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本編
決闘③
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「さあ、早く後片付けを。それから、誰かデニスを医者のところへ連れて行ってあげて。手首の具合から察するに、多分折れているだろうから」
鎧を着用していたため切断こそしていないものの、正常な状態とは言い難い。
デニス皇子殿下が膝をついて、蹲るくらいだから。
『出来るだけ迅速に処置してもらった方が、いい』と考える中、皆シャノン皇太子殿下の指示に従って動く。
そのおかげか、直ぐにパーティーは再開された。
「────良ければ、私と一曲踊っていただけませんか」
そろそろ最初のワルツに差し掛かる時間帯だからか、貴族の男性は女性にダンスを申し込む。
なので、周りには自然と男女のペアが。
私達はどうするのかしら?旦那様の性格的にこのまま帰る可能性の方が、高そうだけど。
『先程決闘を終えたばかりということもあって、注目の的だし』と、私は思案する。
────と、ここでオーケストラが最初のワルツの曲を奏でた。
「ダンスか」
私の隣に立つ夫は、会場の中央でクルクル踊る貴族達を見やる。
と同時に、こちらへ向き直った。
「一曲だけ付き合え、レイチェル」
さすがに建国記念パーティーという場で踊らない訳にはいかないのか、夫はダンスに誘ってくる。
おもむろに手を差し伸べる彼の前で、私は
「はい」
と、首を縦に振った。
特に断る理由もなかったので。
『まあ、一抹の不安はあるけど』と考えつつ、私はそっと手を重ねる。
「ただ、私はデビュタント以降一度もダンスを踊ったことがないので、かなり不慣れかもしれません」
『一応、ダンスのステップや手順は頭に入っていますが』と零す私に対し、夫は小さく肩を竦めた。
「構わん。私もそこまで経験豊富という訳じゃないからな」
『第一、完璧など求めていない』と告げ、夫は私の手を引いて歩き出す。
ダンスを踊る場合は会場の中央へ寄るのが、マナーのため。
『あんまり散らばると、転倒事故などが多くなるから』と考える中、夫は一瞬だけ足を止めた。
かと思えば、こちらを振り返り、音楽に合わせてステップを踏み始める。
「あら、お上手ですね」
素人目でも分かるほど滑らかな動きに、私は思わず目を剥いた。
すると、夫は私の腰を抱き寄せて優雅にターンする。
「そういう貴様も、言うほど酷くじゃないぞ」
『十数年ぶりに踊ったとは、思えない』と述べる夫に、私は小さく笑った。
「旦那様のリードのおかげですよ」
これはお世辞でも何でもなく、私の本心。だって、特段ステップを意識しなくてもいつの間にか踊れているから。
『なんだか、不思議な感覚』と思いつつ、私はあっという間に一曲踊り終える。
と同時に、夫がクルリと身を翻した。
「用事も義務も済んだから、そろそろ帰るぞ」
『もうここに居る必要性はなくなった』と宣言し、夫は歩を進める。
私の手を握ったまま。
以前までなら……それこそ出会った当初なら、『付いてこい』と背中を向けるだけだったのに。
着実に距離が縮まっていることを実感する言動に、私は少しばかり頬を緩めた。
鎧を着用していたため切断こそしていないものの、正常な状態とは言い難い。
デニス皇子殿下が膝をついて、蹲るくらいだから。
『出来るだけ迅速に処置してもらった方が、いい』と考える中、皆シャノン皇太子殿下の指示に従って動く。
そのおかげか、直ぐにパーティーは再開された。
「────良ければ、私と一曲踊っていただけませんか」
そろそろ最初のワルツに差し掛かる時間帯だからか、貴族の男性は女性にダンスを申し込む。
なので、周りには自然と男女のペアが。
私達はどうするのかしら?旦那様の性格的にこのまま帰る可能性の方が、高そうだけど。
『先程決闘を終えたばかりということもあって、注目の的だし』と、私は思案する。
────と、ここでオーケストラが最初のワルツの曲を奏でた。
「ダンスか」
私の隣に立つ夫は、会場の中央でクルクル踊る貴族達を見やる。
と同時に、こちらへ向き直った。
「一曲だけ付き合え、レイチェル」
さすがに建国記念パーティーという場で踊らない訳にはいかないのか、夫はダンスに誘ってくる。
おもむろに手を差し伸べる彼の前で、私は
「はい」
と、首を縦に振った。
特に断る理由もなかったので。
『まあ、一抹の不安はあるけど』と考えつつ、私はそっと手を重ねる。
「ただ、私はデビュタント以降一度もダンスを踊ったことがないので、かなり不慣れかもしれません」
『一応、ダンスのステップや手順は頭に入っていますが』と零す私に対し、夫は小さく肩を竦めた。
「構わん。私もそこまで経験豊富という訳じゃないからな」
『第一、完璧など求めていない』と告げ、夫は私の手を引いて歩き出す。
ダンスを踊る場合は会場の中央へ寄るのが、マナーのため。
『あんまり散らばると、転倒事故などが多くなるから』と考える中、夫は一瞬だけ足を止めた。
かと思えば、こちらを振り返り、音楽に合わせてステップを踏み始める。
「あら、お上手ですね」
素人目でも分かるほど滑らかな動きに、私は思わず目を剥いた。
すると、夫は私の腰を抱き寄せて優雅にターンする。
「そういう貴様も、言うほど酷くじゃないぞ」
『十数年ぶりに踊ったとは、思えない』と述べる夫に、私は小さく笑った。
「旦那様のリードのおかげですよ」
これはお世辞でも何でもなく、私の本心。だって、特段ステップを意識しなくてもいつの間にか踊れているから。
『なんだか、不思議な感覚』と思いつつ、私はあっという間に一曲踊り終える。
と同時に、夫がクルリと身を翻した。
「用事も義務も済んだから、そろそろ帰るぞ」
『もうここに居る必要性はなくなった』と宣言し、夫は歩を進める。
私の手を握ったまま。
以前までなら……それこそ出会った当初なら、『付いてこい』と背中を向けるだけだったのに。
着実に距離が縮まっていることを実感する言動に、私は少しばかり頬を緩めた。
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