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第16話 番外編 ジンの巣づくり(2)
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家事は何もやったことがなかったジンだが、掃除と洗濯はすぐに僕よりうまくなった。
手早く確実にきれいにできる。
僕はどちらかと言えば掃除が下手なので、ジンは「ふふふん~」と鼻歌交じりに掃除と洗濯をしている。
少し悔しい。
でも、そんなジンがかわいい。
ジンにとって、家から出ることは随分勇気のいることだったと思う。
しかし、アルファ・カップルの彼の両親にヒートのときに一緒に居づらいという理由にはうなずけた。
それに加えて僕との新しい生活。
家事。
大学での新生活。
大変そうだったけど、ジンはどこか楽しそうだった。
僕が心配して聞いたことがある。
ジンは、
「大変だけど、『俺たち』の生活なんだろ。
ユウヤだけしんどいのは違うと思う」
と、健気なことをいうので、泣きそうになった。
ジンが掃除と洗濯がうまくなった理由は、彼の「巣づくり」のせいじゃないかと思う。
ヒートに入る前、ジンは部屋中からお目当ての布を集めて「オメガの部屋」に巣を作る。
作っているところは見せてもらったことはないし、完成した巣もヒートが本格的にやってきて、僕たちがオメガの部屋に籠るときじゃないと見せてくれない。
作っているところを見られるのは恥ずかしいし、一人で作りたいんだって。
そう話しているジンはヒートではないのにほっぺたをピンクにして、かわいくはにかんでいるので、オメガ性であることを楽しんでいるのかもしれない。
「楽しみにしてるよ」
と、僕がジンの額にキスをしたら、真っ赤になって俯いてしまった。
なに、この反応。
かわいい。
僕と二人でいるときは、こういうかわいい姿を見せることが多くなった。
ジンが作る巣は決まって「白」だった。
それは初めてのヒートから変わっていない。
僕と愛し合う場所。
オメガの本能が求める「赤ちゃん」を育てるための場所。
それがジンの巣づくりの目的で、「そこは清潔であってほしい」というので、ありとあらゆる白い布が集められる。
洗濯はその「白くて清潔な巣づくりの素材の品質確保」となった。
気に入らないと洗濯をし直し、天日で干して満足そうにオメガの部屋にせっせと運んでいく。
僕と暮らし始めてからは、僕の服もターゲットになった。
そのせいか、僕たちの服は白いものが多くなった。
普段使っているシーツも白だし、タオルもシャツも白。
一回、僕が実家から持ってきていた白のボクサーパンツまで持っていかれそうになって、「それはだめーーーーーっ!」と止めたことがある。
なのに、ジンったら僕のボクサーパンツを両手で握りしめ、くんくんと顔の前にもってきて匂いをかぎ、とろんとした表情で言った。
「だって、これ、ユウヤの匂いがいっぱいするから」
だあああああーーーーっ!
僕は思わずジンをソファに押し倒し、キスで口の中を犯した。
いくら「温厚なアルファ」と言われている僕でも、それは我慢できない。
オメガはヒートが近づくと、番のアルファの匂いに敏感になりそれを求める、というのは知識として知っていたけど、こんなに煽られるとは思わなかった。
僕たちはヒートに入る前に、コンドームとローションを使ってセックスをした。
ヒート以外でセックスをするようになったのは、これ以来だ。
ヒートではない身体でのセックスはジンに負担をかけたようで、疲れて倒れるように眠ったジンから僕は握りしめられてくしゃくしゃになった白いボクサーパンツを回収した。
後日、そっと実家のタンスに戻しておき、新しく買う下着は絶対に白は選ばなかった。
おしまい
***
おまけのお話
https://etocoria.blogspot.jp/2017/06/1516.html
手早く確実にきれいにできる。
僕はどちらかと言えば掃除が下手なので、ジンは「ふふふん~」と鼻歌交じりに掃除と洗濯をしている。
少し悔しい。
でも、そんなジンがかわいい。
ジンにとって、家から出ることは随分勇気のいることだったと思う。
しかし、アルファ・カップルの彼の両親にヒートのときに一緒に居づらいという理由にはうなずけた。
それに加えて僕との新しい生活。
家事。
大学での新生活。
大変そうだったけど、ジンはどこか楽しそうだった。
僕が心配して聞いたことがある。
ジンは、
「大変だけど、『俺たち』の生活なんだろ。
ユウヤだけしんどいのは違うと思う」
と、健気なことをいうので、泣きそうになった。
ジンが掃除と洗濯がうまくなった理由は、彼の「巣づくり」のせいじゃないかと思う。
ヒートに入る前、ジンは部屋中からお目当ての布を集めて「オメガの部屋」に巣を作る。
作っているところは見せてもらったことはないし、完成した巣もヒートが本格的にやってきて、僕たちがオメガの部屋に籠るときじゃないと見せてくれない。
作っているところを見られるのは恥ずかしいし、一人で作りたいんだって。
そう話しているジンはヒートではないのにほっぺたをピンクにして、かわいくはにかんでいるので、オメガ性であることを楽しんでいるのかもしれない。
「楽しみにしてるよ」
と、僕がジンの額にキスをしたら、真っ赤になって俯いてしまった。
なに、この反応。
かわいい。
僕と二人でいるときは、こういうかわいい姿を見せることが多くなった。
ジンが作る巣は決まって「白」だった。
それは初めてのヒートから変わっていない。
僕と愛し合う場所。
オメガの本能が求める「赤ちゃん」を育てるための場所。
それがジンの巣づくりの目的で、「そこは清潔であってほしい」というので、ありとあらゆる白い布が集められる。
洗濯はその「白くて清潔な巣づくりの素材の品質確保」となった。
気に入らないと洗濯をし直し、天日で干して満足そうにオメガの部屋にせっせと運んでいく。
僕と暮らし始めてからは、僕の服もターゲットになった。
そのせいか、僕たちの服は白いものが多くなった。
普段使っているシーツも白だし、タオルもシャツも白。
一回、僕が実家から持ってきていた白のボクサーパンツまで持っていかれそうになって、「それはだめーーーーーっ!」と止めたことがある。
なのに、ジンったら僕のボクサーパンツを両手で握りしめ、くんくんと顔の前にもってきて匂いをかぎ、とろんとした表情で言った。
「だって、これ、ユウヤの匂いがいっぱいするから」
だあああああーーーーっ!
僕は思わずジンをソファに押し倒し、キスで口の中を犯した。
いくら「温厚なアルファ」と言われている僕でも、それは我慢できない。
オメガはヒートが近づくと、番のアルファの匂いに敏感になりそれを求める、というのは知識として知っていたけど、こんなに煽られるとは思わなかった。
僕たちはヒートに入る前に、コンドームとローションを使ってセックスをした。
ヒート以外でセックスをするようになったのは、これ以来だ。
ヒートではない身体でのセックスはジンに負担をかけたようで、疲れて倒れるように眠ったジンから僕は握りしめられてくしゃくしゃになった白いボクサーパンツを回収した。
後日、そっと実家のタンスに戻しておき、新しく買う下着は絶対に白は選ばなかった。
おしまい
***
おまけのお話
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彩斗さま
コメントありがとうございます。
ジンはツンデレみたいになってしまって最後デレデレで私も驚いていました。
この3人は別のお話で全然違う設定で登場します。そちらのほうが先にできた作品で、そのときのユウヤを幸せにしたい、と思い名づけました。
私もこのお話が大好きで、何回も読み返してはにんまりさせて頂いてます。
細々とでもいいので、ぜひぜひ番外編をお願いします!
sai3さん
コメント、ありがとうございます。
「噛み傷」をかわいがっていただいて、とても嬉しいです。
番外編はあまり考えていません。
ただ、私のお話の書き方は「あるシーンがふっと見えた」ときに書き始めます。もしユウヤとジンの2人のお話の欠片が見えたときには、書けます。そんな瞬間がありますように。
またTwitterもやっておりますので、「見えろ~!見えろ~!」と念を送りにきてくださいね(笑)。
長く長くかわいがってもらって、本当に嬉しいです。ありがとうございます。
kyrieさま
このお話し好きです。
楽しませていただきました。ありがとうございます。
あんずさん
感想ありがとうございます。
かわいいお話なので、私も好きです。