駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

姉のお節介②

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「旦那様、一つお願いがあります────迎えが来るまでの間だけ、お姉様を屋敷へ招いてもよろしいでしょうか?」

 舌の根も乾かないうちに何を言っているんだと自分でも思うが、さすがに体調不良の家族を無視する訳にはいかなかった。
『応対は私がやりますので』と言い、深々と頭を下げる。
もし拒否されたら近くの宿屋まで姉を連れていこうと画策する中、夫がチラリと窓の外を見た。

「好きにしろ」

「ありがとうございます」

 すんなり許可してくれたことにホッとしつつ、私は急いで部屋から出ていく。
そして、正門へ向かうと、騎士に介抱されている姉を保護した。
『一先ず、玄関から一番近い応接室に連れて行こう』と思い立ち、私は姉を引き摺っていく。

 あら、思ったより軽いわね。逃亡生活のせいで、痩せたのかしら?
体型の分かりづらいローブ姿だったから、気づかなったわ。

 『きっと、凄く大変だったのね』と考えながら、私は応接室に足を踏み入れた。
目の前にあるソファまで姉を運び、そっと寝かせる。
と同時に、肩の力を抜いた。

 見たところ熱はなさそうだし、呼吸も正常。多分、少し寝れば治ると思う。

 『でも、一応お医者様を呼んだ方が……』と思案していると────不意に姉と目が合う。

「えっ?」

 まさか起きているとは思わず、目を見開いて固まった。
衝撃のあまり放心する私の前で、姉はおもむろに身を起こす。

「大丈夫だからね、レイチェル。貴方のことは必ず、私が助ける」

「はっ……?」

 予想外の第一声に驚いてしまい、私はパチパチと瞬きを繰り返した。
状況についていけない私を前に、姉は立ち上がる。

「あの男と話をつけてくるわ」

「あの男……?いや、それよりも体調は?」

 『もう動いても平気なのか』と気遣う私に対し、姉は小さく笑う。

「全然平気よ。だって────倒れたのは、演技・・だし」

「……はい?」

「ああでもしないと、屋敷に入れてもらえないと思ったのよ」

 『騎士の人、すっごい頑固でね』と語り、姉はやれやれと肩を竦めた。
一切悪びれる様子もない彼女を前に、私は言葉を失う。
信頼を裏切られたような気がして。
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