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番外編
ホワイトデー《へレス side》②
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「こうなったら、もう仕方ありませんね。三択差し上げますので、そこから一つ選んでプレゼントしてください」
そう言うが早いか、ロルフは新しい紙にペンを走らせた。
「いいですか?きちんと一つに絞ってくださいね。全部あげるのは、禁止です」
「何故だ?多くもらった方が、レイチェルも喜ぶだろう」
「プレゼントというのは、選ぶことに意味があるんです。手当り次第、与えるのは単なる施しですよ」
『きちんと吟味した上で、たくさん与えるならともかく』と諭し、ロルフはペンを仕舞う。
と同時に、こちらへ三択が書かれた紙を差し出した。
「公爵様だって、適当に見繕った大量のプレゼントより、奥様が悩みに悩み抜いて選んだ一品の方が嬉しいでしょう?」
「……」
分かったような口を叩くロルフに、私は反論も肯定もせず……紙を受け取る。
マカロン、クッキー、キャラメルか。どれも定番の菓子だな。
『こんなものでいいのか?』という疑問を抱きながらも、私は一先ずロルフの意見に従うことにした。
変なものをプレゼントしてレイチェルを困らせるのは、避けたかったため。
まあ、肝の据わった女だから何を贈っても受け入れそうな気もするが。
『出会った当初から、色々と変わっていたからな』と考えつつ、私はプレゼント選びに専念する。
その結果────マカロンを贈ることになった。
「レイチェル、バレンタインチョコのお返しだ」
ホワイトデーの早朝、私は寝起きのレイチェルに袋を差し出す。
すると、彼女は暫し放心した。
「……お返し、ですか?」
「ああ、今日はホワイトデーなんだろう?」
「ご存知だったんですね」
パチパチと瞬きを繰り返し、レイチェルは私と袋を交互に見た。
かと思えば、ベッドから身を起こす。
「お返し、ありがとうございます」
真っ直ぐにこちらを見据え、レイチェルは袋を受け取った。
僅かに頬を緩めながら。
「開けてもいいですか?」
「好きにしろ」
ベッドの端に腰掛け、私はおもむろに両腕を組んだ。
と同時に、レイチェルがラッピングを解く。
「花型のマカロン?」
「ああ」
「初めて見ました」
個別包装されたマカロンをまじまじと見つめ、レイチェルは『可愛い』と呟いた。
「旦那様、早速マカロンをいただいてもよろしいでしょうか?」
「別に構わんが、朝食前ということを心に留めておけ」
「分かりました。では、一つだけ」
『残りは今日のティータイムにでも』と言い、レイチェルは個別包装からマカロン本体を取り出す。
そして、ゆっくりと口の中に含んだ。
「!」
少しばかり目を見開くレイチェルは、口元に手を当てて微笑む。
「凄く美味しいです、旦那様。本当にありがとうございます」
珍しく声を弾ませ、レイチェルはうんと目を細めた。
金の瞳に喜びを滲ませる彼女の前で、私は僅かに目元を和らげる。
ホワイトデーなんて、くだらん行事だと思っていたが……たまには悪くないな。
妻の幸せそうな姿を見ているとプレゼント選びの苦悩も掻き消され、私は自然と満足感を覚えていた。
そう言うが早いか、ロルフは新しい紙にペンを走らせた。
「いいですか?きちんと一つに絞ってくださいね。全部あげるのは、禁止です」
「何故だ?多くもらった方が、レイチェルも喜ぶだろう」
「プレゼントというのは、選ぶことに意味があるんです。手当り次第、与えるのは単なる施しですよ」
『きちんと吟味した上で、たくさん与えるならともかく』と諭し、ロルフはペンを仕舞う。
と同時に、こちらへ三択が書かれた紙を差し出した。
「公爵様だって、適当に見繕った大量のプレゼントより、奥様が悩みに悩み抜いて選んだ一品の方が嬉しいでしょう?」
「……」
分かったような口を叩くロルフに、私は反論も肯定もせず……紙を受け取る。
マカロン、クッキー、キャラメルか。どれも定番の菓子だな。
『こんなものでいいのか?』という疑問を抱きながらも、私は一先ずロルフの意見に従うことにした。
変なものをプレゼントしてレイチェルを困らせるのは、避けたかったため。
まあ、肝の据わった女だから何を贈っても受け入れそうな気もするが。
『出会った当初から、色々と変わっていたからな』と考えつつ、私はプレゼント選びに専念する。
その結果────マカロンを贈ることになった。
「レイチェル、バレンタインチョコのお返しだ」
ホワイトデーの早朝、私は寝起きのレイチェルに袋を差し出す。
すると、彼女は暫し放心した。
「……お返し、ですか?」
「ああ、今日はホワイトデーなんだろう?」
「ご存知だったんですね」
パチパチと瞬きを繰り返し、レイチェルは私と袋を交互に見た。
かと思えば、ベッドから身を起こす。
「お返し、ありがとうございます」
真っ直ぐにこちらを見据え、レイチェルは袋を受け取った。
僅かに頬を緩めながら。
「開けてもいいですか?」
「好きにしろ」
ベッドの端に腰掛け、私はおもむろに両腕を組んだ。
と同時に、レイチェルがラッピングを解く。
「花型のマカロン?」
「ああ」
「初めて見ました」
個別包装されたマカロンをまじまじと見つめ、レイチェルは『可愛い』と呟いた。
「旦那様、早速マカロンをいただいてもよろしいでしょうか?」
「別に構わんが、朝食前ということを心に留めておけ」
「分かりました。では、一つだけ」
『残りは今日のティータイムにでも』と言い、レイチェルは個別包装からマカロン本体を取り出す。
そして、ゆっくりと口の中に含んだ。
「!」
少しばかり目を見開くレイチェルは、口元に手を当てて微笑む。
「凄く美味しいです、旦那様。本当にありがとうございます」
珍しく声を弾ませ、レイチェルはうんと目を細めた。
金の瞳に喜びを滲ませる彼女の前で、私は僅かに目元を和らげる。
ホワイトデーなんて、くだらん行事だと思っていたが……たまには悪くないな。
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