レベル0の最強剣士~レベルが上がらないスキルを持つ俺、裏ダンジョンに捨てられたが、裏技を発見し気が付いたら世界最強になっていた。

つくも/九十九弐式

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第81話 (義弟SIDE)魔人レイとエルフ国に攻め込む

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 高い崖から暗黒剣士となったソルの義弟エドと魔人レイはエルフの森を見下ろしていた。

「……あそこにエルフの国があるのか」

「そうだ。その通りだ……そして恐らくはそこに魔王様の求めている神の魔結晶(ゴッドクリスタル)が存在している」

「これからどうする?」

 エドは聞いた。その体周りには黒い魔力が迸っている。そしてその形相。人間の頃から既に性格の悪そうな顔をしてはいたが、それでもここまで歪んだ顔はしていなかった。エドは人間をやめたのだ。元人間と言った方が良い。

 完全に魔族となり果てていた。

「この森を焼き払うんだ……そうすればエルフ国は熱さのあまりに外に出てこざるをえないだろう? 風呂釜のお湯を沸騰させれば、熱さのあまり慌てて外に飛び出してくるって寸法だよ。クックック」

 魔人レイは笑う。

「マジかよ……だったらこの森にいる生き物とかも全滅しちまうじゃねーか。ひでーな、焼き殺しちまうのかよ? 罪もない動物たちを」

「なんだ? 同情しているのか? この森にいる哀れな小動物たちに」

「へっ。そんなわけねーだろ。最高に見物だと思っただけだぜ。見応えのあるショーだ」

 エドは実に楽しそうに笑っていた。心の底から楽しんでいるようであった。

「……そうだな。その通りだ。それでこそ我等魔族の仲間入りをしたともいえる。人間であるうちから、お前の心はどちらかというと、我々魔族に近かったからな。順応も早い」

「そいつは嬉しいんだか、悲しいんだかわからねーな。クックック」

「さあ! 魔導士兵団よ。炎魔法(フレイム)を放ち、森を焼き払え!」

 作戦の指揮官となっている魔人レイは魔導士兵団に命令をする。魔法が得意な魔族で結成された、専門部隊である。それとは別に通常戦闘を行う、通常の兵団も存在していた。

「「「はっ!」」」

 魔導士兵団は炎魔法(フレイム)を森に放った。複数人の炎魔法により、森に放たれた炎は一瞬で燃え広がっていた。

 動物達が慌てて飛び出していく。静かだった夜の森は一瞬で騒がしくなった。

「間違いないな……あのエルフの国にあの兄貴はいるぜ」

「兄貴?」

「あの【レベル0】の無能兄貴だよ。剣神武闘会の決勝戦であんたも当たっただろ?」

「ああ……あの剣士か。という事はあの王女様と竜王もいるんだろうな。どうするんだ? 間違いなく抗争になるだろう。我々の行いを大人しく見過ごすというのなら、わざわざエルフの国まで出向くはずがないではないか」

「あの兄貴は俺にやらせてくれよ。あんたも因縁あるかもしれねぇけど、俺はそれ以上にあの兄貴とは因縁があるんだからよ」

「ああ……そういえばそうだな。お前は一度あの男に負けてるんだな」

「う、うるせぇ! あんなのマグレだ! 俺は油断してただけだ! もう二度とあんな事にはならねぇ! 今の俺様は前の俺とは違うんだからよ!」

 エドは顔を真っ赤にして反論した。図星を突かれた人間の態度というのは大抵そんなものである。言い訳がましかった。

「ふっ。すまないな。図星を突いてしまってプライドが傷ついたか? だったら自分の力で証明してみせろ。今のお前の力があのソルを上回っているという事を」

「ああ……証明してやるぜ」

 炎に染まっていくエルフの森を見下ろし、エドは勝利を誓った。

 ――二人の再戦は近い。そんな予感がした。

 しかも今度は剣神武闘会のようなルールのあるスポーツのような試合ではない。

 本気の殺し合いだ。血は避けられない。それどころか命を落とす危険性すらありえた。

 今度の再戦は血の雨が降る予感がしていたのだ。

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