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両親の出会い
13-8
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「あやかしの長をのぉ。なぜじゃ?」
「うふふ。それを貴方が聞くのね」
予想内だったらしく、雫はクスクスと笑いながら答えた。
「あやかしの長、つまり、世界を統べる者。長の地位に立つことが出来れば、あやかし達を手のひらの上で操れるではありませんか。そのような力が、今、目の前にあるのですよ? 譲っていただく以外に何かあります?」
当たり前だろと言うように、雫は言い切った。
もう限界だというように鴉天狗が九尾を押し抜け、前に出た。
「もう、良い。貴様は今、ここで葬り去る」
言うと同時に、鴉天狗は錫杖を振り上げた。
「あらあら、やっぱり、素直に譲っては頂けないのですね」
「馬鹿言うな。そう簡単に譲れるものじゃないわい」
九尾の代わりに鴉天狗が答える。
眉間に深い皺をよせ、殺気を放った。
一瞬、雫の表情が固くなる。だが、すぐに笑みを張り付け、睨みつけた。
「まぁ、いいわ。譲らなかったこと、必ず後悔させてあげるから」
ニヤリと口角を上げた瞬間、雫は猫へと姿を変え、森の中を駆けだした。
「待て!!」
「待つのは貴様だ、鴉天狗」
九尾が今にも走りだそうとした鴉天狗を止めた。
「な、なぜ止めるのですか?」
「今は、他の方をどうにかせんといかん。以前から気になる視線を感じておるからな」
烏天狗が首を傾げていると、突如。九尾は姿を消した。
一回、瞬きをすると、またしても九尾は鴉天狗の前に戻る。
その腕には、一人の女性が驚愕の表情を浮かべ、脇に抱えられていた。
「そ、その女性は?」
「ずっとワシを監視しておった女だ。おそらく、種族は雪女」
二人が話している間でも抱えられている女性、雪女は瞬きをしながら今の状況把握に徹する。
だが、目の前に九尾が現れた瞬間だき抱えられ、今の状況になっただけなため、把握も何も無い。
「雪女……。なぜ、九尾様を監視していたのでしょうか」
「さぁな、知らんが………」
腕に抱えている雪女を見下ろすと、藍色の瞳と目が合った。
闇がかかっているような瞳に、怯えているような表情。
髪はボサボサで清潔感がないが、よく見ると肌には艶があり、目はパッチリ二重。綺麗な眉は今、不安そうに下げられている。
九尾は、雪女と目を合わせると、いきなり何も言わなくなってしまった。
時が止まったような彼に、隣に立っていた鴉天狗は首を傾げ「九尾様?」と、名前を呼ぶ。だが、反応は無い。
「九尾様?? 九尾様ー、いかがいたしましたか?」
何度名前を呼んでも、九尾に反応はない。
雪女はどうすればいいのかわからず、鴉天狗と同じように「九尾様?」と、小声で名前を呼んだ。
「――――かわいらしい」
「…………九尾、様?」
呟いた言葉に困惑。鴉天狗は九尾の顔を覗き込んだ。
だが、そんな鴉天狗を押しのけ、九尾は興奮したように雪女を両手で抱えた。
「キャッ!!」
「九尾様!?」
何が起きたのかわからない二人を気にせず、九尾は興奮したように頬を赤らめ興奮していた。
「可愛らしい雪女だ! 愛らしい瞳、小柄な体、透明で鈴のような美しい声。このような女性が存在していたのか! ワシは感動したぞ鴉天狗よ!」
何を言われているのか理解できない雪女は、思わずポカンと、口を開く。
鴉天狗も「はぁい?」と、抜けた声が出てしまった。
「き、九尾様! 落ち着いてください! 九尾様!」
「決めたぞ、鴉天狗!」
まるで、周りの声など聞こえていない九尾は、雪女から目を離し鴉天狗へと振り向いた。
「ワシ、こやつを嫁にもらうぞ!」
九尾から放たれた言葉に、この場にいる二人は思わず目を合わせ、顔を真っ青にした。
「「えぇぇぇえぇえええええええ!?!?」」
※
「初めまして。知っての通り、私は雪女です」
「ふむ! 雪女、ぬしはなぜワシを監視していたんだ?」
鴉天狗に無理やり雪女と引きはがされ、不機嫌ではあるが話を進めるべく、三人は九尾の屋敷まで戻った。
九尾の部屋に案内し、お互い顔を見合せ座る。
同じ部屋には、鴉天狗と百々目鬼がいる。壁の端に二人は隣同士で座り、二人の会話に耳を傾けていた。
「鴉天狗さん、あの者は一体どなたでしょう? どのような関係で?」
「九尾様をいつも監視していた雪女らしい。気配を消すのが得意らしく、我らが気づかないうちに入り込まれていたらしいぞ」
「それを、九尾様は知っていて、わざと無視していたのですか?」
「らしいぞ」
鴉天狗の言葉に、百々目鬼は困惑の表情を浮かべた。
鴉天狗もその話を聞いた時、頭を抱え深いため息を吐いていた。
そんな二人の様子など気にせず、九尾は雪女と話を進めた。
「言えないらしいな。だが、予想はついておる、隠すだけ無駄だと思うぞ?」
さっきまで鼻の下を伸ばしデレデレだった九尾だが、今はキリッとした表情を浮かべ、腕を組み問いただしていた。
雪女は、九尾の豹変に驚きつつも、どうやってこの場を切り抜けるか頭を働かせる。
正座し、膝の上に乗せている拳を握り、微かに震わせた。
顔を俯かせ、唇を噛んだ。
「…………雫に命令されたんじゃろう?」
聞くと、雪女の肩が大きく震えた。
当たりか、と呟き、九尾はどうやって話を進めようか頭の中で構成を組む。
「――――ぬしに、二つの選択肢をやろう」
「選択肢、ですか?」
「あぁ」
右の人差し指と中指を立て、九尾は伝える。
壁側で話を聞いていた百々目鬼と鴉天狗は、何やら嫌な予感が走り、顔を青ざめさせた。
「一つ、このまま雫の元に帰り、今までと変わらぬ生活を送る」
「…………」
雪女は、今の生活を送ると聞いて、一度上げた顔を再度下げてしまった。
「二つ目、ワシの嫁となり、ここで暮す」
「っ、え、それって…………」
流石に驚き、下げた顔を上げてしまった。
藍色の瞳を見開き、九尾を見る。
壁側にいる百々目鬼と鴉天狗は、深い深いため息を吐いた。
「うふふ。それを貴方が聞くのね」
予想内だったらしく、雫はクスクスと笑いながら答えた。
「あやかしの長、つまり、世界を統べる者。長の地位に立つことが出来れば、あやかし達を手のひらの上で操れるではありませんか。そのような力が、今、目の前にあるのですよ? 譲っていただく以外に何かあります?」
当たり前だろと言うように、雫は言い切った。
もう限界だというように鴉天狗が九尾を押し抜け、前に出た。
「もう、良い。貴様は今、ここで葬り去る」
言うと同時に、鴉天狗は錫杖を振り上げた。
「あらあら、やっぱり、素直に譲っては頂けないのですね」
「馬鹿言うな。そう簡単に譲れるものじゃないわい」
九尾の代わりに鴉天狗が答える。
眉間に深い皺をよせ、殺気を放った。
一瞬、雫の表情が固くなる。だが、すぐに笑みを張り付け、睨みつけた。
「まぁ、いいわ。譲らなかったこと、必ず後悔させてあげるから」
ニヤリと口角を上げた瞬間、雫は猫へと姿を変え、森の中を駆けだした。
「待て!!」
「待つのは貴様だ、鴉天狗」
九尾が今にも走りだそうとした鴉天狗を止めた。
「な、なぜ止めるのですか?」
「今は、他の方をどうにかせんといかん。以前から気になる視線を感じておるからな」
烏天狗が首を傾げていると、突如。九尾は姿を消した。
一回、瞬きをすると、またしても九尾は鴉天狗の前に戻る。
その腕には、一人の女性が驚愕の表情を浮かべ、脇に抱えられていた。
「そ、その女性は?」
「ずっとワシを監視しておった女だ。おそらく、種族は雪女」
二人が話している間でも抱えられている女性、雪女は瞬きをしながら今の状況把握に徹する。
だが、目の前に九尾が現れた瞬間だき抱えられ、今の状況になっただけなため、把握も何も無い。
「雪女……。なぜ、九尾様を監視していたのでしょうか」
「さぁな、知らんが………」
腕に抱えている雪女を見下ろすと、藍色の瞳と目が合った。
闇がかかっているような瞳に、怯えているような表情。
髪はボサボサで清潔感がないが、よく見ると肌には艶があり、目はパッチリ二重。綺麗な眉は今、不安そうに下げられている。
九尾は、雪女と目を合わせると、いきなり何も言わなくなってしまった。
時が止まったような彼に、隣に立っていた鴉天狗は首を傾げ「九尾様?」と、名前を呼ぶ。だが、反応は無い。
「九尾様?? 九尾様ー、いかがいたしましたか?」
何度名前を呼んでも、九尾に反応はない。
雪女はどうすればいいのかわからず、鴉天狗と同じように「九尾様?」と、小声で名前を呼んだ。
「――――かわいらしい」
「…………九尾、様?」
呟いた言葉に困惑。鴉天狗は九尾の顔を覗き込んだ。
だが、そんな鴉天狗を押しのけ、九尾は興奮したように雪女を両手で抱えた。
「キャッ!!」
「九尾様!?」
何が起きたのかわからない二人を気にせず、九尾は興奮したように頬を赤らめ興奮していた。
「可愛らしい雪女だ! 愛らしい瞳、小柄な体、透明で鈴のような美しい声。このような女性が存在していたのか! ワシは感動したぞ鴉天狗よ!」
何を言われているのか理解できない雪女は、思わずポカンと、口を開く。
鴉天狗も「はぁい?」と、抜けた声が出てしまった。
「き、九尾様! 落ち着いてください! 九尾様!」
「決めたぞ、鴉天狗!」
まるで、周りの声など聞こえていない九尾は、雪女から目を離し鴉天狗へと振り向いた。
「ワシ、こやつを嫁にもらうぞ!」
九尾から放たれた言葉に、この場にいる二人は思わず目を合わせ、顔を真っ青にした。
「「えぇぇぇえぇえええええええ!?!?」」
※
「初めまして。知っての通り、私は雪女です」
「ふむ! 雪女、ぬしはなぜワシを監視していたんだ?」
鴉天狗に無理やり雪女と引きはがされ、不機嫌ではあるが話を進めるべく、三人は九尾の屋敷まで戻った。
九尾の部屋に案内し、お互い顔を見合せ座る。
同じ部屋には、鴉天狗と百々目鬼がいる。壁の端に二人は隣同士で座り、二人の会話に耳を傾けていた。
「鴉天狗さん、あの者は一体どなたでしょう? どのような関係で?」
「九尾様をいつも監視していた雪女らしい。気配を消すのが得意らしく、我らが気づかないうちに入り込まれていたらしいぞ」
「それを、九尾様は知っていて、わざと無視していたのですか?」
「らしいぞ」
鴉天狗の言葉に、百々目鬼は困惑の表情を浮かべた。
鴉天狗もその話を聞いた時、頭を抱え深いため息を吐いていた。
そんな二人の様子など気にせず、九尾は雪女と話を進めた。
「言えないらしいな。だが、予想はついておる、隠すだけ無駄だと思うぞ?」
さっきまで鼻の下を伸ばしデレデレだった九尾だが、今はキリッとした表情を浮かべ、腕を組み問いただしていた。
雪女は、九尾の豹変に驚きつつも、どうやってこの場を切り抜けるか頭を働かせる。
正座し、膝の上に乗せている拳を握り、微かに震わせた。
顔を俯かせ、唇を噛んだ。
「…………雫に命令されたんじゃろう?」
聞くと、雪女の肩が大きく震えた。
当たりか、と呟き、九尾はどうやって話を進めようか頭の中で構成を組む。
「――――ぬしに、二つの選択肢をやろう」
「選択肢、ですか?」
「あぁ」
右の人差し指と中指を立て、九尾は伝える。
壁側で話を聞いていた百々目鬼と鴉天狗は、何やら嫌な予感が走り、顔を青ざめさせた。
「一つ、このまま雫の元に帰り、今までと変わらぬ生活を送る」
「…………」
雪女は、今の生活を送ると聞いて、一度上げた顔を再度下げてしまった。
「二つ目、ワシの嫁となり、ここで暮す」
「っ、え、それって…………」
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