駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

私の決断①

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「────あっ、居た」

 訓練場の中央で一人剣を振るう夫を見つけ、私は僅かに眉を上げた。
だって、素人目からも分かるほど洗練された動きだったから。
思わず息を呑む私の前で、彼は剣を振り上げる。
その際、剣身が雷のような光を放った。

 あれはまさか────

 少しばかり目を見開き、私はチカチカと点滅する剣身に釘付けとなる。
と同時に、夫が勢いよく剣を振り下ろした。
その瞬間、雷鳴のような……地響きのような音が鳴り響き、大理石で出来た床を割る。
また、切れ目を辿るようにバチッと花火のようなものが舞った。
とても人間業と思えない光景を前に、私は『やっぱり、そうだ』と確信する。

「────テンペスタース」

 ラニット公爵家の人間のみ使える能力で、天候を操ることが出来る。
と言っても、万能ではないが。
何故なら、どのような天気にするか自由に決められる訳じゃないから。
能力の持ち主によって効果は変わってくるが、夫の場合どのような天気も雷に変えることが出来るみたい。
逆に言えば、雷にしか出来ない。そういう能力。

 『さっきのやつは多分、その応用ね』と予測しつつ、私はひび割れた床をじっと眺める。
噂には聞いていたが、実際に目の当たりにするとなんだか圧倒されてしまって。

 本来そこまで威力はないらしいけど、才能の問題かそれとも旦那様の努力の賜物か……通常より、高い効力を持っているとのこと。
能力を発現出来るだけでも、凄いのに。
だって、ラニット公爵家の人間が皆、天候を変えられる訳じゃないから。
歴史書などを見る限り、大体数代に一人くらいの割合。
正直、とても少ない。

 まあ、だからこそ当主の座を守り続けられている訳だけど。
もし、普通の子供であったならば旦那様はこの地位に就けていなかったため。
仮に当主となれたとしても、フェリクス様が大きくなり次第その座を明け渡すことになっていただろう。

 『フェリクス様が能力を発現出来なかったのも、ラッキーだったね』と考え、私は顔を上げる。
と同時に、夫と目が合った。

「貴様、そこで何をしている」
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