。失礼します」
「あ、はい」
のっぺらぼうさんが私の後ろに回り、反物を両肩にかけてくれました。
肩に置かれている反物、さっき私が見ていた反物と似ている柄。
でも、桜の縁には金彩が入っております。さっきのにはなかったはずです。
あっ、肌触りがさらさらで、ずっと触っていたい。
「ふふっ、お似合いですよ、奥方様」
「おぉ。別嬪にさらに磨きがかかったなぁ」
のっぺらぼうさんと旦那様が私をほめてくださいました。
ものすごく嬉しいです、思わず照れてしまい顔を逸らしてしまいました。
だって、旦那様に見つめられているんですもん、仕方がありません。
「では、お次は旦那様ですね」
「我は特にいらん」
「いえ、奥方様の反物があちらで決まりなのでしたら、旦那様は今日仕入れましたこちらにお決まりなのです。さぁ、羽織ってみてください!」
「ちょっ! …………うむ、仕方がないなぁ」
あ、旦那様に無理やり広げた反物を羽織らせております。
距離が近いのは気になりますが、そうでもしなければ旦那様は自分の着物を買わないと思いますので、これに関してはのっぺらぼうさんに拍手です!
「どうですか!? やはり、美男美女、これは絵になりますよ!!」
鼻息荒いのっぺらぼうさん、落ち着いてください。
確かに、旦那様は格好良くて逞しくて美しい方ですが、落ち着いてください。
「ど、どうだろうか、華鈴」
頬をポリポリと掻きながら聞いて来る旦那様、少し照れているのか声が上ずっております。
「目が奪われてしまうくらい素敵です」
「そ、そうか。それならよかった」
旦那様が羽織った反物の柄は、私が羽織ったものと似ております。
夜桜をモチーフにしたような柄に、白い龍が自由に飛び回っているような。
まるで、旦那様のために作られたかのような反物で、本当にお似合いです!
私はいまだ落ち着きがないように、自身が羽織っている反物を見ている旦那様から目を離すことができません。
もし、あれを購入する事が出来たならば、旦那様はいつも着てくださるのでしょうか。
私と、おそろいの着物を。
想像しただけで、幸せ過ぎます。
「あ、あの、旦那様の反物はおいくらでしょうか?」
もし私のお小遣いで買えるものなのなら、旦那様に贈り物としてお渡ししたいです。
「旦那様の方は六十万ですね」
……………………六十万???
「ワ、ワカリマシタ…………」
「な、なぜそんなに落ち込むんだ?」
「なんでもありましぇん…………」
私のお小遣いでは、ギリギリ足りない金額でした。悲しいです。
「奥方様のも同じ値段なのですが、いかがいたしますか?」
「一着は買うぞ、華鈴のをな」
「了解いたしました」
落ち込んでいる私の肩を、旦那様が引き寄せました。
上を見上げると、旦那様の顔を隠している黒い布が間近くにっ──!!
し、心臓が飛び跳ねてしまいました……はぁ。
「――――ぬしは、我のこれは似合うと思うか?」
ジィ~と見られたかと思えば、そのような事を聞いてきました。
な、何を言っているのでしょうか。そ、その質問、答えはもう決まっていますよ!
「は、はい!! 先ほどもお伝えさせていただきましたように、目が奪われるほどお似合いです」
「そうか……。ふむ。我とおそろいのような格好になってしまうが、構わんか?」
「そ、それは願ったり叶ったりです!!」
「くくっ、そうか」
あ、また旦那様がのっぺらぼうさんの所へと戻ってしまわれました。
一体、何を思っての言葉だったのでしょうか。
「二着、どちらも仕立ててくれ」
「ありがとうございます」
え、本当に二着も買うのですか!?
「今回は二着ですのでお時間を頂きます。また後日でもよろしいでようか?」
「構わん、また来る」
「お待ちしております」
私の持っている反物ものっぺらぼうさんに渡しますと、ホクホクしながら奥へと行ってしまいました。
残されたお手伝いさんがお値段を伝え、旦那様がお支払い。
お会計が終わり、お店を後にします。
「では、合わせますね。失礼します」
「あ、はい」
のっぺらぼうさんが私の後ろに回り、反物を両肩にかけてくれました。
肩に置かれている反物、さっき私が見ていた反物と似ている柄。
でも、桜の縁には金彩が入っております。さっきのにはなかったはずです。
あっ、肌触りがさらさらで、ずっと触っていたい。
「ふふっ、お似合いですよ、奥方様」
「おぉ。別嬪にさらに磨きがかかったなぁ」
のっぺらぼうさんと旦那様が私をほめてくださいました。
ものすごく嬉しいです、思わず照れてしまい顔を逸らしてしまいました。
だって、旦那様に見つめられているんですもん、仕方がありません。
「では、お次は旦那様ですね」
「我は特にいらん」
「いえ、奥方様の反物があちらで決まりなのでしたら、旦那様は今日仕入れましたこちらにお決まりなのです。さぁ、羽織ってみてください!」
「ちょっ! …………うむ、仕方がないなぁ」
あ、旦那様に無理やり広げた反物を羽織らせております。
距離が近いのは気になりますが、そうでもしなければ旦那様は自分の着物を買わないと思いますので、これに関してはのっぺらぼうさんに拍手です!
「どうですか!? やはり、美男美女、これは絵になりますよ!!」
鼻息荒いのっぺらぼうさん、落ち着いてください。
確かに、旦那様は格好良くて逞しくて美しい方ですが、落ち着いてください。
「ど、どうだろうか、華鈴」
頬をポリポリと掻きながら聞いて来る旦那様、少し照れているのか声が上ずっております。
「目が奪われてしまうくらい素敵です」
「そ、そうか。それならよかった」
旦那様が羽織った反物の柄は、私が羽織ったものと似ております。
夜桜をモチーフにしたような柄に、白い龍が自由に飛び回っているような。
まるで、旦那様のために作られたかのような反物で、本当にお似合いです!
私はいまだ落ち着きがないように、自身が羽織っている反物を見ている旦那様から目を離すことができません。
もし、あれを購入する事が出来たならば、旦那様はいつも着てくださるのでしょうか。
私と、おそろいの着物を。
想像しただけで、幸せ過ぎます。
「あ、あの、旦那様の反物はおいくらでしょうか?」
もし私のお小遣いで買えるものなのなら、旦那様に贈り物としてお渡ししたいです。
「旦那様の方は六十万ですね」
……………………六十万???
「ワ、ワカリマシタ…………」
「な、なぜそんなに落ち込むんだ?」
「なんでもありましぇん…………」
私のお小遣いでは、ギリギリ足りない金額でした。悲しいです。
「奥方様のも同じ値段なのですが、いかがいたしますか?」
「一着は買うぞ、華鈴のをな」
「了解いたしました」
落ち込んでいる私の肩を、旦那様が引き寄せました。
上を見上げると、旦那様の顔を隠している黒い布が間近くにっ──!!
し、心臓が飛び跳ねてしまいました……はぁ。
「――――ぬしは、我のこれは似合うと思うか?」
ジィ~と見られたかと思えば、そのような事を聞いてきました。
な、何を言っているのでしょうか。そ、その質問、答えはもう決まっていますよ!
「は、はい!! 先ほどもお伝えさせていただきましたように、目が奪われるほどお似合いです」
「そうか……。ふむ。我とおそろいのような格好になってしまうが、構わんか?」
「そ、それは願ったり叶ったりです!!」
「くくっ、そうか」
あ、また旦那様がのっぺらぼうさんの所へと戻ってしまわれました。
一体、何を思っての言葉だったのでしょうか。
「二着、どちらも仕立ててくれ」
「ありがとうございます」
え、本当に二着も買うのですか!?
「今回は二着ですのでお時間を頂きます。また後日でもよろしいでようか?」
「構わん、また来る」
「お待ちしております」
私の持っている反物ものっぺらぼうさんに渡しますと、ホクホクしながら奥へと行ってしまいました。
残されたお手伝いさんがお値段を伝え、旦那様がお支払い。
お会計が終わり、お店を後にします。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
侯爵令嬢ソフィアの結婚
今野綾
恋愛
ソフィアは希少なグリーンアイを持つヴィンセントと結婚したが、これは金が欲しいソフィアの父の思惑と高い爵位が欲しいヴィンセントの思惑が一致したからに過ぎない
そもそもヴィンセントには美しい恋人がいる
美男美女と名高いヴィンセントとその恋人は身分に大きな差があるために結婚することは叶わないのだ
その事をソフィアも耳にしており、この結婚が形ばかりのものであることを知っていた
結婚して早々、ソフィアは実家から連れてきた侍女夫婦とあばら家に住むように言われて…
表紙はかなさんです✨
ありがとうございます😊
2024.07.05
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる