黒の悪魔が死ぬまで。

曖 みいあ

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第一章:あの日、再び

抜け駆け

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「やっぱブレイズ隊長かっけー!
ヨウ、お前抜け駆けすんなよな。」

結局デザートを頼み、
少し面白くなさそうに、椅子を傾けて食べるレンに

「ふんっ。俺とブレイズ隊長の仲だからな。」

得意げに、そう返した。

自意識過剰かもしれないが、
ブレイズ隊長は、この辺の子供の中では、
特に俺を気にかけてくれている…気がする。

「早くホワイトノーブルに入って、
ブレイズ隊長の下で働きたいぜっ。」

レンは、ジャアナの街で、両親と暮らしている。

『今はまだ入隊するのは早い』
…と、止められているらしい。


「レン、お前は…”赤橙色”だから。
入れたとしても、部隊は…”暖色隊”、だろ?

残念だけど、
”寒色隊”のブレイズ隊長とは、離れ離れだな。」


そう、
ブレイズ隊長のカラーズは水色だから。
”寒色系の隊長”なのだ。


「なんだよ、自分が発現するなら”緑”…
…要するに、寒色系、だろうからってさ!
遠回しに、自慢するなよなぁ~。」


面白くなさそうに、レンに言われる。

いや、俺は…

「…発現するなら、…紅色が、いい。」


これまで、何度として吐いたセリフを、
こりずにまた、レンにこぼした。


「お前、カラーズの話になると、昔っからそればっかだよな。
なんで紅色なんだよ?アオ君とも違うし。」

やれやれ、とレンに呆れられるのも、もう何度目だろう。

何故かはハッキリ言えないのだが…。

俺は、物心着いた頃からずっと、紅いカラーズに、憧れている。 

…アオ兄とも、ブレイズ隊長とも違う。

できたら…真っ赤な…。。


「何でかは分からないけど!
俺は…っ!紅色が、いいんだっ!」

少し子供っぽい言い方になったし、頬まで膨らませてしまった。


「はいはい、そうは言ってもさぁ~、
家系で似た色になんのが普通なんだから。
家族と全く違うってのは、ま…無理だろ。

そもそも”ヨウ”って名前も、
葉っぱの”葉(よう)”からきてるんだろ?」


「でもっ!絶対にないわけじゃないだろっ。
知らないけど、じいちゃんとか遠い祖先がさ、意外と…赤系かも、しれないしっ!」

納得したくなくて、意味もなくレンに食ってかかる。

「分かった分かった!この際ヨウは、
発現できりゃあ、何でも良いんじゃねっ?」

つい3ヶ月前までは、自分も発現していなかったからなのか、
何だかんだでレンは、最終的には、いつも俺を励ましてくれる。

…まあ、基本は…イジワル、なんだけど。


「で、ヨウが考えて、実践してる特訓、
最近どうなってんの?成果、出てんの?」

「あんまり…。
むしろ最近、何でか途中で意識が薄らいで。…気絶、しちゃうんだよね。」

はぁ?と、
呆れたような、驚いたような返事が返ってきた。

「ヨウ、お前無理して…アオ君に、迷惑かけるなよ?
仕事と俺の修行で、毎日疲れてるんだからさぁ。」


「…そう思うなら、アオ兄に、修行見てくれなんて頼むなよ。」

「…それは、ヤだ。」


レンは、アオ兄にも懐いていて。
ここでの7年間、ずっとこんな感じだ。

レンとは友達というより…もはや兄弟に近い。
俺たちは背格好もよく似ているし。そして…よく似てるといえば…


「あ!そうそう!今日はヒマリの誕生日じゃん!
プレゼント、まだ悩んでんだよな~。」

「…。」

…好きな女の子も、
何だかんだで、気付いたら一緒だった。


「おい…、まさか…

ブレイズ隊長だけじゃ飽き足らず、
ヒマリまで、抜け駆けするつもりじゃ…ないよなぁ?」

じろり、と鋭い視線を向けられて。

「は、はぁ?そ、そんなことしないわ。」

そう言いながら、
咄嗟に目をそらしてしまった。


「…はぁ。お前なぁ、このレン様に、嘘が通じると思うなよ?
ったく、何年一緒にいると思ってんだよ。」

ベシっ!と、強めに頭を叩かれる。

「…誕生日会の前に、言う。」

はぁ!今日かよ!?という、
やけに大きなリアクションを受けて、さらに目をそらしてしまった。


うん…これ以上話してると、絶対ろくなことにならない。


「もう、決めたことだから!…じゃあな。邪魔するなよ。」

「あっ、ヨウ!!逃げんなっ!!」

いまだ、何か言いたげなレンから急いで離れ、
駆け足で、振り返ることなくお店をあとにした。



ーーー【黒の再来】まで、あと4時間と49分ーーー
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