黒の悪魔が死ぬまで。

曖 みいあ

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第三章:来たる日に備えて

気絶させる作戦

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「二手に分かれて戦う作戦かー。

俺の相手は、お前ってわけね。」


真っ白な軍服に、金髪。
それに今は、発現したままだから、瞳も派手な黄色。



そんな、圧倒的に派手な男は、


「”禁色”相手って、やりにくいなー。」


セリフとは裏腹に、嬉しそうな声で、そう言いながら


【てきとーに拘束すっか。】

【まずは、足元からだな。】


こんな言葉の書かれた付箋を、ちらつかせて。



「正義の味方が、
悪の組織から保護してやるって言ってんのにさー。

断るなら…少し手荒なことも、しなきゃだろ?」


そう言って笑いながら。

ゆっくりと、俺に近付いてきた。






(勅令されたら…ひとまず、足元に注意。)


俺は、冷静に付箋を見ながら。

どうやってこの派手男を気絶させようか、作戦を練る。



(叔父さんにしたこと…許さない。)


俺は、派手男と会話をする気にはならず。

ただただ、ニヤついた顔と、
その周囲に舞い落ちる付箋の文字をにらみつけた。






「無表情な上に、無口なのねー。

じゃー…俺からいくか。


勅令するーーナナ、滑り寄れ。」




ーーヒュン!!



一度見たチカラだ。

ましてや、足を狙って来ることが分かっていたから。


「っ!」


勅令が聞こえてきた瞬間、
立っていた場所から大きく後ろに飛び退いて。

派手男が発現したままだったオーバー
ヘビのナナから向かってくる黄色のリボンを、難なくかわした。






自分の攻撃を避けられたのに


「おぉ!そんなに綺麗に避けんのかよー!」


派手男は何故か、嬉しそうに声を上げて笑う。




(なんだ…こいつ…。)


俺は、派手男から落ちる付箋に、急いで目を向ける。



すると…




【なぁ…読んでる?】



「!?」



「お!その顔…

ほんとに俺の心の声、読んでるんだな。おもしれー!」


派手男は、さっきよりも

もっと嬉しそうな声で、そう言った。




「さっき、【黒の悪魔】の…ヨウ、だったか。

あいつが、うちの新人に

『シオンと手を繋げば。心の声が、読めるようになる。』

って、言ってたよな?


俺、ちゃーんと後ろで聞いてたんだよ。

そんなチカラ、他で聞いたことなかったからさー、
ちょっと、半信半疑だったけど。

さっきの後ろに避ける動き…

あれ、攻撃する場所、分かってたんだろ?


ほんとに読めてんのな、お前。

すげーよ。さすが”禁色”サマサマー。」



おちゃらけた様子で、わざとらしい拍手。



「ま、普通に考えたら、
心を読まれるって、ピンチだけど。

俺は…こんな見た目だけど、意外とバカじゃないぜー。」




そう言う派手男の周りの付箋には


【さっきの反応…心の声を、”視覚的に”読んでるな。】

【”読む”のに、時間がかかるだろ?】

【心を”読む”暇もない位、攻撃を畳み掛ければいい。】


次の攻撃の流れが、丁寧に書かれていた。




「お、その視線の動き…

俺の作戦、読んでくれてるみたいだな。」


派手男は、
俺の反応を見て、嬉しそうに言う。


「こっからは…

会話をする暇もねーくらい、一方的に拘束する。

どうせ、戦闘経験もねーだろ?

そんなやつが
心の声を読みながら戦うなんて、無理だな。」




(確かに…そうだ。)


俺は、図星なだけに、何も言い返せない。




問いかけられても、
一言も発しない俺を、特に気にする様子もなく。


派手男は、そのまま嬉しそうに話し続ける。




「さっきの一発目の攻撃で、
畳み掛けても良かったんだけど。

何も分からずに気絶するのは…
さっきのおじさんと同じで、かわいそーだし?


特別に、”禁色”サマには、先に教えてやったわけよ。

今から『なんで自分が気絶するのか』を、な。

俺って優しー。」



ふざけた口調で、
叔父さんのことを話題に出されて…



「…俺のチカラ、

ただ心の声を読むだけだと、思うのか?」


こんなやつ、
ずっと無視しようと思っていたのに。


俺は怒りで、つい、声を出してしまった。







「なんだよお前、しゃべれんの?」


俺からの反応に、派手男は意外そうな顔をして


「お前のチカラ…そーだな。

ほんとは、
こんなクソ田舎に住んでるやつが、

ちゃんとチカラを使えてるだけで、珍しーけど…


確かに、腐っても”禁色”だしな。

シオン君は、まだ”奥の手”、隠してんのー?」



嬉しそうに、俺に話しかけてくる。

そんな派手男と…周りの付箋を見て



「俺はお前みたいに…チカラ、1種類だけじゃない。」


俺は、嫌味たっぷりに返した。





「うわ、勝手に読むんじゃねーよ!

会話してると、つい、
自分のチカラのこととか、考えちまうのな。」



派手男は、
少し焦ったように話すが


【ま…1つのチカラだけでも、勝てるけど。】

【1つのチカラを、極めた者こそ、強い。】

【あの人の、教えだから…。】



心の中は、
自信で溢れていた。



(こいつ…ちゃんと、チカラを磨いてる。)


派手な見た目と態度とは違って、

チカラの使い方には、真面目に取り組んできたとこが分かる。



(それに比べて、俺は…

付箋を読むチカラ以外、まともに…。)





「さてと。

お前と会話しても、俺には損しかねーからな。


おしゃべりは、このくらいにして…


勅令するーーナナ、滑り寄れ。」



ーーヒュン!!




「くっ!!」


直前に読んだ付箋に、

【一撃目は…やっぱ、足かな。】


そう、書いてあったから。

一撃目は、何とか避けられた。けど…




「さーて。

こっからは、読む暇なんて、やらねー。


ナナ、そのままいくぞ。」


派手男は、突き出した左腕を

指揮者のように、優雅に振り回しはじめた。



ーーヒュン!!




「ちっ!!」


舞い落ちる付箋に目をやるが、

もはや、その文字を読む余裕も、時間もなくて。



ーーヒュン!!



「っ!」


視界に映る黄色のリボンを、

何とか目で追いながら、反射で避け続ける。




「さーて。いつまでもつかな?


一瞬でも反応が遅れたら…

さっきのおじさんみたいに、ぐるぐる巻きだ。」



ーーヒュン!!


(こうなったら…一か八か、だ。)


俺は、意を決して、


避けながら、”目的の場所”へ向かう。



(よし、ここなら…!)



そうして


ーーヒュン!!


攻撃をかわして。


庭の外れに生える、1本の大きな木の後ろ…

…ちょうど、派手男からは死角になる、そこに。



「くっ!!」

リボンを避けながら、身をすべらせた。




「木の後ろ、ね。
それで、避けたつもりかー?」


派手男は、
俺に話しかけるように大声をだす。


「どーせさっき
チカラが1つってバレた時…

一緒に読まれてるだろうから、言うけど。


俺のチカラ、本気出せば…
リボン、一度に5本出せて、長さも太さも、自由自在だ。


木の後ろに隠れたつもりかもしれないけど…

逆に分かりやすくて、助かるぜ。」



そう言って、派手男は
優雅に振っていた左手を、勢いよく振り下ろし。


と、同時に、

今までと比べ物にならない本数と、質量のリボンが…



ーービュンビュン!!!



大きな木目がけて、一斉に襲いかかった。

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