75 / 90
第75話 情報を得る為、デオールの街を訪れる
しおりを挟む
フレースヴェルグを旅立った三人は魔族に関する情報を集める事にした。
『デーオル』という名の街まで来ていた。様々な人々が行きかう、交易の拠点となっている街である。
浜辺近くにある街の為、様々な海産物が市場には並んでいた。中にはその場で燻している出店もある為、塩の良い匂いが鼻孔を刺激する。
「おおっ! なんと良い匂いであるかっ! これはたまらないっ! 主人(マスター)よ! 早く食べようではないかっ!」
じゅるり。バハムートは駄々漏れの涎を手の甲で拭う。
「バハムート、俺達はこの街まで何を目的に来たんだ?」
「目的など決まっているであろう! それは勿論、特産品の海産物を腹いっぱいになるまで堪能するためであるっ!」
バハムートは胸を張って答える。
「違うだろっ! 俺達は魔族に関する情報を手に入れる為に来たんだろ!」
ソルは珍しく怒鳴る。
「う、うむ……わかっておるわ……冗談だ。そう怒るでない」
「本当か?」
ソルは呆れたように溜息を吐く。
「本当である……さて、それでは情報収集するより前に腹ごしらえといこうかの」
バハムートにとってはやはり責務より食い気であった。
「やっぱり食い気の方が重要じゃないか……」
「だがの。食わねば動く時に動けぬ。違うか? 主人(マスター)よ」
「それは確かに。そうだが」
「それではおいしい食べ物を食べに行こうではないか。ここに来るまでに美味そうなレストランの目星をつけておいたのだ!」
「ははは……食べ物の事となると随分とマメなのね」
クレアは苦笑していた。三人は食事をしつつ、今後の話をする事にした。
バハムートに連れられて、三人はレストランへと向かう。
◇
「お待たせしました! シーフードドリアになります! 大海老の塩焼き! それから刺身の盛り合わせ! ……」
ウエイトレスの読み上げが延々と続く。テーブルにはドンドンと食事が並んでいった。主にはここら辺で捕れる海産物の料理である。
「以上になります」
「はははっ……相変わらず食べるわね」
以前、王城でバハムートの食べっぷりを見ていたクレアは最初の時より驚いてはいなかった。だが、それでも若干引いているようではあった。
当然のように大体はバハムートが食べるのである。
「……というか、そろそろ教えてくれない? ソル。あなたの事……そして彼女の事。彼女、普通の人間じゃないんでしょう?」
クレアは聞いてくる。クレアはやはり感じていたのだ。ソルとバハムートに対する違和感を。
「私はもうあなた達と一緒に旅をする仲間なの。言えないんだったら無理に言わなくていいけど、出来れば本当の事を知りたいの」
「そうだな……そうだよな。俺だってクレアに隠し事をしたくない。バハムート、話していいか? 今まで何があったのかを」
「うむ。主人(マスター)が良いというのならば、我にそれを止める理由などない。むしゃむしゃ! ガツガツ!」
「そんな話よりもとにかく食べていたいって感じだな。まあいい、じゃあ、クレア。話そう。今まで俺に何があって、どうしてバハムートと一緒に行動を共にするようになったのか」
ソルはクレアに説明する。今まであった事を。
事の始まりは半年前のスキル継承の儀である。ソルは『レベル0』という外れスキルを授かった。そのくらいの事はクレアは知っているとは思う。
その次にソルは実父であるカイに裏ダンジョンと呼ばれる『ゲヘナ』に捨てられた。そしてそこからソルは幸運も多いにあったとは思うが、その『ゲヘナ』を攻略するに至った。
そして隣にいるバハムートの正体は竜王『バハムート』と呼ばれる強力なモンスターであり、彼女がクリア報酬として仲間になった……というわけだった。
「そ、そう……そんな事があったの。あなたのお父さんを悪く言うのもあれだけど、酷い事をするものね」
クレアは絶句した。とはいえ、苛立ちをぶつける相手である実父はもういない。悪魔に取りつかれたエドの凶行により、既にこの世を去っているのだ。
「それでソルはそのダンジョンで強くなって、そこにいるバハムートさんが仲間になったっていうわけね」
言葉にするとえらく簡単ではあるが、ここまで来た道のりは決して平坦ではなかった。酷く厳しいものではあった。
「ああ……その通りだ。それでその後に俺はクレアと再会したんだ」
それから先はクレアも知っている通りだ。ソルは剣神武闘会に出場する事になり、そこで色々な事があった。そして今に至る、というわけだ。
「ふーん……じゃあ、バハムートさんはただの大飯ぐらいってわけじゃないんだ。良かった」
クレアは胸を撫で下ろす。
「なんだ! 今の言い方は! まるで我がただの大飯ぐらいで、食費だけ無駄に金がかかるお荷物だとでも思っていたのか!」
「ううん……そうじゃないけど。そうだったら嫌だな、と思っただけで」
クレアは苦笑する。
「全く……我は役に立つのだぞ。食った飯代以上の働きはするつもりだ」
「クレア、それで話を元に戻すんだけど……この街に来た目的に」
ソル達はこの街デーオルに来たのは魔族に関する情報を集める為だ。この街には様々な情報が集まる。そしてその情報を売り買いしている『情報屋』と呼ばれる人物がいるのだ。
三人はその『情報屋』を訪ねにこのデオールまで来たのだ。決して海産物を堪能する為に来たのではない。
「あーん……んーっ! うまいっ!」
誰とは言わないが、堪能している人物が一人いるが。ともかく。
食事を終わらせた三人はこの街にいる『情報屋』たる人物の所へ向かうのであった。
『デーオル』という名の街まで来ていた。様々な人々が行きかう、交易の拠点となっている街である。
浜辺近くにある街の為、様々な海産物が市場には並んでいた。中にはその場で燻している出店もある為、塩の良い匂いが鼻孔を刺激する。
「おおっ! なんと良い匂いであるかっ! これはたまらないっ! 主人(マスター)よ! 早く食べようではないかっ!」
じゅるり。バハムートは駄々漏れの涎を手の甲で拭う。
「バハムート、俺達はこの街まで何を目的に来たんだ?」
「目的など決まっているであろう! それは勿論、特産品の海産物を腹いっぱいになるまで堪能するためであるっ!」
バハムートは胸を張って答える。
「違うだろっ! 俺達は魔族に関する情報を手に入れる為に来たんだろ!」
ソルは珍しく怒鳴る。
「う、うむ……わかっておるわ……冗談だ。そう怒るでない」
「本当か?」
ソルは呆れたように溜息を吐く。
「本当である……さて、それでは情報収集するより前に腹ごしらえといこうかの」
バハムートにとってはやはり責務より食い気であった。
「やっぱり食い気の方が重要じゃないか……」
「だがの。食わねば動く時に動けぬ。違うか? 主人(マスター)よ」
「それは確かに。そうだが」
「それではおいしい食べ物を食べに行こうではないか。ここに来るまでに美味そうなレストランの目星をつけておいたのだ!」
「ははは……食べ物の事となると随分とマメなのね」
クレアは苦笑していた。三人は食事をしつつ、今後の話をする事にした。
バハムートに連れられて、三人はレストランへと向かう。
◇
「お待たせしました! シーフードドリアになります! 大海老の塩焼き! それから刺身の盛り合わせ! ……」
ウエイトレスの読み上げが延々と続く。テーブルにはドンドンと食事が並んでいった。主にはここら辺で捕れる海産物の料理である。
「以上になります」
「はははっ……相変わらず食べるわね」
以前、王城でバハムートの食べっぷりを見ていたクレアは最初の時より驚いてはいなかった。だが、それでも若干引いているようではあった。
当然のように大体はバハムートが食べるのである。
「……というか、そろそろ教えてくれない? ソル。あなたの事……そして彼女の事。彼女、普通の人間じゃないんでしょう?」
クレアは聞いてくる。クレアはやはり感じていたのだ。ソルとバハムートに対する違和感を。
「私はもうあなた達と一緒に旅をする仲間なの。言えないんだったら無理に言わなくていいけど、出来れば本当の事を知りたいの」
「そうだな……そうだよな。俺だってクレアに隠し事をしたくない。バハムート、話していいか? 今まで何があったのかを」
「うむ。主人(マスター)が良いというのならば、我にそれを止める理由などない。むしゃむしゃ! ガツガツ!」
「そんな話よりもとにかく食べていたいって感じだな。まあいい、じゃあ、クレア。話そう。今まで俺に何があって、どうしてバハムートと一緒に行動を共にするようになったのか」
ソルはクレアに説明する。今まであった事を。
事の始まりは半年前のスキル継承の儀である。ソルは『レベル0』という外れスキルを授かった。そのくらいの事はクレアは知っているとは思う。
その次にソルは実父であるカイに裏ダンジョンと呼ばれる『ゲヘナ』に捨てられた。そしてそこからソルは幸運も多いにあったとは思うが、その『ゲヘナ』を攻略するに至った。
そして隣にいるバハムートの正体は竜王『バハムート』と呼ばれる強力なモンスターであり、彼女がクリア報酬として仲間になった……というわけだった。
「そ、そう……そんな事があったの。あなたのお父さんを悪く言うのもあれだけど、酷い事をするものね」
クレアは絶句した。とはいえ、苛立ちをぶつける相手である実父はもういない。悪魔に取りつかれたエドの凶行により、既にこの世を去っているのだ。
「それでソルはそのダンジョンで強くなって、そこにいるバハムートさんが仲間になったっていうわけね」
言葉にするとえらく簡単ではあるが、ここまで来た道のりは決して平坦ではなかった。酷く厳しいものではあった。
「ああ……その通りだ。それでその後に俺はクレアと再会したんだ」
それから先はクレアも知っている通りだ。ソルは剣神武闘会に出場する事になり、そこで色々な事があった。そして今に至る、というわけだ。
「ふーん……じゃあ、バハムートさんはただの大飯ぐらいってわけじゃないんだ。良かった」
クレアは胸を撫で下ろす。
「なんだ! 今の言い方は! まるで我がただの大飯ぐらいで、食費だけ無駄に金がかかるお荷物だとでも思っていたのか!」
「ううん……そうじゃないけど。そうだったら嫌だな、と思っただけで」
クレアは苦笑する。
「全く……我は役に立つのだぞ。食った飯代以上の働きはするつもりだ」
「クレア、それで話を元に戻すんだけど……この街に来た目的に」
ソル達はこの街デーオルに来たのは魔族に関する情報を集める為だ。この街には様々な情報が集まる。そしてその情報を売り買いしている『情報屋』と呼ばれる人物がいるのだ。
三人はその『情報屋』を訪ねにこのデオールまで来たのだ。決して海産物を堪能する為に来たのではない。
「あーん……んーっ! うまいっ!」
誰とは言わないが、堪能している人物が一人いるが。ともかく。
食事を終わらせた三人はこの街にいる『情報屋』たる人物の所へ向かうのであった。
1
あなたにおすすめの小説
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
スキル【土いじり】でパーティを追放された俺、開墾した畑からダンジョンが生えてきた。
夏見ナイ
ファンタジー
「役立たず」の烙印を押され、パーティを追放されたアルフォンス。彼のスキルは戦闘に不向きな【土いじり】。失意の彼は都会を離れ、辺境の地で静かに農業を営むことを決意する。
しかし、彼が畑を耕すと、そこから不思議なダンジョンが生えてきた!
ダンジョン内では、高級ポーションになる薬草や伝説の金属『オリハルコン』が野菜のように収穫できる。地味だと思われた【土いじり】は、実はこの『農園ダンジョン』を育てる唯一無二のチートスキルだったのだ。
噂を聞きつけ集まる仲間たち。エルフの美少女、ドワーフの天才鍛冶師……。気づけば彼の農園は豊かな村へ、そして難攻不落の要塞国家へと発展していく。
一方、彼を追放したパーティは没落の一途を辿り……。
これは、追放された男が最強の生産職として仲間と共に理想郷を築き上げる、農業スローライフ&建国ファンタジー!
気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!?
これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる