王道学園のモブ

四季織

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第3話 狸とイケメンとランチと

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 昨日は有意義な日だった。

 まさか、雲の上だと思ってた攻略対象者と会えるとは。
 しかも、斎木先輩は意外に話しやすくて、いい人だった。

 確か。
 斎木先輩が寡黙な理由は、無表情に見えて、照れ屋で人と話すのが苦手なだけなんだ。
 親しくなれば、よく話すし笑うのが分かるんだけど。


 それを引き出すのが、主人公である王道転校生なんだ。

 主人公は理事長の甥で、モジャモジャ頭に瓶底眼鏡、実は、カツラと眼鏡を取ったら超美少年っていう典型的な転校生だ。
 攻略対象者達は、破天荒で素直で屈託のない彼に、次第に惹かれていく。


 先輩も、いずれ、そうなるんだろうな。

 王道転校生が、転校してくるのは5月のGW後。
 あと少しだ。



□□□□



 俺は今、狸とイケメンを愛でている。

 あれから、毎日、斎木先輩に誘われて、裏の藪に来るようになった。
 狸は先輩には懐いてるようで、ひょこっと顔を見せるのがめっちゃ可愛い。

 でも、俺のことは警戒してるから、俺は離れた木の影から覗いている。
 傍から見たら、完全に先輩のストーカーだよね。


 それから、斎木先輩と昼ご飯を食べるまでが、昼のルーティンになった。
 先輩は校内の静かな場所をよく知っていて、校舎裏のベンチで横に並んで座っている。


「すっごいお弁当ですね、どうしたんですか?」
「寮の食堂で頼めば作ってくれる」

 というから、食堂で先輩と同じ懐石弁当を頼んでみたら、生徒会役員だけの特権だと言われた。

 そうだった。
 生徒会や各委員会の長になると、他にも特典がいっぱいあったんだっけ。
 寮の個室が与えられたり、学食も別の階のフロアで、給仕付きの特別メニューが用意されたり。

 まあ、主人公とめくるめく夜を過ごすのに、同室者がいたら邪魔だしね。
 3Pするんなら別だけど。


 懐石弁当を断られた話をしたら、斎木先輩は、俺に弁当を分けてくれるようになった。
 だから、俺も購買で買った惣菜パンを、先輩と半分こしている。
 まるごと一個差し上げますって言ったけど、友達と半分こしたことないって言うから。

 さすが、金持ちっていうか。浮世離れしてるなぁ。


 俺のお気に入りの焼きそばパンを、先輩の口に持っていって食べさせる。
 先輩は、弁当と箸を持ってて、手が開かないから。

 俺は不器用だから、パンを半分に割ろうとしたらボロボロにしてしまって。
 思わず、あーんって先輩の口に持っていったんだ。
 最初、先輩はすごくビックリしてたけど、それ以降、ずっと先輩に食べさせる格好になっている。

 先輩が齧ったあと、俺が頂く。

「か、間接キス、嫌ですよね。すみません」

 俺が照れたら、何故か、口を手で覆って仰向いたあと、「大丈夫」って、それはそれは綺麗な笑顔で微笑まれた。

 うっかり見惚れてしまった。
 イケメンの笑顔、恐るべし。




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