王道学園のモブ

四季織

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第6話 チワワの中に雑種の俺

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 俺は今、斎木先輩の部活を見に来ています。
 約束したからね。

 でも、道場は部外者立入禁止だから、親衛隊や先輩のファン、俗称チワワ達は、外から柵越しに歓声をあげてる。

 なんで、チワワかって思ったら、小さくて可愛い外見とキャンキャン甲高い声からだって。
 納得。
 
 このチワワの群れにいると、自分の雑種感がすごいな。
 俺もそう背が高い方じゃないのに、チワワ達は俺より頭一つ小さい。
 でも、顔は、美少女かってくらい思いっきり可愛いんだけどね。

 よくこの歓声の中、練習出来るなって思ったけど、慣れてんだろうな。
 むしろ、精神集中って意味でいい鍛錬なのかも。


 剣道部から離れた柵から、先輩の姿を追う。
 柔道家の祖父ちゃん直伝のスポドリ持ってきたんだけど、渡せそうにないな。
 昼ご飯のときに渡せばよかったか。


「たける? 来てくれたのか!」

 中から声が掛かった。俺にだ。

 広い道場は、柔道部と剣道部、二つの部が使っている。
 声は、柔道部の方からだった。


「翔吾……」

 俺の幼馴染みで、柔道部へのスポーツ推薦入学を果たしたゴリラ、もとい、須賀翔吾だ。

 ちなみに、こいつも攻略対象者だったりする。
 1年の後半で風紀委員長に大抜擢されて、主人公とめくるめく愛を育むんだ。
 ゴリラのくせに。

「お前、返事寄こせよ! 未読スルーって何気に心にくるんだからな」
「毎晩だとうざいんだよ」
「未読認めたな? 寮、離れたから寂しいんだってぇ、毎晩一緒に寝てただろぉ!」

「毎晩? 一緒に寝ていた?」

 重低音に、辺りが、シンッと静まり返った。
 翔吾の向こうに、斎木先輩が立っていた。



「ふぅん、幼馴染みね」
「はい、俺の祖父ちゃんの道場に、一緒に通ってて」


 斎木先輩が「休憩」と一言言うと、剣道部主将が慌てて、休憩を申し渡す。
 今の斎木先輩には有無を言わせない迫力があって、チワワ達も黙ってる。

 俺と翔吾は、斎木先輩に促されて、部室の向こうの木陰に来ていた。

 それにしても。
 面と防具を外して、手拭いと道着の少し汗ばんだ斎木先輩は、すごく色っぽいな!
 男なら、一度は剣と道着に憧れるよね。


「なんで、一緒に寝てるんだ」
「ああ、それは」

 翔吾が小学校のとき、両親を事故で亡くして、以来、俺の家で一緒に暮らしてるからだった。


 これが、翔吾の抱えた闇だ。
 ゲームでは、親戚にも引き取られず、施設に入ることになる。
 何故か、現世では、俺の家が引き取ってるけど。


「俺ん家、狭いんで、余計な部屋ないんです。俺の部屋に布団敷いて寝てて」

 て、言っても、先輩はピンと来ないだろう。
 世界に羽ばたく斎木電機の社長宅だから、大邸宅に違いない。

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