駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

腹違いの弟①

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「いえ、私はここに残ります」

 貴婦人達と休憩……もとい、雑談なんて一番避けたいシチュエーションのため、私は突っぱねる。
と同時に、この場の空気が凍った。
かと思えば、提案者の女性が口を開く。

「ですが、ビジネスの話など夫人には分からないのでは?」

「ええ、確かに分かりません」

「なら……」

「でも、私は旦那様の傍を片時も離れたくないのです」

 ────パーティーで上手く立ち回れる自信が、ないから。

 とは言わずに、真っ直ぐ彼女の目を見つめ返す。
『お願いだから、これ以上食い下がらないで』と祈りながら。
言い合いになって悪目立ちする可能性を危惧する私の前で、彼女はまた何か言おうとした。
が、それよりも早く夫が口を開く。

「私の妻に意見するとは、何様のつもりだ」

 『公爵夫人という肩書きは飾りじゃないぞ』と脅し、夫は赤い瞳に苛立ちを滲ませた。
その途端、提案者の女性は竦み上がる。
他の者達も若干表情を強ばらせて、縮こまった。

「も、申し訳ありません……単なるアドバイスのつもりだったんですが、少し言い方が悪かったようです」

 『以後気をつけます』と述べ、提案者の女性は頭を下げた。
かと思えば、他の者達を引き連れてこの場から離れる。
早々と離脱していった彼女を前に、夫はスッと目を細めた。

「私の妻に対してアドバイス、か。あの女は随分と偉そうだな」

「すみません。帰ったら、よく言い聞かせておきます」

 あの女性の伴侶と思しき男性が、慌てて夫の前へ躍り出る。
まるで、視界を遮るかのように。
恐らく、妻の姿を隠して少しでも怒りを鎮める算段だろう。
目につくと、嫌でも苛立ちが募るから。

「悪気はなかったと思うので、どうかお許しを」

「それは私の決めることじゃない」

 夫はこちらに視線を向け、『どうしたいか、言ってみろ』と促した。
と同時に、周囲の者達がハッと息を呑む。
夫婦仲がそれほど悪くないことに、気づいたのだろう。
もし、冷め切った関係ならわざわざの意向を確認しようとは思わない筈だから。

「ふ、夫人。この度は……」
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