駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

帰宅③

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「前公爵夫妻の死の真相について、一切口外しないという契約を交わしたんだ。証拠に残る形で、ね」

 『それ以外の事項は盛り込んでないから、安心して』と言い、シャノン皇太子殿下はサインするよう求めた。
────と、ここでロルフが書類とペンを配り終える。
私と義弟の前にそれぞれ置かれた誓約書セットを前に、シャノン皇太子殿下は手を組んだ。

「もちろん、強制はしないよ。ただし、その場合真実は明かせない」

 『それを踏まえた上で、決断してほしい』と述べるシャノン皇太子殿下に、義弟は一瞬だけ眉を顰める。
多分、事と次第によっては真実を公表してを追い詰めたかったんだと思う。

「……分かりました」

 悩みながらも口外禁止を受け入れ、義弟はペンを手に持つ。
一応書類の内容を確認してサインする彼を前に、私はチラリと夫の方を見た。

 特に反応なしということは、私の判断で決めていい出来事みたいね。
もし、何か不都合があるなら言う筈だから。

 『なら、サインしてしまおう』と思い立ち、私はさっさと自分の名前を書く。

「サイン、終わりました」

「こっちも」

 義弟もほぼ同時にペンを置き、上体を起こした。
すると、ロルフがそれぞれの誓約書を回収してシャノン皇太子殿下に手渡す。

「二人分、確かに受け取ったよ。ありがとう」

 穏やかに微笑んで書類を仕舞い、シャノン皇太子殿下は背筋を伸ばした。
かと思えば、自身の顎を撫でる。

「さて、ここから先のことはラニット公爵に任せようかな」

 『私はあくまで見届け役だし』と言い、シャノン皇太子殿下は夫に水を向けた。
肝心の真相についてはそちらで話せ、ということなのだろう。
ちょっと残酷な気もするが、当時のことを一番よく知っているのは夫なので致し方ない。

「承りました」

 夫は胸元に手を添えて一礼し、向かい側のソファへ腰掛ける義弟に視線を向けた。
と同時に、少しばかり表情を硬くする。

「先に言っておくが、今から話すのは全て真実だ。どんなに信じられない……いや、信じたくない・・・・・・事実でもきちんと受け止めろ」

 今一度覚悟を決めるよう告げ、夫はふと天井を見上げた。
赤い瞳に、憂いを滲ませながら。

「まず結論から言ってしまうと、前公爵夫妻の死は自殺……いや────心中・・だ」
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