駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

義弟との再会②

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「ねぇ、良かったらあそこで腰を落ち着けて話さない?義姉さんには、まだまだ話したいことがあるし」

 『長時間の立ち話はお互いキツいでしょ』と言い、義弟はこちらに手を差し伸べた。
恐らく、エスコートしようとしているのだろう。

「分かりました」

 いい断り文句が思いつかなくて、私は渋々義弟の誘いに応じた。
と同時に、手を重ねる。
すると、彼は機嫌良さそうに笑って歩き出した。

「義姉さんの手、小さいね。馬鹿力の兄さんなら、握り潰せそう」

 『あの人、片手でリンゴを割れるからさ』と口にし、義弟はガゼボの中へ足を踏み入れた。
かと思えば、こちらを振り返ってベンチに座るよう促してくる。
なので素直に着席すると、彼はその向かい側に腰を下ろした。

「義姉さんは知らないかもしれないけど、兄さんは君の思う以上に危険な人物だよ」

 一点の曇りもない眼で真っ直ぐこちらを見据え、義弟は少しばかり身を乗り出す。
真剣にこちらの身を案じている様子の彼に対し、私は

「そうですか」

 と、相槌だけ打った。
その手の話はもう聞き飽きてしまったので。
何より、夫の残虐性と暴力性は別邸の事件を通して知っている。
きちんと己の分を弁えている者には、寛容なことも。
理不尽に暴力を振るう荒くれ者や無差別に命を奪う犯罪者とは、違う。
『まあ、それでも人によっては悪に見えるんだろうけど』と思案する中、義弟はこちらを凝視する。

「そ、そうですかって……それだけ?」

「はい」

 間髪容れずに首を縦に振ると、義弟は目を白黒させた。
こちらの淡白すぎる態度に、衝撃を受けているようだ。

「怖くないの?いつか、兄さんが義姉さんにも牙を剥くかもしれないのに。もし、そうなったら君はただ泣いて助けを乞うことしかないんだよ?反抗とか、逃亡とか出来る余裕はきっとない」

 『兄さんはそんな暇を与えないだろう』と述べ、義弟はこちらの危機感を煽る。
と同時に、私はそっと目を伏せた。

「そうですね。旦那様を怒らせれば、私はきっと為す術なく蹂躙されるでしょう。けれど────怖くはありません。旦那様は話の通じない機械でも、理性のない獣でもありませんから」
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