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両親の出会い
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九尾は、チガヤの言葉が忘れられず、人間の世界へと来ていた。
街を一望できる山の頂上、一本の木の枝に座り、酒を楽しんでいる九尾は、目を細め難しい顔を浮かべている。
「…………あやかしの世界程ではないが、やはり街から離れ自然に囲まれている場所は、人間世界でも空気が綺麗じゃな」
口ではマイペースにそんなことを言っているが、表情は固い。
「あやかしは、人間世界に関与してはいけない。それは、人間も同じ。あやかしを勝手に祓ってはいけない」
チガヤと交わした約束。その約束のおかげで、今まで人間とあやかしが争いなく過ごせていた。
それを破れば、お互いの長はなにかしらの罰を受けなければならない。
九尾は、人間が好きで、人間世界が好き。
罰を受けたくない気持ちもあるが、人間が自分の管理不足のせいで被害に遭う光景を見たくはないと、強く思っていた。
「…………猫又の気配が強いな。何を企んでおるんじゃ……。まぁ、悪いことをすればすぐに分かるか」
少しでもあやかしが悪い気を起こそうとすれば流れてくる空気と、特有の気配でわかる。
今までも、その度に出向き、言い聞かせて来た。
言葉で通じない者は、力でひれ伏すなども行ってきた。
今回も、いつも通りに行うつもり。だが、数が多すぎるのが難点。
そこで、九尾はある人物が二人、頭に浮かび名前を呟いた。
「来い、百目、鴉天狗」
「「ハッ!!」」
百目は、現代で働いているあやかし。
今は人間に擬態しており、見た目だけでは直ぐにあやかしだと分からない。
黒い髪で顔の右半分を隠している。
服は、黒いスーツを着用。革靴を履いており、どこにでもいるサラリーマンのような見た目をしていた。
鴉天狗は、人間に見られないように森で生活している。
こちらも、黒い髪に黒を基調とした山伏装束を身につけている。
くちばし、鋭い眼光を放っている黒い瞳。
背中には黒い翼が広がり、片手には錫杖が握られていた。
「いきなり呼んで悪いな。今、人間世界に猫又が大量にいるのは気づいておるか?」
「はい。人間を運んでいる際に何度か見かけております」
「鴉天狗は?」
「私も気づいております。ですが、そこまで気にするほどではないかと思っておりましたが?」
鴉天狗の言う通り、そこまで気にしなくても問題はない。
だが、九尾にとって今の猫又の動きは予想ができず、警戒を高めるしか出来ない。
「確かに、今は気にせんでも良い。いつもより多少、警戒を高めてくれと言うことだ」
「理由は?」
「直感だ」
「了解いたしました」
理由を聞いた鴉天狗は納得できておらず、眉間に深い皺を寄せた。
了解したと言う百目は、隣で頷かない鴉天狗の腰を突く。
「…………了解しました」
「我慢させて悪いな、鴉天狗。だが、今だけは耐えてくれ。あやかしが人間世界で暴れてしまえば。こちらの立場がなくなってしまうんじゃよ」
「わかっております」
まだ、納得していないような鴉天狗だが、長の命令は絶対。渋々頷いた。
眉を下げ、九尾は再度「すまぬな」と謝り、解散させた。
「次は、猫花家の動きでも確認するかのぉ」
呟いた直後に、九尾は風に乗るように姿を消した。
※
人間世界の神、チガヤは普段、人間の世界を優雅に過ごしていた。
繁華街のお店を見て回ったり、仕事をしているサラリーマンをビルの窓から覗き込んだり。
他にも、食べ物を食べ、子供と遊び、人間世界を満喫していた。
今も公園のベンチに座り、走り回っている子供を眺めていた。
「…………おや?」
そんな時、人間の子供の中に一人、あやかしの子供が紛れ込んでいることに気づいた。
見た目は、普通の女の子。
茶色の髪に黄色の瞳。赤いワンピースを着て、人間の子供と遊んでいた。
普通に見れば、あやかしだろうと人間だろうと楽しいのなら良し。
どちらも、悪い事をしなければという思いなので、チガヤは気づかないふりをする。
だが、目ではどうしても追ってしまう。
なんのあやかしだろうか、姿を見せないように気をつけなさいねぇ~と考えながらボぉ~としていると、一人の女性が子供に駆け寄った。
あやかしの子供の母親らしく、汚れてしまった赤いワンピースをハンカチで払い、また、すぐに人間の子供と合流させた。
しっかりと人間世界に溶け込んでいるなと、チガヤは感心した。
笑みを浮かべその母親を見ていると、なぜか彼女が振り返った。
――――ゾクッ
チガヤの身体に戦慄が走る。
女性の目は、子供と同じ黄色。だが、その目は冷たく、鋭い。
向けられた者は、その視線だけで殺されてしまう。
それほどまでの殺意に、チガヤは驚愕。だが、慌てる事はせず、その場から動かない。
少しの間、見られていたかと思うと、すぐに子供へと視線を戻した。
息すら吐けなかったチガヤは、女性に気づかれないようにゆっくりと止めていた息を吸い、吐いた。
――――まさか、あんな視線を私に向けて来るなんて、何を考えているのでしょう、あのあやかしは……。
考えたが、チガヤはあやかしのことはあやかしが一番わかっていると思い、今日は動かず明日、九尾に声をかけようと決めた。
街を一望できる山の頂上、一本の木の枝に座り、酒を楽しんでいる九尾は、目を細め難しい顔を浮かべている。
「…………あやかしの世界程ではないが、やはり街から離れ自然に囲まれている場所は、人間世界でも空気が綺麗じゃな」
口ではマイペースにそんなことを言っているが、表情は固い。
「あやかしは、人間世界に関与してはいけない。それは、人間も同じ。あやかしを勝手に祓ってはいけない」
チガヤと交わした約束。その約束のおかげで、今まで人間とあやかしが争いなく過ごせていた。
それを破れば、お互いの長はなにかしらの罰を受けなければならない。
九尾は、人間が好きで、人間世界が好き。
罰を受けたくない気持ちもあるが、人間が自分の管理不足のせいで被害に遭う光景を見たくはないと、強く思っていた。
「…………猫又の気配が強いな。何を企んでおるんじゃ……。まぁ、悪いことをすればすぐに分かるか」
少しでもあやかしが悪い気を起こそうとすれば流れてくる空気と、特有の気配でわかる。
今までも、その度に出向き、言い聞かせて来た。
言葉で通じない者は、力でひれ伏すなども行ってきた。
今回も、いつも通りに行うつもり。だが、数が多すぎるのが難点。
そこで、九尾はある人物が二人、頭に浮かび名前を呟いた。
「来い、百目、鴉天狗」
「「ハッ!!」」
百目は、現代で働いているあやかし。
今は人間に擬態しており、見た目だけでは直ぐにあやかしだと分からない。
黒い髪で顔の右半分を隠している。
服は、黒いスーツを着用。革靴を履いており、どこにでもいるサラリーマンのような見た目をしていた。
鴉天狗は、人間に見られないように森で生活している。
こちらも、黒い髪に黒を基調とした山伏装束を身につけている。
くちばし、鋭い眼光を放っている黒い瞳。
背中には黒い翼が広がり、片手には錫杖が握られていた。
「いきなり呼んで悪いな。今、人間世界に猫又が大量にいるのは気づいておるか?」
「はい。人間を運んでいる際に何度か見かけております」
「鴉天狗は?」
「私も気づいております。ですが、そこまで気にするほどではないかと思っておりましたが?」
鴉天狗の言う通り、そこまで気にしなくても問題はない。
だが、九尾にとって今の猫又の動きは予想ができず、警戒を高めるしか出来ない。
「確かに、今は気にせんでも良い。いつもより多少、警戒を高めてくれと言うことだ」
「理由は?」
「直感だ」
「了解いたしました」
理由を聞いた鴉天狗は納得できておらず、眉間に深い皺を寄せた。
了解したと言う百目は、隣で頷かない鴉天狗の腰を突く。
「…………了解しました」
「我慢させて悪いな、鴉天狗。だが、今だけは耐えてくれ。あやかしが人間世界で暴れてしまえば。こちらの立場がなくなってしまうんじゃよ」
「わかっております」
まだ、納得していないような鴉天狗だが、長の命令は絶対。渋々頷いた。
眉を下げ、九尾は再度「すまぬな」と謝り、解散させた。
「次は、猫花家の動きでも確認するかのぉ」
呟いた直後に、九尾は風に乗るように姿を消した。
※
人間世界の神、チガヤは普段、人間の世界を優雅に過ごしていた。
繁華街のお店を見て回ったり、仕事をしているサラリーマンをビルの窓から覗き込んだり。
他にも、食べ物を食べ、子供と遊び、人間世界を満喫していた。
今も公園のベンチに座り、走り回っている子供を眺めていた。
「…………おや?」
そんな時、人間の子供の中に一人、あやかしの子供が紛れ込んでいることに気づいた。
見た目は、普通の女の子。
茶色の髪に黄色の瞳。赤いワンピースを着て、人間の子供と遊んでいた。
普通に見れば、あやかしだろうと人間だろうと楽しいのなら良し。
どちらも、悪い事をしなければという思いなので、チガヤは気づかないふりをする。
だが、目ではどうしても追ってしまう。
なんのあやかしだろうか、姿を見せないように気をつけなさいねぇ~と考えながらボぉ~としていると、一人の女性が子供に駆け寄った。
あやかしの子供の母親らしく、汚れてしまった赤いワンピースをハンカチで払い、また、すぐに人間の子供と合流させた。
しっかりと人間世界に溶け込んでいるなと、チガヤは感心した。
笑みを浮かべその母親を見ていると、なぜか彼女が振り返った。
――――ゾクッ
チガヤの身体に戦慄が走る。
女性の目は、子供と同じ黄色。だが、その目は冷たく、鋭い。
向けられた者は、その視線だけで殺されてしまう。
それほどまでの殺意に、チガヤは驚愕。だが、慌てる事はせず、その場から動かない。
少しの間、見られていたかと思うと、すぐに子供へと視線を戻した。
息すら吐けなかったチガヤは、女性に気づかれないようにゆっくりと止めていた息を吸い、吐いた。
――――まさか、あんな視線を私に向けて来るなんて、何を考えているのでしょう、あのあやかしは……。
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