駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

建国記念パーティー②

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「────私、レイチェルに背中を押してもらいたかったの……当主となることを、肯定してほしかった。正直、自分の決断に自信が持てなかったから……」

 緑の瞳に“迷い”を滲ませ、姉は自身の首裏へ手を回す。

「ほら、私って間違った正義を掲げて色々仕出かしたでしょう?それに人を見る目もないし……」

 先日終身刑になった駆け落ち相手について言っているのか、姉は複雑な表情を浮かべた。
と同時に、小さく肩を落とす。
すっかり意気消沈している様子の彼女を前に、私はスッと目を細めた。

 なるほど、度重なる失敗により自信喪失してしまったのね。
だから、『自分の決断は間違っていない』という保証お墨付きが欲しいんだわ。

 何かを選択するという行為にかなり抵抗感を持ってしまっている姉に、私は嘆息する。
これは私にも責任があるわね、と考えて。
彼女の正義を壊したのは、自分だから。
とはいえ、適当なことは言えない。姉が当主となることを目指しているなら、尚更。

「お姉様の話は分かりました。でも、やはり『そうですか』としか言えません。その決断が正しいかどうかは、私にも分からないので。ただ、一つ言えることがあるとすれば────」

 そこで一度言葉を切り、私は真っ直ぐ前を見据えた。

「────当主となる選択を英断とするか、愚断とするかは今後の貴方次第です」

 向かい側に居る姉を手で示し、私は姿勢を正す。

「だから、『間違いじゃなかった』と思えるような結果にしてください、お姉様」

 『今するべきなのは悩むことじゃなくて、努力することだ』と告げ、私は穏やかに微笑む。
すると、姉は大きく息を呑んで目を見開いた。
緑の瞳に、僅かな光を宿しながら。

「……そっか、そうよね」

 納得したように何度も頷き、姉は少しばかり表情を和らげる。
と同時に、席を立った。

「ありがとう、レイチェル。おかげで、迷いが吹き飛んだわ。私、自分の決断を後悔しないようにこれから頑張る」

 グッと手を握り締め、姉は晴れやかな笑顔を見せる。
先程まで不安がっていたのが、嘘のように。

 お姉様はこうじゃないと、ね。
まあ、話を聞かずに暴走されるのは困るけど。
でも、今のお姉様ならきっと大丈夫。そんな気がするわ。

 不思議と肩の荷が降りたような感覚を覚えつつ、私は頬を緩めた。
と同時に、姉がこちらへ手を差し伸べる。

「長話に付き合わせて、悪かったわね。そろそろ、会場へ戻りましょう」
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