レベル0の最強剣士~レベルが上がらないスキルを持つ俺、裏ダンジョンに捨てられたが、裏技を発見し気が付いたら世界最強になっていた。

つくも/九十九弐式

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第28話 天使ルシファーとの闘い上

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 天使ルシファー。

 『天使』とは天からの使いの事である。その言葉のイメージ通りにルシファーはその白い翼で天空を羽ばたいていた。

 神々しい。思わず戦闘中である事すら忘れ、見惚れてしまっている自分にソルは気付いた。

「まずは小手調べだよ」

 ルシファーは両翼を羽ばたかせる。両翼には魔力が宿っていた。

「『パラダイス・ロスト!』」

 ルシファーはそう言い放った。それがルシファーのスキルの名前なのだろう。それが技スキルなのか、あるいは魔法スキルなのか。その分類がどちらになるかはわからなかった。だが、今はそれが問題ではないだろう。

 目の前に繰り出された脅威をいかにするか、それがソルにとっては重要な問題であった。

 繰り出されたのはまるで雷のように降り注いでくる、無数の光のエネルギーであった。

 それはまるで神から下された神罰のようで、神秘的な光景ですらあった。

 だが、当然のように今は戦闘中だ。その光景に見とれているわけにはいかない。

 その光の筋、一本一本が一瞬で人を絶命させうる程の驚異的な攻撃であった。

 ソルはその攻撃を今まで培ってきた敏捷性と運の良さで避ける。

「へぇ、やるじゃないか」

 ルシファーは笑みを浮かべる。

「小手調べの結果、君は合格だよ。ソル君といったか」

 この威力、凄まじさのどこが小手調べだ、とソルは言いたかった。一発でも食らっていたらソルといえども無事では済まない。

 果たしてルシファー。彼と闘うのは正解だったのかどうか、疑問に思うがもはや選択をやり直せるわけがない。彼を倒す事はそれなりに困難だから、第50階層からの近道(ショートカット)が許されているのであろう。

「ひとつ聞いていいか?」

「なんだい?」

「第100階層、このダンジョンの最下層には君のような手強い敵がいるのか?」

「いるよ。当然のように」

「その敵――このダンジョンのラスボスは君より強いのか?」

「当然だよ。僕なんか比べ物にならない程の強敵さ」

 このルシファーより強い難敵。以前のソルならば恐怖のあまり足が震えあがっていた事であろう。だが、今のソルはどことなく、わくわくしている自分に気づいていた。
 
 だが、その最後のハードルを前にソルはまず目の前のルシファーを倒さなければならなかったのだ。

 ソルは構える。闇魔法(ダークネス)を付与した魔法剣。『暗黒剣』を。

 とはいえ、相手は空を飛んでいるのだ。まさか、ダンジョンにおいて大空を自由に羽ばたく敵と出会うとは想像すらしてなかった。

 このダンジョンは異空間で出来ているようだった。明らかに普通のダンジョンではない。そんな事は最初からわかっていた事ではあるが。

 ソルは急いでスキルを探す。ソルが今まで見てきた習得可能スキルに『飛翔』なんて便利なスキルはなかった。人間が天使のように自在に空を飛ぶことは困難なようだ。

 だったら他に何がある? あの天使ルシファーに攻撃を届かせる手段。

「そうだ……これがあった」

 ソルは魔法スキル『重力魔法(グラビティ)』を発見した。『重力魔法(グラビティ)』の魔法は対象に体重の何倍もの重力を与える事ができる。ソルの今の魔力であったのならば、数十倍どころか、数百倍の重力を与える事ができるだろう。

「これがあれば」

「ふっ……何を考えているんだい? 考えてばかりでは君の勝機はないよ」

 ルシファーは余裕の笑みを浮かべる。だが、その次の瞬間、笑みは消え失せるのだ。

「くらえっ! ルシファー!」

 ソルは魔法スキルを発動する。

「『重力魔法(グラビティ)!』」

「な、なにっ!? う、うわっ!」

 通常の『重力魔法(グラビティ)!』の負荷ではどうという事もなかっただろう。だが、体重の数百倍となれば話は別だった。ルシファーは地面に叩き落される。

「こ、このっ!」

「はあああああああああああああああああああああああああああああああ!
!」

 ソルは『闇魔法(ダークネス)』を付与(エンチャント)した魔法剣でルシファーに斬りかかる。

「調子に乗るなよ! 僕を地表に引きずり落としたくらいで、何もできなくなる、鳥か何かだとでも思っているのか!」

 ルシファーは激昂した。

「フォトンブレード」

 ルシファーはソルの剣と対照的な、光の剣を手に作り出す。

 キィン!

 闇属性の剣と光属性の剣――対照的な二つの剣がぶつかり合い、けたたましい音をあげた。

 二人は地表で剣戟を繰り広げる。剣による接近戦は五分に思われた。だが、今まで繰り広げてきた数々の死線がソルにステータスには表示されない『経験値』として蓄積されてきた。ソルの剣技は本人こそ気づいていないが、達人の領域である。

 経験から何となく理解できるのだ。敵がどう剣を振るってくるか。自分がどう剣を振るえばいいのか。

 接戦になればなるほど、お互いの力が拮抗してくれば来るほど、その数字にならない『経験値』というものが左右してくる。

 そしてその『経験値』でソルはルシファーに勝った。

 ソルの剣が上回り、ルシファーの頬に鮮血が迸った。

「ち、血だっ! 僕の美しい顔に血がっ! ふざけるなよっ! 愚かな人間風情が神から寵愛を受けた天使である僕を傷つけるなんてっ!」

 ルシファーは激昂していた。その表情に最初の時のような余裕はない。

 そして再び、ルシファーは空に飛びあがっていった。

 ソルは再び『重力魔法(グラビティ)』を放つ準備をする。

 だが、それと同じようにルシファーも何らかの魔法を用意していた。あるいは魔法であろうか。

 ルシファーは強大な光の力を片手に集め始めた。巨大な光の塊ができる。それはまるで太陽のように、青空に輝き始める。

「遊びは終わりだよ、ソル君。僕に傷をつけた褒美に楽に、一瞬で殺してあげるよ」

 ルシファーは冷徹な表情で告げた。遊びは終わり、という事であろう。

「食らえっ!」

 ルシファーはその光の塊を地表に向けて繰り出した。

 ソルは剣を構えた。あまりに巨大すぎるその塊は避ける事など敵わない。斬るしかない。

 ソルは決死の覚悟を決めた。

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