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本編
帰還と突撃《クラリス side》③
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「クラリス、しばらく部屋で頭を冷やしなさい」
いつになく硬い声色で謹慎を命じ、父は使用人達に目配せする。
と同時に、私は自室へ引っ張って行かれた。
もちろん抵抗したが、大人……それも複数人の力に敵う筈もなく、あっという間に閉じ込められる。
ガチャンと鍵を施錠する音が鳴り響く中、私は目を白黒させた。
まさか、このような扱いを受けるとは思ってなかったので。
今までこんな強引な手段に出ることは、一度もなかった……叱られたり、泣かれたりはしょっちゅうだったけど。
でも、自由を奪うような真似はしなかった。それなのに……。
自分の知らない面が見えてきて戸惑い、私は唇を強く引き結ぶ。
『これも全部、あの男のせい』と考えながら。
「お父様、お母様、お願い!開けて!私はただ、レイチェルの身を案じているだけなんです!だって、あの男は簡単に人の命を奪うろくでもない人間なんですよ!?身内すら、手に掛けていると聞きます!だから、レイチェルだっていつどうなるか分かりません!」
『今からでも二人を引き離すべきです!』と訴え、私は扉を強く叩いた。
が、返ってくるのは冷たい沈黙だけ……。
どうしよう……!こんなところで、時間を取られる訳にはいかないのに!
『こうしている間にも、レイチェルが……!』と思案し、私は室内を見回す。
どうにかして、外に出られないか?と思って。
『ここは二階だから、飛び降りる訳にもいかないし……』と考え込んでいると、不意に窓をノックされた。
「────やあ、クラリス」
そう言って、ガラス越しにこちらを見つめるのは恋人のウィル。
ヒラヒラと手を振って笑う彼を前に、私は一瞬放心した。
「な、何でここに……?」
「心配になって、一応様子を見に来たんだよ」
『まさか、閉じ込められているとは思わなかったけど』と肩を竦め、ウィルは指先で窓を突く。
「どんな話し合いが成されたのかは分からないけど、この状況を見る限り上手く行かなかったみたいだね」
「ええ、残念ながら……」
取り付く島もなかった両親のことを思い出し、私は嘆息する。
そして、ウィルの方へ近づくと、窓を開けた。
「だから、直談判しに行くことに決めたわ。手伝ってちょうだい。私をラニット公爵家へ送り届けるまで、でいいから」
『話し合い自体はちゃんと自分でやる』と宣言し、私は片手を差し出す。
すると、ウィルはニッコリ笑って私の手を取った。
「もちろん、いいよ」
『クラリスのためなら』と応じ、ウィルは一度窓縁に腰掛ける。
と同時に、私の手を引いて軽々と抱き上げた。
かと思えば、近くの木の枝や建物の外壁を伝って下へ降りる。
────駆け落ちした時みたいに。
「さあ、行こうか」
腕に抱いていた私を優しく地面に下ろし、ウィルは歩き出した。
繋いだ手をそのままに。
「ええ、行きましょう。レイチェルが待っているわ」
今頃一人ぼっちで泣いているかもしれない妹を思い浮かべ、私は気を引き締める。
『必ず救い出す』と胸に決めて前を見据え、ウィルのあとをついていった。
いつになく硬い声色で謹慎を命じ、父は使用人達に目配せする。
と同時に、私は自室へ引っ張って行かれた。
もちろん抵抗したが、大人……それも複数人の力に敵う筈もなく、あっという間に閉じ込められる。
ガチャンと鍵を施錠する音が鳴り響く中、私は目を白黒させた。
まさか、このような扱いを受けるとは思ってなかったので。
今までこんな強引な手段に出ることは、一度もなかった……叱られたり、泣かれたりはしょっちゅうだったけど。
でも、自由を奪うような真似はしなかった。それなのに……。
自分の知らない面が見えてきて戸惑い、私は唇を強く引き結ぶ。
『これも全部、あの男のせい』と考えながら。
「お父様、お母様、お願い!開けて!私はただ、レイチェルの身を案じているだけなんです!だって、あの男は簡単に人の命を奪うろくでもない人間なんですよ!?身内すら、手に掛けていると聞きます!だから、レイチェルだっていつどうなるか分かりません!」
『今からでも二人を引き離すべきです!』と訴え、私は扉を強く叩いた。
が、返ってくるのは冷たい沈黙だけ……。
どうしよう……!こんなところで、時間を取られる訳にはいかないのに!
『こうしている間にも、レイチェルが……!』と思案し、私は室内を見回す。
どうにかして、外に出られないか?と思って。
『ここは二階だから、飛び降りる訳にもいかないし……』と考え込んでいると、不意に窓をノックされた。
「────やあ、クラリス」
そう言って、ガラス越しにこちらを見つめるのは恋人のウィル。
ヒラヒラと手を振って笑う彼を前に、私は一瞬放心した。
「な、何でここに……?」
「心配になって、一応様子を見に来たんだよ」
『まさか、閉じ込められているとは思わなかったけど』と肩を竦め、ウィルは指先で窓を突く。
「どんな話し合いが成されたのかは分からないけど、この状況を見る限り上手く行かなかったみたいだね」
「ええ、残念ながら……」
取り付く島もなかった両親のことを思い出し、私は嘆息する。
そして、ウィルの方へ近づくと、窓を開けた。
「だから、直談判しに行くことに決めたわ。手伝ってちょうだい。私をラニット公爵家へ送り届けるまで、でいいから」
『話し合い自体はちゃんと自分でやる』と宣言し、私は片手を差し出す。
すると、ウィルはニッコリ笑って私の手を取った。
「もちろん、いいよ」
『クラリスのためなら』と応じ、ウィルは一度窓縁に腰掛ける。
と同時に、私の手を引いて軽々と抱き上げた。
かと思えば、近くの木の枝や建物の外壁を伝って下へ降りる。
────駆け落ちした時みたいに。
「さあ、行こうか」
腕に抱いていた私を優しく地面に下ろし、ウィルは歩き出した。
繋いだ手をそのままに。
「ええ、行きましょう。レイチェルが待っているわ」
今頃一人ぼっちで泣いているかもしれない妹を思い浮かべ、私は気を引き締める。
『必ず救い出す』と胸に決めて前を見据え、ウィルのあとをついていった。
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