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第60話 仮面剣士スカーレット(クレア)との闘い中
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「くそっ!」
ソルは迫りくる紅蓮の炎を氷結剣(アイシクルブレイド)でかき消す。
だが、スカーレットもそんな事はわかっていた。飛び道具のように放った炎はいわば次の攻撃に対する布石であった。
「なっ、なにっ!?」
「はあっ!」
ソルの注意は目の前の飛び道具にいっていた。故に反応が遅れた。飛び道具よりも速度の速い、スカーレットの踏み込みに対して反応が遅れる。故に、防げたはずの攻撃を食らう事になる。
スカーレットの紅蓮剣がソルの皮膚を焼き、それと同時に斬り裂く。
「くっ!」
防戦一方のソルは飛びのく。すかさずソルは回復魔法(ヒーリング)を傷口にかけた。傷口はみるみると塞がっていく。
「へー……ソルはそんな魔法スキルまで習得したんだ。剣士なのに。達者なのね」
スカーレットは感心していた。
「俺も感心したよ……クレア——じゃなかった。スカーレットがこんなに剣技を上達させていたなんて。それに習得した固有スキルも厄介なものだ。炎魔法(フレイム)ではこうまで幅広く応用はできない。まるで炎が体の一部になっているみたいだ」
「そうね……その通りよ。けどまだこの固有スキル『紅蓮の加護』の本領は発揮してない。これからが私の本気よ。ここで決着をつけるわ!」
スカーレットの闘気が漲る。スカーレットの周りを紅蓮の炎が纏い始めた。普通の人間なら熱いだろうが、スカーレットにとってもはや炎は体の一部だ。熱く感じないどころか、まるで安らいでいるかのようであった。
「煉獄剣! 弐の型!」
スカーレットは剣を放つ。先ほどのようなただの炎ではない。ソルはその炎の化け物の姿を見た事がある。
スカーレットが放った紅蓮の炎はただの炎ではない。まるで不死鳥(フェニックス)のような形をしていたのである。それはあのダンジョン『ゲヘナ』で闘った不死鳥(フェニックス)そっくりであった。あの不死鳥(フェニックス)を模した剣技なのだろう。
キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!
不死鳥(フェニックス)はまるで生きているかのように奇声を上げ、ソルに襲い掛かってくる。
「くっ!」
「煉獄剣! 最後の型!」
スカーレットは切り札を切った。不死鳥(フェニックス)による攻撃は布石にしか過ぎない。不死鳥(フェニックス)とスカーレットの剣――煉獄剣の同時攻撃がスカーレットの切り札であった。
最後の型——と自分で言っているのだから、この攻撃が最後にして最大の攻撃なのだろう。
その『最後の型』による攻撃がソルに襲い掛かってくる。その攻撃は凄まじく、いかに裏ダンジョンと呼ばれる『ゲヘナ』をソロプレイで完全攻略したソルと言えども完全に防ぎきる事は困難であった。
絶体絶命の困難がソルに襲い掛かってくる。
「くっ!」
ソルは魔剣ラグナロクを構える。そして覚悟を決めた。
◇
(義弟エドワード視点)
「へっ……あの『レベル0』の無能兄貴の野郎……思っていた以上に良い動きをしていたな」
エドと義父であるカイは様子を見ていた。準々決勝に進出しているエドは予定通り準決勝まで行けば、この闘いの勝者と対戦する事になる。対戦するかもしれない相手の試合だ。注目するのも当然と言えた。
その為、エドはソルが勝者として勝ち上がってくる事も当然のように想定していた。だが、それは実現しそうになかった。ソルはあの仮面剣士から凄まじい攻撃を食らっていたのである。
物凄い火柱が上がった。だからエドは勝負は既に決まったのだと思い込んだ。
(次の対戦相手はあの仮面剣士か……)
エドは仮面剣士の正体がクレアだとは気づいていなかった。ただ純粋に厄介な相手だと思っていただけである。
「へっ……義父(とう)さん。どうやら兄貴は負けちまったようですぜ」
「そうだな……そのようだな」
「へへへっ……残念ですよ。この俺、自らの手で白黒とはっきりとつけて、その上で引導を渡してやりたかったんですが。負けちまったらしょうがないですね」
「そうだな……その通りだ」
『レベル0』として罵られ、ユグドラシル家を追い出されたソルがどのようにしてあれだけの力を身に着けたのかは気がかりであるが、エドにとって重要なのはそこではない。この剣神武闘会に優勝して、ユグドラシル家の家督を継ぐのにふさわしいのが自分であると実力で証明し、その上でクレアを身も心も手に入れる事だ。
(へへへっ……待ってろよ。クレア。この剣神武闘会で優勝して俺は必ずお前を手に入れてやる。身も心も、俺の物にしてやるぜ!)
エドは観客席にいたクレアを見上げる。だが、エドは気づいていなかった。そこにいたクレアが実は偽物であるという事を。そして、本物のクレアが仮面の剣士として今、目の前で闘っている事に。エドは気づいていなかったのである。
だが、この後予想もしていなかった事が起きる。
「なっ!? なんだと!」
「ぬっ!?」
二人は驚いていた。あのけたたましい炎が消えていった。
そしてソルは健在だったのである。てっきり、あの強烈な炎に飲み込まれて、ソルは倒れたと思っていた。
だが、決着はまだ着いていなかったのである。
「い、一体どうなっているんだ! あれだけの炎に飲み込まれてどうして兄貴は無事だったんだ!」
「わ、わからん! わしに言われても、一体ソルはどんな手品を使ったのだ」
そしてついにこの激しい闘いに決着がつく。
――勝負の行方は一体。どちらに転がるというのか。
ソルは迫りくる紅蓮の炎を氷結剣(アイシクルブレイド)でかき消す。
だが、スカーレットもそんな事はわかっていた。飛び道具のように放った炎はいわば次の攻撃に対する布石であった。
「なっ、なにっ!?」
「はあっ!」
ソルの注意は目の前の飛び道具にいっていた。故に反応が遅れた。飛び道具よりも速度の速い、スカーレットの踏み込みに対して反応が遅れる。故に、防げたはずの攻撃を食らう事になる。
スカーレットの紅蓮剣がソルの皮膚を焼き、それと同時に斬り裂く。
「くっ!」
防戦一方のソルは飛びのく。すかさずソルは回復魔法(ヒーリング)を傷口にかけた。傷口はみるみると塞がっていく。
「へー……ソルはそんな魔法スキルまで習得したんだ。剣士なのに。達者なのね」
スカーレットは感心していた。
「俺も感心したよ……クレア——じゃなかった。スカーレットがこんなに剣技を上達させていたなんて。それに習得した固有スキルも厄介なものだ。炎魔法(フレイム)ではこうまで幅広く応用はできない。まるで炎が体の一部になっているみたいだ」
「そうね……その通りよ。けどまだこの固有スキル『紅蓮の加護』の本領は発揮してない。これからが私の本気よ。ここで決着をつけるわ!」
スカーレットの闘気が漲る。スカーレットの周りを紅蓮の炎が纏い始めた。普通の人間なら熱いだろうが、スカーレットにとってもはや炎は体の一部だ。熱く感じないどころか、まるで安らいでいるかのようであった。
「煉獄剣! 弐の型!」
スカーレットは剣を放つ。先ほどのようなただの炎ではない。ソルはその炎の化け物の姿を見た事がある。
スカーレットが放った紅蓮の炎はただの炎ではない。まるで不死鳥(フェニックス)のような形をしていたのである。それはあのダンジョン『ゲヘナ』で闘った不死鳥(フェニックス)そっくりであった。あの不死鳥(フェニックス)を模した剣技なのだろう。
キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!
不死鳥(フェニックス)はまるで生きているかのように奇声を上げ、ソルに襲い掛かってくる。
「くっ!」
「煉獄剣! 最後の型!」
スカーレットは切り札を切った。不死鳥(フェニックス)による攻撃は布石にしか過ぎない。不死鳥(フェニックス)とスカーレットの剣――煉獄剣の同時攻撃がスカーレットの切り札であった。
最後の型——と自分で言っているのだから、この攻撃が最後にして最大の攻撃なのだろう。
その『最後の型』による攻撃がソルに襲い掛かってくる。その攻撃は凄まじく、いかに裏ダンジョンと呼ばれる『ゲヘナ』をソロプレイで完全攻略したソルと言えども完全に防ぎきる事は困難であった。
絶体絶命の困難がソルに襲い掛かってくる。
「くっ!」
ソルは魔剣ラグナロクを構える。そして覚悟を決めた。
◇
(義弟エドワード視点)
「へっ……あの『レベル0』の無能兄貴の野郎……思っていた以上に良い動きをしていたな」
エドと義父であるカイは様子を見ていた。準々決勝に進出しているエドは予定通り準決勝まで行けば、この闘いの勝者と対戦する事になる。対戦するかもしれない相手の試合だ。注目するのも当然と言えた。
その為、エドはソルが勝者として勝ち上がってくる事も当然のように想定していた。だが、それは実現しそうになかった。ソルはあの仮面剣士から凄まじい攻撃を食らっていたのである。
物凄い火柱が上がった。だからエドは勝負は既に決まったのだと思い込んだ。
(次の対戦相手はあの仮面剣士か……)
エドは仮面剣士の正体がクレアだとは気づいていなかった。ただ純粋に厄介な相手だと思っていただけである。
「へっ……義父(とう)さん。どうやら兄貴は負けちまったようですぜ」
「そうだな……そのようだな」
「へへへっ……残念ですよ。この俺、自らの手で白黒とはっきりとつけて、その上で引導を渡してやりたかったんですが。負けちまったらしょうがないですね」
「そうだな……その通りだ」
『レベル0』として罵られ、ユグドラシル家を追い出されたソルがどのようにしてあれだけの力を身に着けたのかは気がかりであるが、エドにとって重要なのはそこではない。この剣神武闘会に優勝して、ユグドラシル家の家督を継ぐのにふさわしいのが自分であると実力で証明し、その上でクレアを身も心も手に入れる事だ。
(へへへっ……待ってろよ。クレア。この剣神武闘会で優勝して俺は必ずお前を手に入れてやる。身も心も、俺の物にしてやるぜ!)
エドは観客席にいたクレアを見上げる。だが、エドは気づいていなかった。そこにいたクレアが実は偽物であるという事を。そして、本物のクレアが仮面の剣士として今、目の前で闘っている事に。エドは気づいていなかったのである。
だが、この後予想もしていなかった事が起きる。
「なっ!? なんだと!」
「ぬっ!?」
二人は驚いていた。あのけたたましい炎が消えていった。
そしてソルは健在だったのである。てっきり、あの強烈な炎に飲み込まれて、ソルは倒れたと思っていた。
だが、決着はまだ着いていなかったのである。
「い、一体どうなっているんだ! あれだけの炎に飲み込まれてどうして兄貴は無事だったんだ!」
「わ、わからん! わしに言われても、一体ソルはどんな手品を使ったのだ」
そしてついにこの激しい闘いに決着がつく。
――勝負の行方は一体。どちらに転がるというのか。
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