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最弱勇者と幻の城編【世界軸α:サヤード国 湖の都】
梟の月 4日 幻の城崩壊!
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夜の湖畔には静けさが漂っていた。
周辺は静寂に包まれ、湖畔近くの家々から漏れる明りがポツリポツリと光を湖面に落とす。
その静寂を打ち破り、湖面が光に包まれた。
光の源は、二ヶ月前に湖の上に突如現れた城だ。
この城は、その現れ方といい、魔物の姿が目撃されたりと何かと怪しげな噂が絶えない。
周囲の住民は、この城を気味悪がり、近づく者もほとんどなかった。
その不気味さ全開の城が、突如異変をきたした。
窓という窓から光があふれ、地を這う唸り声のような地響きが地を揺らす。
クエストで、周囲を警戒していた他の冒険者たちはこの変化にいち早く対応し、城へと集まっていった。
突如。
轟音と共に湖上の城が光に包まれ崩壊していく。
湖の近くに居を構えていた木こり達や周辺の街の住民たちは、突然の出来事に度肝を抜かれ、中には腰を抜かす者さえいた。
その光の中から飛び出す物があった。
光はふわりふわりと城の上空を漂っていたが、やがてゆっくりと湖畔に向かっていった。
光は湖畔に降りると、次第に輝きを失い。人の形を作り出す。
望とサラ、赤髪の青年。
そして、その後ろに控える氷漬けの冒険者たち。
「なんだなんだ!」
光と共に現れた三人に、冒険者や都の者たちが集まってきた。
魔法使いの誰かが、明りの魔法を唱え周囲一帯が明るく照らされる。
「やあやあ、周辺住民の諸君こんばんは!」
場違いなほどに明朗な声をあげて、集まった者たちに挨拶をしたのは紅の髪をした青年だった。整った顔立ちの青年だ。その両脇には、まるで荷物を小脇に抱えるようにして、サラと望を抱えている。
「あの城は…お前たちがやったのか?」
冒険者の一人が声をかけた。城からだいぶ離れたあたりを監視を行い、そのおかげで、アルグたちに今まで出会わなかった幸運な者たちだった。
「うーん、なんて言ったらいいのかな」
いかにも初心者装備な冒険者に、赤髪の青年は少し困った顔をする。
「まあ、僕たちの責任ではあるよな…」
そう言いながら、サラと望を芝の上にそっと横たわらせる。
「本当に、無茶な人たちですね」
サラは気を失っているのか、安定した息をしていた。しかし、それに対して望の消耗度は目に見えて激しい。
「おい、どうなんだ。本当にお前たちが…」
「ああ、そうだよ。城を壊したのは僕たちだ。正確に言うとこの二人だ」
赤髪の青年の言葉に、周囲がざわついた。
怪しい城が消滅したことに安堵する者、手柄を横取りされ悔しがる冒険者達。
周囲の反応は様々だった。
そんな周囲の反応を面白そうに赤髪の青年は眺めていたが、しばらくしてもそのざわめきが静まらないことにしびれを切らした。
「えーと、確認は夜が明けてからにしませんか? 二人を休ませてやりたいので」
ああ、と周囲がようやく落ち着きを取り戻した。
「それでは、宿にご案内しましょう」
人々の言葉に赤髪の青年はサラと望を両脇に抱え込んだ。
「それで、この冒険者たちはどうなんだ?まさか死んでいるんじゃ…」
「それは大丈夫です。すでに呪いは消えています。朝日が昇れば氷は消え冒険者たちも目を覚ますはずです」
氷漬けの冒険者を恐る恐る覗いていた者たちは、青年の言葉に安堵の息を吐く。
「おい、兄ちゃんやけに詳しいみたいだが、お前さんはいったい何者なんだ?」
ギルドのワキルだった。彼も騒ぎを聞きつけ駆けつけていたのだ。
「僕ですか…」
青年はしばし考え込む。
そして、朗らかな笑顔と共に囁くように言った。
「僕はこの二人の【友達】です」
周辺は静寂に包まれ、湖畔近くの家々から漏れる明りがポツリポツリと光を湖面に落とす。
その静寂を打ち破り、湖面が光に包まれた。
光の源は、二ヶ月前に湖の上に突如現れた城だ。
この城は、その現れ方といい、魔物の姿が目撃されたりと何かと怪しげな噂が絶えない。
周囲の住民は、この城を気味悪がり、近づく者もほとんどなかった。
その不気味さ全開の城が、突如異変をきたした。
窓という窓から光があふれ、地を這う唸り声のような地響きが地を揺らす。
クエストで、周囲を警戒していた他の冒険者たちはこの変化にいち早く対応し、城へと集まっていった。
突如。
轟音と共に湖上の城が光に包まれ崩壊していく。
湖の近くに居を構えていた木こり達や周辺の街の住民たちは、突然の出来事に度肝を抜かれ、中には腰を抜かす者さえいた。
その光の中から飛び出す物があった。
光はふわりふわりと城の上空を漂っていたが、やがてゆっくりと湖畔に向かっていった。
光は湖畔に降りると、次第に輝きを失い。人の形を作り出す。
望とサラ、赤髪の青年。
そして、その後ろに控える氷漬けの冒険者たち。
「なんだなんだ!」
光と共に現れた三人に、冒険者や都の者たちが集まってきた。
魔法使いの誰かが、明りの魔法を唱え周囲一帯が明るく照らされる。
「やあやあ、周辺住民の諸君こんばんは!」
場違いなほどに明朗な声をあげて、集まった者たちに挨拶をしたのは紅の髪をした青年だった。整った顔立ちの青年だ。その両脇には、まるで荷物を小脇に抱えるようにして、サラと望を抱えている。
「あの城は…お前たちがやったのか?」
冒険者の一人が声をかけた。城からだいぶ離れたあたりを監視を行い、そのおかげで、アルグたちに今まで出会わなかった幸運な者たちだった。
「うーん、なんて言ったらいいのかな」
いかにも初心者装備な冒険者に、赤髪の青年は少し困った顔をする。
「まあ、僕たちの責任ではあるよな…」
そう言いながら、サラと望を芝の上にそっと横たわらせる。
「本当に、無茶な人たちですね」
サラは気を失っているのか、安定した息をしていた。しかし、それに対して望の消耗度は目に見えて激しい。
「おい、どうなんだ。本当にお前たちが…」
「ああ、そうだよ。城を壊したのは僕たちだ。正確に言うとこの二人だ」
赤髪の青年の言葉に、周囲がざわついた。
怪しい城が消滅したことに安堵する者、手柄を横取りされ悔しがる冒険者達。
周囲の反応は様々だった。
そんな周囲の反応を面白そうに赤髪の青年は眺めていたが、しばらくしてもそのざわめきが静まらないことにしびれを切らした。
「えーと、確認は夜が明けてからにしませんか? 二人を休ませてやりたいので」
ああ、と周囲がようやく落ち着きを取り戻した。
「それでは、宿にご案内しましょう」
人々の言葉に赤髪の青年はサラと望を両脇に抱え込んだ。
「それで、この冒険者たちはどうなんだ?まさか死んでいるんじゃ…」
「それは大丈夫です。すでに呪いは消えています。朝日が昇れば氷は消え冒険者たちも目を覚ますはずです」
氷漬けの冒険者を恐る恐る覗いていた者たちは、青年の言葉に安堵の息を吐く。
「おい、兄ちゃんやけに詳しいみたいだが、お前さんはいったい何者なんだ?」
ギルドのワキルだった。彼も騒ぎを聞きつけ駆けつけていたのだ。
「僕ですか…」
青年はしばし考え込む。
そして、朗らかな笑顔と共に囁くように言った。
「僕はこの二人の【友達】です」
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