王道学園のモブ

四季織

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第4話 先輩の剣道は

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「8月に大会があるんですか?」
「俺、今年限りだから、試合見に来てくれるか?」
「引退されるんですか?」
「剣道は、高校までの約束だから」

 先輩は、斎木電機って大きな会社の跡取り息子だ。
 海外にも支店があるんじゃなかったかな。
 大学では経営学を学んで、留学も決まってるんだって。大企業の跡取りは違うな。


「俺の家も、父親が会社してますけど、跡は姉が継ぐんで、気楽なもんです」
「何の会社をされてるんだ?」
「警備会社です。ほぼ身内だけのちっちゃい会社です」

 俺の家は、祖父ちゃんが柔道場をやってて、家族全員が武道を嗜んでいる。
 俺も姉ちゃんも小さい頃から柔道をしてたのに、俺は中学で脱落して、姉ちゃんはオリンピック強化選手の候補に選ばれるまでになっている。落ちたけど。


「祖父ちゃんが、武道は、普段の生活や仕事にも良い影響を与えるって言ってました」

 続けられないんですかね? と俺は無責任にも言ってしまった。
 だって、辞めるって言った先輩の顔が、ひどく寂しそうだったんだ。


「先輩、剣道すごく好きですよね?」
「どうして?」
「姿勢も立ち居振る舞いも、いつも綺麗で、すごく練習してきた人の体だなぁって。すみません、偉そうに」


 斎木先輩は、ぼんやりと俺を見て、俺の頭に手を触れた。

 あれ? 俺、撫でられてる?

 至近距離で、あの整った顔で柔らかく笑うから、ちょっとドキッとした。


「小坂は、どうして辞めたんだ」
「あーっと。俺は……体力がなくて。痕付きやすいし、皮膚弱いのか」

 ちょっとぶつかっただけで痕になるから、襟を持たれるたびに、胸や首周りに鬱血痕ができるんだ。
 そう言うと、斎木先輩は、ちょっと咳払いして目を反らした。


「あっ、すみません!」

 話してたら、先輩のペットボトルの水を零してしまった。
 持ってたハンドタオルで先輩の制服を拭く。

「お、小坂、いいから」
「駄目です、風邪引いたら」

 こんなとこも濡れちゃった。
 ポンポンと叩くように拭く。

「小坂! いいから!」

 先輩に手を抑えられた。

 あ。
 先輩の局部でした、すみません。

 軽くだったけど、痛かったのかな。
 少し膨らんでたよーな? 誤作動?


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