駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

春の祝賀会③

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 『挨拶に来たのかしら?』と思案する私を他所に、彼らは口を開く。

「ご無沙汰しております、ラニット公爵」

「夫人も、ご機嫌麗しゅう」

「新婚生活はいかがですか?」

「もし、何か悩みがあれば気軽に相談してくださいね」

 にこやかに話し掛けてくる彼らは、愛想良く振る舞った。
なので、一見いい人そうに感じる。
でも、私は知っている。ただ、夫婦仲を見定めているだけだと。

 普通はそんなことしないのだけど、私達の結婚はかなり特殊だから。
主に『駆け落ちした姉の代わりに嫁ぐことになった』という点が。
しかも、結婚式は中止になってしまったので。
『その後、どうなっているのか』と興味を持つのも、仕方ない。
ラニット公爵家のことなら、尚更。

 『付け入る隙があるなら、利用したいのかも』と考え、私は内心溜め息を零す。
夫に限ってないとは思うが、第二夫人や愛人を作られると面倒だな、と感じて。
『絶対、私の肩身が狭くなる』と確信する中、夫は眉間に皺を寄せた。

「貴様ら、そんな無駄話をするために私のところへ来たのか?」

 不機嫌そうに顔を顰め、夫はどこか物々しい雰囲気を放つ。
基本、合理主義なので雑談する暇があるなら別のことに時間を割きたいのだろう。

「い、いえ、そういう訳では……」

「あれは本題に入る前の社交辞令と言いますか……」

 慌てて取り繕う彼らに対し、夫は一つ息を吐いた。
かと思えば、こう言う。

「私にそういった話は不要だ。さっさと本題へ入れ」

「は、はい。実は以前、お話した事業の件について相談がありまして……」

「私は店舗経営の件で、ちょっと……」

 次々とビジネスの話を持ち掛ける男性陣は、夫に意見を仰ぐ。
その間、女性陣はニコニコ笑って隣に立っているだけ。
多分、かなり退屈だと思う。
専門用語ばかりで理解が追いつかない分、余計に。

「あの、あちらでちょっと休憩しませんか?」

 ついに我慢の限界へ到達したのか、一人の女性が『私達は私達で話しましょう』と提案した。
すると、他の者達は二つ返事で了承する。
『ずっと立ちっぱなしでは、辛いものね』なんて言い合う彼女達を他所に、私は片手を挙げた。

「いえ、私はここに残ります」
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