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番外編
安泰《マルセル(モブ商人) side》①
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────ラニット公爵家を中心に巻き起こった騒動が、収束した頃。
私マルセルを始め、様々な商会のトップが屋敷へ呼ばれた。
目的は言うまでもなく、ショッピング。またの名を、訪問販売。
こちらの持ち寄った品を吟味してもらい、気に入っていただけたらお買い上げというシステムだ。
などと考えつつ、私は広間に商品を設置する。
他の商会の者達も、同様に布やら宝石やら並べていた。
────と、ここでラニット公爵夫妻が姿を現す。
「これはこれは、ラニット公爵。それに夫人も。本日は我が商会に声を掛けていただき、ありがとうございます」
「お二人のために選りすぐりの品をご用意いたしましたので、どうぞご覧になってください」
「特にオススメの商品はこちらでして、宝石のアレキサンドライトをあしらったピアスなんです。お揃いで付けてみては、いかがでしょう?」
「もし、そちらをご購入されるなら是非こちらのお洋服もどうぞ。男女のペアになっていて、凄く人気なんですよ」
他の商会の者達は我先にとラニット公爵夫妻の元へ駆け寄り、営業を掛けた。
が、二人は微動だにしない。
「そうか」
「なるほど」
全然興味なさそうな様子で相槌を打ち、二人は室内を……というか、並べられた商品を見回した。
多分、自分達で静かに選びたい派なのだろう。
なら、大人しくしているべきか……あまりしつこくすると、もう呼んでもらえなさそうだし。
────と、考えたのは私だけじゃなかったようで……先程まで商品紹介を行っていた他の商会の者達が、引いていく。
おかげで、ラニット公爵夫妻の……というか、公爵の機嫌を損ねることはなかった。
「レイチェル、何か気になる商品はあったか?」
「いえ、特には。ドレスも宝石も既に充分、持っていますし」
『買い足す必要性を感じない』と述べるラニット夫人に、私達は衝撃を受ける。
貴族の女性と言えば、オシャレに熱心で可愛いものや綺麗なものに目がないと思っていたため。
だから、わざわざ装飾品を多く持ってきたのに……まさかの興味0。
これはさすがに予想外だな。少しはお買い上げいただけると思ったんだが……でも、私にはまだ奥の手がある。
他の商会と違って、きちんとリサーチしていたからな。
すぐ近くに置いてあった商品を手に取り、私はラニット公爵夫妻の元へ向かった。
本当はあちらからこの商品に気づくのを待ちたかったんだが、このままだと目に留まることもなく終わりそうだったので。
『それは困る』と思いながら、私は
「ラニット公爵、夫人。少しだけ、お時間をいただけませんか?」
と、声を掛けた。
反射的に足を止める二人に対し、私は持ってきたものを見せる。
「こちらの商品────抱き枕と言うのですが、昼寝のお供にどうでしょうか?」
「「!」」
ピクッと僅かに反応を示し、ラニット公爵夫妻は私の手元にある抱き枕を凝視した。
明らかに興味を引かれている様子の二人に、私は内心ニヤリと笑う。
ラニット夫人が睡眠を大切にしている、という話は本当だったようだな。
情報屋に高い金を払って、調べた甲斐があった。
私マルセルを始め、様々な商会のトップが屋敷へ呼ばれた。
目的は言うまでもなく、ショッピング。またの名を、訪問販売。
こちらの持ち寄った品を吟味してもらい、気に入っていただけたらお買い上げというシステムだ。
などと考えつつ、私は広間に商品を設置する。
他の商会の者達も、同様に布やら宝石やら並べていた。
────と、ここでラニット公爵夫妻が姿を現す。
「これはこれは、ラニット公爵。それに夫人も。本日は我が商会に声を掛けていただき、ありがとうございます」
「お二人のために選りすぐりの品をご用意いたしましたので、どうぞご覧になってください」
「特にオススメの商品はこちらでして、宝石のアレキサンドライトをあしらったピアスなんです。お揃いで付けてみては、いかがでしょう?」
「もし、そちらをご購入されるなら是非こちらのお洋服もどうぞ。男女のペアになっていて、凄く人気なんですよ」
他の商会の者達は我先にとラニット公爵夫妻の元へ駆け寄り、営業を掛けた。
が、二人は微動だにしない。
「そうか」
「なるほど」
全然興味なさそうな様子で相槌を打ち、二人は室内を……というか、並べられた商品を見回した。
多分、自分達で静かに選びたい派なのだろう。
なら、大人しくしているべきか……あまりしつこくすると、もう呼んでもらえなさそうだし。
────と、考えたのは私だけじゃなかったようで……先程まで商品紹介を行っていた他の商会の者達が、引いていく。
おかげで、ラニット公爵夫妻の……というか、公爵の機嫌を損ねることはなかった。
「レイチェル、何か気になる商品はあったか?」
「いえ、特には。ドレスも宝石も既に充分、持っていますし」
『買い足す必要性を感じない』と述べるラニット夫人に、私達は衝撃を受ける。
貴族の女性と言えば、オシャレに熱心で可愛いものや綺麗なものに目がないと思っていたため。
だから、わざわざ装飾品を多く持ってきたのに……まさかの興味0。
これはさすがに予想外だな。少しはお買い上げいただけると思ったんだが……でも、私にはまだ奥の手がある。
他の商会と違って、きちんとリサーチしていたからな。
すぐ近くに置いてあった商品を手に取り、私はラニット公爵夫妻の元へ向かった。
本当はあちらからこの商品に気づくのを待ちたかったんだが、このままだと目に留まることもなく終わりそうだったので。
『それは困る』と思いながら、私は
「ラニット公爵、夫人。少しだけ、お時間をいただけませんか?」
と、声を掛けた。
反射的に足を止める二人に対し、私は持ってきたものを見せる。
「こちらの商品────抱き枕と言うのですが、昼寝のお供にどうでしょうか?」
「「!」」
ピクッと僅かに反応を示し、ラニット公爵夫妻は私の手元にある抱き枕を凝視した。
明らかに興味を引かれている様子の二人に、私は内心ニヤリと笑う。
ラニット夫人が睡眠を大切にしている、という話は本当だったようだな。
情報屋に高い金を払って、調べた甲斐があった。
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