3 / 72
第一章:あの日、再び
消えていく1日の始まり
しおりを挟む
真っ赤な鳥が、消えていく。手を伸ばしても、届かなくて…。
ーーー【黒の再来】当日の朝ーーー
「ヨウは、ほんっとに諦めないのなぁ。」
ぼんやりと覚醒していく頭に、聞き慣れた声が染み渡っていく。
…と同時に、状況を理解して
「くそっ、またかよ!」
”いつものように”アオ兄に膝枕されている自分が情けなくなって、ガバッと身を起こした。
「もう少し寝ててもいいんだぞぉ?」
つい今まで、俺の頭を撫でていたらしい手の親指を”グッ”と立てながら。
俺の兄”アオバ・オリーヴァー”は、笑顔で提案してきた。
「もう大丈夫だよ…。」
俺はやんわりと断って立ち上がる。
ここは俺たちの家のすぐ横、小さな庭の中心に生えた、一本の大きな木の根元で。
ここで、毎日の日課である朝の特訓に励んでいた俺”ヨウ・オリーヴァー”は、”また”気絶してしまったらしい。
そんな俺を(これまた最近は日課になりつつあるが…)アオ兄が、介抱してくれていたようだ。
「ありがと。…今日も俺が倒れるとこ、見てた?」
「もち!今日はいつもより早かったなぁ。」
弟の特訓を覗き見していることについては、特に悪びれる様子もなく。ニコニコと嫌味のない笑顔で返事をされた。
…街の女の子達なら喜ぶ笑顔も…今の俺には、その整った顔立ちすら恨めしい。
「あ!ヨウったらまたその顔!さては怒ってる~?」
つい顔に出ていたのだろうか。アオ兄は相変わらずの笑顔で弁解する。
「毎日見ちゃうのも、可愛い弟を心配してこそ!だからさぁ~。そんなに怒っちゃイヤ~よ?」
「…はいはい、怒ってない怒ってない。
…最近は、やり過ぎなのかな。ほんとよく寝ちゃうし。介抱自体は…助かるよ。」
正直覗かれるのは不本意だが…。
まぁ、特訓が実を結ばない苛立ちを、アオ兄にぶつけても仕方がないか。
「ほら、寝ちゃうのも、”チカラ”が目覚める前兆、かもしれないしさ。気長に頑張れよ~。
…あ!前兆って言っても…。俺は、特訓で寝たことなんて、一度もないけどねっ。」
いたずらっ子のようにウィンクされ…やっぱり腹が立ってきた。
「ったく、どうせ見るならアドバイスしてよ!
…いや、やっぱいい。アオ兄に頼らなくても、今にアオ兄より凄い”発現者”になるから!」
そう言って、アオ兄には目を向けず、庭から玄関へ足早に歩き出す。
…ちょっと冷たすぎたかな、と後ろを振り返る。
「さっすが俺の弟!頼もしいねぇ~。」
目があったアオ兄は、爽やかな笑顔のまますぐに俺に追いつき。容赦なく頭をくしゃくしゃに撫でてきた。
「ちょ、ちょっとっ!」
アオ兄のサラサラな黒髪と違い、俺の髪は同じ黒でも微妙に癖のある猫っ毛なのに!
「ヘンなっ、あとがっ、付くだろ!」何とかしてその手から逃れる。
「昔はよく『頭なでて~。』っておねだりしてきたのにぃ。兄ちゃんさみし~。
あっ!まさか照れてる?ヨウも、もうそういうお年頃か~。」
ウンウンと、勝手な解釈に納得した様子で話を続ける。
「最近”俺”なんて使うようになったしなぁ。
うん!今後のヨウは、”かっこいい路線”ってやつなのね!」
ずっと嬉しそうに頷きやがって…。
歳は4つしか離れてないのに、頭1つ分以上もある身長差も、今になって何だか悔しくなってきた。
アオ兄…にこやかだけど、ぜっったい俺のことバカにしてる。間違いない。
「子ども扱いするなって!もうっ…着替えてくる!」
くしゃくしゃにされた髪の毛を整えながら
(今後はこの能天気な兄でも分かるよう、もっとキツめに言ってやる…!)
そう、心に決め。
きっとまだ笑っているだろうアオ兄の顔は見ないまま、奥にある自分の部屋に向かった。
ーーー【黒の再来】まで、あと10時間36分ーーー
ーーー【黒の再来】当日の朝ーーー
「ヨウは、ほんっとに諦めないのなぁ。」
ぼんやりと覚醒していく頭に、聞き慣れた声が染み渡っていく。
…と同時に、状況を理解して
「くそっ、またかよ!」
”いつものように”アオ兄に膝枕されている自分が情けなくなって、ガバッと身を起こした。
「もう少し寝ててもいいんだぞぉ?」
つい今まで、俺の頭を撫でていたらしい手の親指を”グッ”と立てながら。
俺の兄”アオバ・オリーヴァー”は、笑顔で提案してきた。
「もう大丈夫だよ…。」
俺はやんわりと断って立ち上がる。
ここは俺たちの家のすぐ横、小さな庭の中心に生えた、一本の大きな木の根元で。
ここで、毎日の日課である朝の特訓に励んでいた俺”ヨウ・オリーヴァー”は、”また”気絶してしまったらしい。
そんな俺を(これまた最近は日課になりつつあるが…)アオ兄が、介抱してくれていたようだ。
「ありがと。…今日も俺が倒れるとこ、見てた?」
「もち!今日はいつもより早かったなぁ。」
弟の特訓を覗き見していることについては、特に悪びれる様子もなく。ニコニコと嫌味のない笑顔で返事をされた。
…街の女の子達なら喜ぶ笑顔も…今の俺には、その整った顔立ちすら恨めしい。
「あ!ヨウったらまたその顔!さては怒ってる~?」
つい顔に出ていたのだろうか。アオ兄は相変わらずの笑顔で弁解する。
「毎日見ちゃうのも、可愛い弟を心配してこそ!だからさぁ~。そんなに怒っちゃイヤ~よ?」
「…はいはい、怒ってない怒ってない。
…最近は、やり過ぎなのかな。ほんとよく寝ちゃうし。介抱自体は…助かるよ。」
正直覗かれるのは不本意だが…。
まぁ、特訓が実を結ばない苛立ちを、アオ兄にぶつけても仕方がないか。
「ほら、寝ちゃうのも、”チカラ”が目覚める前兆、かもしれないしさ。気長に頑張れよ~。
…あ!前兆って言っても…。俺は、特訓で寝たことなんて、一度もないけどねっ。」
いたずらっ子のようにウィンクされ…やっぱり腹が立ってきた。
「ったく、どうせ見るならアドバイスしてよ!
…いや、やっぱいい。アオ兄に頼らなくても、今にアオ兄より凄い”発現者”になるから!」
そう言って、アオ兄には目を向けず、庭から玄関へ足早に歩き出す。
…ちょっと冷たすぎたかな、と後ろを振り返る。
「さっすが俺の弟!頼もしいねぇ~。」
目があったアオ兄は、爽やかな笑顔のまますぐに俺に追いつき。容赦なく頭をくしゃくしゃに撫でてきた。
「ちょ、ちょっとっ!」
アオ兄のサラサラな黒髪と違い、俺の髪は同じ黒でも微妙に癖のある猫っ毛なのに!
「ヘンなっ、あとがっ、付くだろ!」何とかしてその手から逃れる。
「昔はよく『頭なでて~。』っておねだりしてきたのにぃ。兄ちゃんさみし~。
あっ!まさか照れてる?ヨウも、もうそういうお年頃か~。」
ウンウンと、勝手な解釈に納得した様子で話を続ける。
「最近”俺”なんて使うようになったしなぁ。
うん!今後のヨウは、”かっこいい路線”ってやつなのね!」
ずっと嬉しそうに頷きやがって…。
歳は4つしか離れてないのに、頭1つ分以上もある身長差も、今になって何だか悔しくなってきた。
アオ兄…にこやかだけど、ぜっったい俺のことバカにしてる。間違いない。
「子ども扱いするなって!もうっ…着替えてくる!」
くしゃくしゃにされた髪の毛を整えながら
(今後はこの能天気な兄でも分かるよう、もっとキツめに言ってやる…!)
そう、心に決め。
きっとまだ笑っているだろうアオ兄の顔は見ないまま、奥にある自分の部屋に向かった。
ーーー【黒の再来】まで、あと10時間36分ーーー
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣
織部
ファンタジー
ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。
背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。
母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。
セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。
彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。
セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。
「セラ、ウミ」
「ええ、そうよ。海」
ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します!
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
