エイリアンチートで新人類に進化した俺は、異星文明で現代地球を開拓して南朝復活をめざします

大沢 雅紀

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エストラント号侵入

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少し前 ブラックナイト
「生徒たちが部屋から出たよ」
サタンの言葉に、勇人はうなずく。コントロール室の空間に立体映像が投影されており、生徒たちの動きが手に取るようにわかった。
「予定通りだな。食料はどれくらい残っている?」
「うーん。倉庫の保存食を除いて、あと数日といったところかな」
それを聞いて、勇人はにやりと笑った。
「なら、奴らにはサバイバルを楽しんでもらうとするか。すでに船の電気系統は俺の支配下にある。いわば、俺の腹の中に奴らはいるようなものだからな」
冷蔵庫の温度を上げて生鮮食品を腐らせたのは、勇人の仕業である。生徒たちを追い詰める準備は着々と整いつつあった。
「君は、彼らを皆殺しにするつもり?」
サタンの問いかけに、勇人は首を振った。
「そのつもりなら船を沈没させて、とっくに殺している。だけど、俺はお前たちの知識を通じて、生命と魂の仕組みを知った。生と死の意味もな」
宇宙の神秘の一端に触れた勇人は、遠い目をする。
「奴らを殺したって楽にするだけだ。せいぜい生かして永く苦しめないとな」
そういうと、勇人は邪悪に笑った。
「うわ……陰険」
「俺は大したことはしないさ。ただ奴らには人間の醜さというものをたっぷり世間に晒してもらおう。さて、そろそろ船に行くか。『雷速移動』」
高笑いすると、勇人は自らの体を電気体に変換する。ブラックライトから放たれた雷が、エストラント号に落ちるのだった。

「ううーん」
薄暗い船底近くの船室で、勇人の意識が戻る。目の前には、心配そうに見守る姫子たちがいた。
「よかった!目が覚めたんですね!」
姫子が嬉しそうに抱き着いてくる。
「心配したにゃ」
「……生きていてくれてよかった」
美亜と玲も、勇人が無事であることにほっとしていた。
「え??ここは?」
勇人が訳の分からないといった顔をすると、姫子たちは今の状況を説明した。
「そうか……俺は助かったんだな」
そう漏らすと、姫子をはじめとする生徒たちは一斉に頭を下げた。
「あの……本当にごめんなさい」
「ごめんにゃ。止めないといけなかったのに……うちも怖くて足がすくんで……」
「……許して」
口々に謝罪する彼女たちに、勇人は柔らかい笑みを向けた。
「いいさ。奴らは本当にタチが悪いからな。集団でよってたかって上から目線で責め立てて、さらに自分たちの方が正しいと思っている奴らだ。逆らったら君たちもひどい目にあっただろう」
その言葉に、下位カーストの生徒たちはうなずき返す。
「でも、さすがに勇人君を船から突き落とすなんてやりすぎです。学園に戻ったら、ちゃんと先生に訴えます」
覚悟を決めた顔になる姫子に、勇人は首を振った。
「いや、教師が俺に掃除を押し付けたことからもわかるように、学園も南方家、つまりその後継者である桐人に忖度している。君たちが何を言ったって、取り合ってもらえないだろう」
「そんな……それじゃあ、どうすればいいにゃ?」
「……私たちはずっとあんな奴らの言うことを聞かないといけないの?」
泣きそうになる美亜と玲。
「とりあえず、俺が助かったことは黙っていてくれ。俺に考えがある。この航海で、奴らの本質を暴くことができたら、きっと桐人を南方家の後継者の座から追放することができるはずだ」
勇人は自信をもってそう告げるのだった。

「勇人さん、ついていなくて大丈夫ですか?」
姫子が心配そうに聞いてくる。
「大丈夫だ。君たちは桐人一派がどんな行動を起こすか俺に伝えてくれ」
「わかったわ」
生徒たちは部屋を出て、上層階に向かうのだった。
「マスターは、彼らをどうなされるのですか?」
彼らがいなくなったあと、部屋の空中に馬の頭をしたチェスの駒の立体映像が現れた。
これはナイトといって、ブラックナイトをコントロールするコンピューターの分身である。サタンが勇人をサポートするために着けたプログラムだった。
「下位カーストの生徒たちには、この一大スベクタルパニックホラー映画の出演者兼証人になってもらう」
「よろしいのですか?彼らにもマスターを見捨てた罪があると思うのですが」
ナイトの言葉に、勇人は苦笑して首を振った。
「俺は誰彼かまわず復讐するような狂人じゃない。彼らへの罰は三日間の幽閉で終わっている。あとは、せいぜい俺の味方として、桐人たちのグループに敵対してもらうさ」
そうつぶやくと、勇人は意識を集中させて生徒たちの動きをさぐる。
下位カーストの生徒たちは、食堂で桐人たちと合流して、情報交換していた。
「どうやら、俺のことは黙っていてくれるみたいだな」
船内に設置された監視カメラを通じて、生徒たちの会話まで手に取るようにわかる
「よし。それじゃ始めるか。ふふふ、極限状態に陥った時、あいつらがどんなに醜い行動をするか、楽しみだ」
勇人に制御された電気エネルギーが、船全体を包み込み、舞台を整えるのだった。

「そうか。下層階には燃えた跡がなかったのか。つまり船員たちはありもしない火災にびびって僕たちを見捨てて逃げ出したってわけだな」
食堂で姫子から報告を聞いた桐人は、不愉快そうに吐き捨てる。
「私たちはこれからどうすれば……」
不安そうな顔になる姫子に、桐人は軽蔑の視線を向ける。
「ふん。役立たずの君たちとちがって、僕たちは逃げ遅れた船員を捕らえている。奴に任せれば、いずれここから脱出する方法を考えてくれるだろう」
それを聞いて、下位カーストの生徒たちも少し安心した表情になった。
「それまで、僕たちは船で過ごさないといけないわけだけど、秩序は保たないとな。というわけで、食料は全部僕たちが管理することにする」
一方的に宣言すると、残った缶詰を上位カーストの生徒たちに命じて確保させる。
「ちょっと待ってにゃ。そんなの横暴にゃ!」
文句を言いかけた美亜に、史郎たちが銃のようなものを向ける。
「……暴徒鎮圧用のテーザーガン。危ない」
怯える玲に、史郎は嗜虐心をそそられる。
「はっ。恰好いいだろう。操舵室で見つけたんだ」
言い終えるとともに引き金を引く。銃から電線が付いた針が発射され、標的となった生徒たちに刺さる。電線を伝わって激しい電流が流れ、激しいショックを与えた。
「い、いたい……体がしびれる」
うめき声をあげる下位カーストの生徒たちに、桐人は残酷に告げる。
「残念だけどこれは必要なことなんだ。おとなしく僕たちに従ってくれ」
「そうよ。あんたたちは役立たずなんだから、引っ込んでなさい」
美幸をはじめとする上位カーストの女子組も、そう言って下位カースト生徒たちを突き放した。
「そんな!私たちはどうすれば?」
「おとなしく従っていれば、少しは分けてやる。せいぜい僕たちの役に立てるように頑張るんだな」
こうして、姫子たち下位カーストは下層階に押し込められてしまうのだった。
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