駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

皇族の入場③

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 一応、デニス皇子殿下が今回の主催だから対応を任せたのに、このようなことになって憤っているのだろう。
いくら皇室の方が立場は上と言えど、貴族に無礼を働いていい訳じゃないから。
それがラニット公爵家ともなれば、尚更。

 『下手に刺激して反旗を翻されれば、困るのは皇室だもの』と考えつつ、私は顔を上げる。
夫も楽な体勢を取って、目の前に居るシャノン皇太子殿下とデニス皇子殿下を見つめた。

「そうですね。シャノン皇太子殿下とは・・、良好な仲だと認識しております」

 デニス皇子殿下のことには一切触れず……というか居ないものとして扱い、夫は会話を続ける。
『こちらから、歩み寄る気は一切ない』と示すように。
恐らく、いちいち対応するのが面倒臭いのだろう。

「はははっ。ラニット公爵にそう言ってもらえて、嬉しいよ。ところで、そちらの綺麗な女性は?」

 公爵夫人だと分かっているだろうに、シャノン皇太子殿下は敢えて質問を投げ掛けた。
正式に紹介してほしい、という思いを込めて。

「こちらは私の妻です」

「お初にお目に掛かります、レイチェル・プロテア・ラニットです。以後お見知りおきを」

 ドレスのスカート部分を摘み上げ、私はお辞儀する。
『こんな対応で良かったのかしら?』と思案する中、シャノン皇太子殿下はうんと目を細めた。

「ラニット夫人、会えて光栄だよ。私はシャノン・ルス・アヴニール。公爵の友人さ」

 胸を張ってそう答えるシャノン皇太子殿下に、私は大きく目を見開く。
未だ嘗てないほどの衝撃を受けながら。

「……旦那様にご友人なんて、居たのね」

 ついつい思ったことを口走ってしまうと、夫が不意に顔を上げた。

「私も初耳だな」

「えぇ……?」

 思わずといった様子で声を上げるシャノン皇太子殿下は、小さく肩を落とす。
『友人だと思っていたのは、私だけか……』と拗ねる彼の前で、夫は

「では、妻の紹介も終わりましたので私達はそろそろ失礼します」

 と、告げた。
かと思えば、さっさと一礼して身を翻す。
シャノン皇太子殿下の抗議など、耳に入っていない様子で。

 旦那様ったら、本当につれないわね。
でも、だからこそ仲がいいことがよく分かる。

 『友人というのは、事実だったみたい』と考えながら、私もこの場を後にした。
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