生贄巫女はあやかし旦那様を溺愛します

桜桃-サクランボ-

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旦那様と迷子

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「華鈴? 大丈夫か?」

「――――ハッ。だ、大丈夫です。神様が長で人間だったとは思っておらず、少々驚いてしまいました」

「待て待て待て。言葉がおかしくなっておるぞ、深呼吸をするのだ」

 旦那様に優しく背中を撫でられ、やっと落ち着くことが出来ました。

 今、私達の目の前にいますのは、神様。そう、神様なのです。

 これは、私が変な事をしてしまえば、この世界が終わってしまうかもしれないです。
 旦那様の立場も危うくなってしまう、絶対に失敗は許されません。気を緩めてはいけませんよ、華鈴。

 気を引き締め直すと、なぜか神空様が肩を落とし困ったように眉を下げてしまいました。
 ど、どうしたのでしょうか。私、もう何かをやってしまったのでしょうか!? どどどどど、どうしましょう!! 

 謝らなければならないでしょうか!? ですが、何をやらかしてしまったのかわからないので、謝罪が出来ません! もう! なんで私はこんなにも駄目な人なのでしょうか!

 一人で慌てていると、神空様が私の前まで移動し、何故か顎を固定され、顔を上げさせられました。

 深緑色の瞳に、私の顔が映ります。
 これは、なんでしょうか。

「貴方は似ていますね、七氏に」

「え、旦那様に……?」

 ど、どこが似ているのでしょうか……?

 ものすごく嬉しいお言葉なのですが、私は旦那様のように凛々しくも、美しくもありません。
 なんでも出来る訳でも、頭が良いわけでもないのです。

 似ているところの検討がつきません……。
 不思議に思い神空様を見つめていますと、隣から強い視線と共に、神空様の肩を掴む手が伸びてきました。

「神空さん、そのくらいにして頂けると嬉しいのですが?」

 ……………………今まで見た事がないような笑み、です。
 いえ、笑みではありません。口角は上がっていますが、目が笑っておりません。

 私は旦那様から視線を受けているわけではありませんが、体が震えます。
 ――――旦那様、本気で、怒っています。

 ちらっと横目で神空様を見てみますと、聞こえてきたのは何故か賛称のお声、怖くはないのでしょうか……?

「素晴らしいですね、七氏。貴方がそこまで怒るとは思ってもいませんでした。素敵です」

「何にそのような言葉をかけてくださっているのかわかりませんが、今回は包み隠さずに言います。華鈴は我の妻です、あまり近づかないでいただきたい」

 旦那様が私の前に立ち、神空様との距離を離します。

 睨んでいる旦那様とクスクスと笑っています神空様。
 これは、どういう状況なのでしょうか。こ、怖いです……。

 お二人を交互に見ていると、神空様が笑うのをやめて旦那様に声をかけました。

「そういえばなのですが、こんな所で時間を使ってもよろしいのでしょうか? これから楽しい楽しい相瀬ではなかったのですか?」

「むっ!」

 旦那様は空を見上げ、時間を確認しています。
 今は太陽が頭の上、おそらく昼頃かなと。

「確かに、これ以上は楽しむ時間が無くなってしまうな」

「ふふっ。七氏に用事がありましたが、急ぎではありません。今日は相瀬を楽しんでください」

 道を開け、神空様は横にずれます。

「え、用事ですか? 一体、なんでしょう」

「今は気にしなくても良いですよ。先程も言いましたが急ぎではありません。今日は私の事は忘れ、楽しんでください。さぁ、さぁ!」

 ――――わっ、わっ!!
 旦那様と共に背中を押されてしまい、これ以上質問できなくなってしまいました。

「いってらっしゃいませ、良い一日を」

 私達に手を振ると次の瞬間、森の中に響いたのは指を弾く音。


 ――――――――パチン


「――――っ、わ。あ、あれ? アスファルト?」

 今まで地面の上に居たはずなのですが、次の瞬間にはアスファルトの上。隣には、周りを見回している旦那様。

「ここって――――へっ?」

 同じく周りを見ますと、驚きすぎて下品な声を出してしまいました!
 ですが、ですが! これに対しては仕方がないです!! だって! 私達が居るのは──……

「ショッピングモール!!」

 周りには楽しそうに歩く人達。
 子供の手を掴み、親子で楽しんでいる方達や、友達と笑い合いながら歩いている方達。他には、恋人同士でしょうか? 素敵な手のつなぎ方をして、楽しそうにショッピングモールの中へと入って行きます。

 ショッピングモールと呼ばれるだけあって、ものすごく大きな建物。屋上には、開店を祝うために風船が括り付けられ、風で揺れております。

「旦那様!! ここって、私達が行こうとしておりましたショッピングモールですか!?」

「そうだ。神空さんがここまで送ってくれたらしいな」

 旦那様の服を掴み聞くと、笑顔で答えてくださいました。

 やはり、やはりやはり!!
 華やかなここが、私達の目的地であるショッピングモール!!

 沢山の人が行き来し、スタッフの方が声を張り上げ活気が良く、テンションが上がります!

「旦那様! はやく、早く行きましょう!!」

「わかったわかった、そう焦るでない。焦っても意味はないぞ」

 あ、旦那様が首元に下げていたサングラスをかけました。
 なるほど、黒い布ではお洋服だと変に目立ってしまいます。そこでサングラスを代用したのですね。

 完全に隠せないにしろ、目立ちはしません。
 完璧です、旦那様!!

「では、行こうぞ」

「はい!!!」

 旦那様と手を繋ぎ、楽しみにしておりましたショッピングモールの中へと入ります。
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