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第三章:来たる日に備えて
特色隊、通常運転
しおりを挟む『ま~だ着かないのぉ~?お腹すいちゃったなぁ~。』
「その姿で”お腹すいた”は無いでしょ!全く、また勝手に出てきて…。」
昼食を終えて、あれからすぐに出発。
ペアレの背に乗って、”目的の村”まで駆け抜けて
さすがに陽が落ちてきたから、各自徒歩に切り替えたその頃。
”また”、アオ兄が薄い赤色の鳥として、勝手に発現してきた。
『だってぇ~。本格的に日が落ちたら、もう出てこられないんだもん!兄ちゃん寂しい!』
雀のような姿で、うるんだ瞳でこっちを見てくる。
(うーん…なんか、罪悪感が…。)
「アオバ君は、夜の間…ヨウの中で眠ったような状態、でしたわよね。
寂しいのは間違いないですわ。ギリギリまで、発現していたら良いと思います。」
ミチカは、雀のアオ兄に向かってニコリと微笑んだ。
「おいミチカ!またアオ兄を甘やかして…!
そりゃ俺もアオ兄に会いたいけど…
これでもチカラ使ってて、俺の体力、少しずつ削られてるんだぞ?」
「いいじゃんいいじゃん!
アオバを制御できていないヨウの負けだな~。」
ミチカに抗議した声は、陽気な大先生に遮られた。
「うぅ…!それを言われると…。」
(俺って…やっぱ才能、ないのかな…。)
2ヶ月間、大先生とマンツーマンで修行して
やっと自力で発現して、チカラを使えるようになったけど…
(それも…チカラ、1種類だけだし。深紅は…激薄のままだし。)
結局、オーバーのアオ兄を制御するような勅令は
全く習得することが出来なくて。
本来は、修行して体内のカラーズを理解できれば
勅令のセリフやチカラの使い方が、フッと頭に浮かぶらしいんだけど…。
(アオ兄の方が
俺の体内のカラーズを理解できている…ってこと…らしい。)
さらに大先生が言うには
『深緑色のカラーズは、アオバの意識の源だから、絶対に使うな』
とのことで。
深緑色のカラーズを使って、万が一減りでもしたら…
アオ兄の意識が、無くなってしまうかもしれない、らしい。
そんなことは絶対イヤだったから。
何とかして、俺の体内にある2色のうち、
本来の俺のカラーズである”深紅”を使って、アオ兄を発現させたかったんだけど…。
『ははは!ヨウの負け~!』
「ふふふ、ヨウの負け~。」
「いいぞ~!負け負けぇ~!」
いつの間にかアオ兄は、俺の勅令なんか無くても
光が当たる場所で、勝手に深紅のカラーズから発現するようになっていて…。
(俺…みじめだ!!!)
「うるさーい!!!
今は…制御できないけど。
もっとちゃんと修行して、いつかアオ兄と一緒に
”深紅”のチカラ、かんっぺきに使いこなしてやるから!!」
俺は負けじと3人に向かって宣言した。
『ヨウの負けず嫌いで前向きなとこ、俺好きだぞ!
待ってるから…
早くしないと、俺、寂しくて…
…今以上に、勝手に出てきちゃうかも☆』
アオ兄は、楽しそうに空中を飛び回りながらそう言って。
最後には、
雀ながらも軽くウインクをして、フワッと消えていった。
「今以上に出て来られたら…
ヨウの、ただでさえ少ない、発現に必要なパワーは
あっという間に底をつくだろうな!あちゃちゃ~。」
大先生は、大げさに頭を抱えてみせる。
「あちゃちゃ~じゃない!
この任務が終わったら、また修行漬けの日々だから!
ちゃんと付き合ってよ!」
「はいはいっ。
お前ほんっと修行大好きだよな~。今どき珍しいやつ。
そんなお前に毎度毎度付き合ってやる俺、優しすぎる!
俺って優しさでできてるのかもしれない…な!ミチカ。」
「隊長として当たり前ですわ。」
「つめたっ!反抗期の娘かよ!
いや、俺まだそんなオジサンじゃないわ。」
「「十分オジサン、だよ/ですわ」」
「お前ら、隊長に向かっていい度胸だなぁおい。」
薄暗くなっていく草原に、
俺たちの話し声だけがこだまする。
「んで…まだ着かないの?」
俺は、先を歩く大先生の背中に問いかけた。
「たぶんもうすぐ…お、噂をすれば、だ。
灯りが見えてきたぞ。道間違えてなくて良かった~。」
「途中、間違えそうになってましたわ。」
「あれはもう蒸し返すなって!」
話しながら歩いて近付く。
確実に、灯りが大きくなっていく。
「じゃあ…着いたらまず、俺とミチカは宿探しだな。
ヨウは、”例の禁色”を、早速探してこい。」
「えっ!俺1人で!?」
「これも、お前の大好きな”修行の1つ”だよ。
ま、そんなに大きくない村だし、何かあったら空に叫べ。
俺がすぐさま飛んでいってやるからさ。」
「はいはい…。」
「あ、信じてないな!?」
そうこう言っているうちに、村の入り口らしき門へと辿り着いた。
大先生はさっき『大きくない』って言ったけど…
門からして、それなりに大きい村だと思った。
「門番…は、特にいないな。
情報通り、そんなに治安も悪くない、平和な村みたいだ。
宿も、すんなり見つかりそうだな。」
大先生は、うんうん、と満足そうにうなずく。
「じゃ、お互い見つかっても見つからなくても、
1時間後に、またここに集まろう。では、検討を祈る!」
「ヨウ、きっと見つかるわ。頑張って。」
そう、2人に見送られて。
「おう!任しとけっ!」
俺は軽く手を揚げて、2人とは逆方向に歩いていった。
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